ガルニエ宮で斬新パフォーマンス☆
久しぶりにパリ・オペラ座ガルニエ宮へバレエ鑑賞に行ってきました。
なに?開演10分前なのに多くの人が大階段はじめフロアに残ったまま。
誰かスターがやってくるの?!などと思いながら私達もとりあえず階段を上りきったところで様子を見守ることに。
すると館内アナウンス。
「最初のパフォーマンスはパブリックスペースで行うので席にはつかず、どうぞそのまま!」
すると開始の合図もない中、私の後ろから静かに頭にシャンデリア?なライトを載せたパフォーマーが出現!
見渡すと、それは1人、2人ではなくかなりの数。
どこからともなく静かにどんどん増えてくる。
キラキラと鱗のようなその衣装はどこか遠い未来からやってきた宇宙人のような植物のような。
シャカシャカという音に振り返ると、今度は四つん這いのパフォーマーたちが続々と。
お腹にクッション付き台車のようなものを置き縦横無尽に素早く移動。
その動きはまるでスパイダー!?
ここで再び館内アナウンス。
「みなさんも自由に館内を動き回って、いろんな場所から鑑賞してください!」
ギョッ!
本当に一瞬ギョッとしたのは、これまた近未来チックな獅子舞のようなパフォーマー。
もちろん中にはダンサーが入っているのですが、その動きは獣か両生類のよう。
リアルなのに、そのフサフサでキラキラな風貌はアンリアルな不思議な生き物。
この日小さなお子さんも多く、この金ピカ猪が獅子舞いのように小さな子供にも擦り寄る様子を見ながら「怖いよ…絶対泣く…」と思って見ていたのですが、私の予想に反して小さなパリジェンヌはキャハキャハ笑っていた。。(怖いもの知らず)
そして突然観客の中に混じっていたバイオリニストらが電子音をバックに演奏スタート♬
私の中に広がったのは、なぜか映画マトリックスの世界☆
大階段中央に続々とパフォーマーが集まっての群舞。
最初は驚いて静かに見つめるだけだった観客も最後は一緒に楽しみ、演奏が終わると拍手喝采。
館内アナウンス「みなさんお席の方へ」。
そして席につくと、再びパフォーマンス再開。(まだ終わっていなかったのでした)
このこの作品は、James Thierréによる“Frôlons”。
もちろんガルニエ宮でこんなパフォーマンスを鑑賞したのは初めてだったので、とても新鮮で面白ったです。
終了するや拍手喝采とブラヴォっ!の声、そしてちょっとのブーイング。
日本でのバレエやオペラ公演で私はブーイングは耳にしたことがないのですが、パリではわりとあります。
なんにでも拍手喝采はしない、自分なりに感じことを正直に伝えるところにいつもちょっと感心してしまう。
ネガティブな反応や批判もきっと芸術を育て、高めるには必要なことなのだろうと思います。
2つ目は、Hofesh Shechterの“The Art of not looking back”。
開始前に配られたのはなんと耳栓!
バレエ鑑賞で耳栓とは…と思ったけれど、すぐに納得。
「私は2歳の時に母に捨てられた。」なんたらかんたらと男のつぶやきのあと、いきなりの絶叫シャウト!!!
そのシャウトはヘビーメタル級?!私の前に座っていたマダムはその声に驚き10センチくらい飛び上がってしまったほど。
(オフィシャルサイトより)
この作品は女性ダンサーだけで構成され、とてもしなやかで軽く綺麗な動きと奇妙な動きが混ざり合った不思議に面白い印象でした。
語る男性の母への想い、総じて女性への想い?などを皮肉を含めて体現しているように感じました。
続く3品目の Ivan Pérezの“ The Male Dancer”はオール男性ダンサー。
カラフルな衣装と宗教的な音楽はまるでミケランジェロの描く絵画。
(オフィシャルサイトより)
よくわからなかったのは、最後に登場したファー付きのガウンを着たダンサー。
何か意味があるのでしょうが、私にはなんとなくそれまでの流れというか動きが途切れ別次元に持っていかれたかのようなエンディングに感じてしまった。
そしてこの日圧巻で個人的に一番興奮したのは、Crystal Piteの“ The Seasons Canon”。
かなりの大人数でのパフォーマンスは、この人数だからできる群舞の美しさを強く見せつけてくれました。
一人一人の体は彫刻のようで、でも大きくまとまってもまたそれも大きな彫刻の美しさ。
ついたり離れたり、万華鏡のように見えるシーンも。
(オフィシャルサイトより)
まるでエグザイルなダンス…!?な振り付けもちょこちょこありました(笑)
そしてクライマックスが近づくにつれ完全に観客を魅了してしまっている熱気というか空気感に満ちたガルニエ宮。
終わった瞬間、ブラヴォー&拍手の嵐。
正面席はもちろん、サイドのボックス席も多くの人が身を乗り出してのスタンディングオベーション☆
もちろん私も!
ストーリー性のあまりないコンテンポラリーなダンスは、よくわからないことも多く、感想らしい感想を持てなかったりするのですが、今回の4作品はそれぞれ違った面白さや発見があり、飽きることなく最後まで楽しむことができました。
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