【冬のアート散策5】夭折の画家、シーレとバスキア展を見る。

特集

ブローニュの森のフォンダシオン ルイ・ヴィトンではエゴン・シーレとジャン=ミシェル・バスキアの展覧会が開催されている。これって、アート鑑賞を一度に2倍楽しむチャンスでは?

エゴン・シーレ(1890〜1918年)はオーストリア=ハンガリー帝国時代にウィーン近郊に生まれ、それから70年後、ジャン= ミシェル・バスキア(1960年〜1988年)がブルックリンに生まれる。国も時代も異なるふたり。シーレはスペイン風邪で28歳の時、バスキアはヘロインのオーバードーズで27歳8カ月の時に亡くなっている。短い人生をそれぞれ閃光のように駆け抜けた。シーレには先輩クリムトがいて、バスキアにはウォーホルがいた。ふたりとも規範の中に閉じ込められることを拒み、10年前後の創作活動期間中に残した作品は次世代への大きな影響力を持っている。

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エゴン・シーレの21歳の時のセルフポートレート「Autoportrait au gilet,debout」(1911年)。今年描かれたといっても通用しそうな、ヘアスタイルと装い! photo:Courtesy of Ernst Ploil, Vienne

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バスキアの24歳の時のセルフポートレート。彼らしき人物は作品に多く見受けられるが、セルフポートレートと題されている作品は少ないそうだ。アメリカを代表するアーティストだが、彼の名前はフランス的。というのも母親はプエルトリコ人だが、父親がフランス語圏のハイチ共和国出身だからだ。「Self Portrait」(1984年) Collection Yoav Harlap

『エゴン・シーレ』展が開催されているのは地下1階のギャルリー1。バスキア展に比べると小規模ではあるけれど、財団がこうして特定の「歴史に残る」アーティストに焦点を当てた展示を開催するのは初めてだという。パリでシーレの回顧展が開催されるのは25年ぶり、という貴重な機会である。

展示は時代順で、彼が創作活動を行った10年間を4つのテーマに分けている。「装飾的ライン1908〜1909」では、16歳でウィーン工芸学校に入った彼が、先輩クリムトから受けた影響を感じさせるラインで描かれた作品を展示。ふたつ目の「表現するライン1910〜1911」では彼自身の表現法を追求した時代で、作品の中のモデルたちの身体は歪み、均衡を失っている。その次は、「均衡のリサーチ1912〜1914」。厳しい時代が彼に訪れた時期だ。。モデルのヴァリと共にウィーンを離れ、小さな田舎の村へと引っ越すが、保守的な土地で彼の反体制的な作品は非難されてしまう。さらに未成年の少女を家に泊めたがために彼は投獄されてしまうのだ。苦悩と自問自答の時期を彼は過ごす。最後の部屋は「組み立て直されたライン1915〜1918」。第一次大戦勃発と同時に徴兵されて、制作活動に最初は支障が起きる。幸い軍で画家と認められたことにより従軍中もスケッチができるようになるものの、彼は終戦の年に亡くなってしまう。

ドローイング、油彩、水彩など合計120点が展示されている。現代作家の作品といってもおかしくない作品ばかり。苦悩が感じられる色使いや、挑発的なボーズ。いまから100年前に亡くなった作家というのが信じられない。個人所蔵の作品が少なくないので、この機会にぜひ。

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地下1階、エゴン・シーレの作品を展示する会場。photo ©Fondation Louis Vuitton / Marc Domage

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彼のモデルは圧倒的に女性が多い。「Femme avec un miroir」(1915年)。Tel Aviv Muséum of Art Collection , ça. 1953 Photo ©Elad Sarig

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ウィーンのLeopold Muséumが所蔵する「Autoportrait au coqueret」(1912年)。22歳の時のセルフポートレートだ。

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『ジャン=ミッシェル・バスキア』展は地下1階のギャルリー2から始まり、その上の3フロアも占める大規模なものだ。合計4フロアに、1980年から亡くなるまでの8年間に描かれた125点強の作品が展示されている。

1981、82、83年の『Head』の3点でバスキア展の幕が開く。その後、部屋ごとにストリート、音楽といったテーマがあり、過去にフォンダシオンで展示された作品にも再会できる。レベル2のギャラリー9の壁半分を埋めるのは、アンディ・ウォーホルとのコラボレーションによる複数の作品だ。1983年にバスキア、ウォーホル、フランチェスコ・クレメンテの3人で15作品を共同製作する機会があった。これをきっかけに、バスキアとウォーホルはその後も後者が亡くなるまでコラボレーションを続けて150点以上を残したそうだ。このコーナーでは、バスキアによるウォーホルのポートレート『Brown Spot(Portrait of Andy Warhol as a Banana/1984)』も展示。皮をむかれたバナナの頂上にウォーホルの特徴である銀髪のカツラがのせられている。今回の展覧会は、締めくくりに『Riding with Death』がパリで初公開されることも話題のひとつである。

作品のサイズの大きさということもあるが、エネルギーがほとばしる作品の数々。彼がもしいま生きていたら、57歳だ。どんな作品をこの30年に製作していたただろうか、と思わずにはいられない。

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地上階ギャラリー4のバスキアの展示。©Estate of Jean Michel Basquiat Licensed by Artestar, New York ©Fondation Louis Vuitton/ Marc Domage

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1981年の作品「Untitled」(1981年)。この翌年に描かれた反対向きの顔の作品は、昨年ニューヨークで開催されたオークションで1億1050万ドルで落札された。その作品も展示されている。©Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York.  photo ©Douglas M.Parker Studio,Los Angeles

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「Santo versus Second Avenue, 1982」 ©Estate of Jean Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York.  photo ©Courtesy of Mr & Mrs Patrick Demarchelier

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「Horn Players」(1983年) ©Estate of Jean Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York.photo Douglas M.Parker Studio, Los Angeles

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『Anthony Clark』(1985年) ©Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Attester, New York.

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「Negro Period」(1986年) ©Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Attester, New York.

『エゴン・シーレ ジャン=ミッシェル・バスキア』展
エゴン・シーレ展 会期:開催中〜2019年1月14日
ジャン=ミッシェル・バスキア展 会期:開催中~2019年1月21日
会場:フォンダシオン ルイ・ヴィトン
8,avenue du Mahatma Gandhi
75116 Paris
開)〜12月22日、1月7日、9日〜14日 11:00(土日 9:00)〜20:00(土 〜21:00)
12月23日~1月6日 9:00~21:00(金 ~23:00)
1月15日~21日 8:00〜22:00
休)火(1月15日を除く)
料金:16ユーロ
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/the-foundation/the-fondation-louis-vuitton#

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バスキアのファンは展覧会の後、ギャルリー・ヴェロ・ドダにあるLigne Blanche(リンニュ・ブランシュ)のブティックに立ち寄ってみるといいだろう。バスキアの作品を日常生活で楽しめる、プレート(80ユーロ〜)、キャンドル(44ユーロ〜)、マグ(50ユーロ〜)の販売をしている。バスキア展をフォンダシオン ルイ・ヴィトンで見たパリ滞在の思い出に、どうだろうか。

Ligne blanche
18, Galerie Véro-Dodat 75001 Paris
営)11:00〜18:00
休)日、月
www.ligneblancheparis.com

réalisation:MARIKO OMURA

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