パリ、モードは元気だ。

21世紀のフェミニニティは、新しいブランドのミニュイで。

特集

9月末にデビューコレクションを発表したMinuit(ミニュイ)。早速プランタンデパートの「マリア・ルイザ」のコーナーでの独占販売が決定し、来年3月にはポップアップの開催予定も、という幸先のよいスタートを切った。手の届く価格のセンシュアルなハイファッションブランドである。

201216-minuit-01.jpg

シルクオーガンジーのドレス。シースルーなのでアンダードレスやボディなど下に合わせるものによって肌の見え方が異なる。テラコッタ色もあり。photo : Stefan Armbruster

ブランドの創設者は ニューヨークのプロエンザスクーラーで8年間仕事をしたローリー・アルベロとマリオン・アナイス・フォランというふたりのフランス女性である。自分たちのブランドを!と5年近く温めていたアイデアの実行を決めたのは、新型コロナ騒動以前のこと。マリオンはニューヨークに残り、ローリーは昨年12月にパリに本拠地を戻してふたりは活動を開始した。

201216-minuit-02.jpg

ミニュイを創設したふたりのパリジェンヌ、マリオン・アナイス・フォラン(左)とローリー・アルベロ。photo : Stefan Armbruster

ブランド創設に向けてふたりはデザインから始めた。それらは主に夜の外出にふさわしいドレス。ギィ・ブルダンの写真やドレスアップした女性たちの写真などが彼女たちのインスピレーション源で、そんなことからブランド名を探したときに、ごく自然に「Minuit(ミニュイ:真夜中の意)」という名前が浮かんだそうだ。

「私たちのモードへのアプローチは、デイリーウエアではなく特別な服です。この数年、リアルモードが席巻し、魔力がファッションから失せてしまいました。気をそそる女性であると感じられ、自分が美しいと思え、また身体のフォルムが感じられるようなモードが見つけにくくなっていて……」(マリオン)

「夜、きれいに装って外出するのがふたりとも大好きなんです。きれいな素材で、透けていたり、背中が大きく開いていたりといった肌を見せる服が好き。それも下品にならずにシックに。でも、そうした服が見つけられるとしたら、ルイ・ヴィトンのような超高級なブランド。手の届くラグジュアリーな服を!と、それがミニュイです」(ローリー)

最高のアイデア、それは自分たちが着たい服を作ることだという。彼女たち同様に30代半ばの友達大勢にデビューコレクションを見せたところ、大好評。素材の快適さ、誰もがセクシーに見えるという驚きとともに受け入れられたそうだ。彼女たち自身のお気に入りは?とたずねたところ、透明のオーガンジードレス、ビスチェ……とふたりとも同じだった。

201216-minuit-03.jpg

シンプルなデザインゆえ、ニットにいたるまで素材はクオリティにこだわる。

201216-minuit-04-05.jpg

パンツルックもセンシュアルに。背中でストラップが交差するビスチェはスエード(写真右)のほか、黒のシルクオーガンジーもあり。photos : Stefan Armbruster

最初のコレクションは色数も抑え、カットと素材のよさを追求したという。入念に準備した服の中には、たとえばワイドパンツなどのように、ちょっとしたディテールを変えたりするなどツイストして定番化することも考えている。このデビューコレクションではイスラエルのジュエリーデザイナーであるサピール・バシャールとコラボレーション。たとえば、ドレスのストラップやベルトのチェーンだ。毎回、パートナーを替えてコラボレーションを続けてゆくつもりだと語る。

インスピレーション、色や素材のセレクションについてはマリオンとローリーが一緒に行う。マリオンは3.1 フィリップリムのアクセサリー部門のディレクターでもあるように小物に強いので、バッグの製造については彼女が担当し、ローリーはプレタの製造について、という分担で仕事をしているそうだ。いまの時代、NYとパリと離れ離れでも、コミュニケーションをとるのは難しいことではない。2021〜22年の秋冬コレクションに取り掛かっているふたりは、コンピューターの画面を介して毎日のようにやりとり。コート、ニット、もちろん肌を見せるドレス……。デビューコレクションは無地オンリーだったけれど、今度はプリントにも挑戦して、とシーズンごとに新しい要素をプラスしてブランドを進化させてゆく。コレクションの発表は年に2回。インスタグラムを強化させ、受注生産もいいのかも……と生まれたてのブランドとしては、考えることがまだまだたくさん。

201216-minuit-06-07.jpg

ジュエラーのSapir Bachar(サピール・バシャール)とのコラボレーションによるブラスのチェーンが輝きをプラスする、ドレスのストラップやベルト。バイヤーにも仲間たちにも好評だったのは左のドレスで、そのエスプリが生きたチェーンストラップ付きトップも追加でデザインした。photos : Stefan Armbruster

201216-minuit-08.jpg

上質の仔牛革を用いたイタリア製のバッグ。同じフォルムのミニポシェットもあり。photo : Stefan Armbruster

学校は同じではないが、ふたりともモードを学んだのはパリでのこと。ローリーは祖母がクチュリエで、双子の姉のひとりは元モデルで現在ミニュイのPRを担当し、もうひとりの姉は別のブランドのPRというモードな家族環境。小さい時はみんなでファッション雑誌を愛読し、TVのファッション番組を見て……彼女はクリスチャン・ラクロワ、シャネル、ジョン・ガリアーノの仕事に心をときめかせていたという。一方マリオンはというと……。

「私の場合は全然!(笑) 地方都市に生まれ育ち、家族もモードとはまったく無縁だった。祖父はプロの写真家だったので感受性という点では受け継いだものがあるかもしれないけど……。私は幼い頃からデッサンが好きで、女の子だからドレスを描くことが多くって……モードに対する私の興味、きれいな品への嗜好というのは生まれつきのものと言えます。モード学校の友達もみな私のようにファッションとは無縁の場所から来た人ばかりだった」

彼女が好きだったブランドはジャン=ポール・ゴルチエ、クリスチャン・ラクロワ。とりわけイヴ・サンローランという人物に傾倒していた彼女は、彼のメゾンで働くことを夢み、その夢を実現させた。ローリーはパリにいる時からマーク・ジェイコブスのブランドの仕事をして、とふたりとも卒業以来、仕事の経歴はラグジュアリーブランドばかり。美しい品々を手にし、生み出して築いたふたりのヘリテージがベースのミニュイ。デリケートな素材と完璧なカットによる現代的でセンシュアルなブランドの誕生に拍手を!

201216-minuit-09.jpg

ミニ・ニット・トップに重ねたのは、小さなモチーフがエンブロイダリーステッチされたシルクオーガンジーのボレロ。同素材のスクエア・フレア・スカートとコーディネートすると、クチュールピースのようにシックでゴージャスだ。

201216-minuit-10-11.jpg

デビューコレクションは黒とネイビーブルー、白、それにタンジェリン、ピーチ、テラコッタなどのオレンジ系、そして淡いツルニチニチソウブルーが加わる。photos : Stefan Armbruster

MINUIT
www.00-00.com
Instagram:@0000_minuit

réalisation : MARIKO OMURA

RELATED CONTENTS

BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      WHAT'S NEW

      LATEST BLOG

      FIGARO Japon

      FIGARO Japon

      madameFIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。