2021年度コンクールが終了、9名の若手ダンサーが昇級した。

パリとバレエとオペラ座と。

パリ・オペラ座バレエ団の昇級コンクールは毎年11月あるいは12月に開催され、翌年1月1日から昇級者は新しいランクに上がる。コロナ感染症拡大防止策に伴い劇場が閉鎖されているパリ・オペラ座。昨年12月に予定されていた2021年度コンクールは4月に延期された。劇場は相変わらず閉鎖中だが、無観客のガルニエ宮でコンクールは予定どおり敢行された。

男性ダンサーが4月15日、女性ダンサーが4月17日と1日あけての開催の結果、合計9名のダンサーが昇級した。今回はプルミエ・ダンスールに空席がなかったため、スジェは参加していない。エトワールに最も近いプルミエ・ダンスールに誰が加わるか、というスリリングな話題に欠けた……といっても、これは観客たちの立場からの好奇心にすぎず。参加するダンサーたちにとっては1年の成果を披露する大切な場であったことに変わりはない。昇級者9名は日本はもちろんフランスのバレエ愛好者たちにとっても、なじみのないダンサーがほとんど。この中に未来のエトワールが潜んでいるかもしれないので、紹介しておこう。興味があれば過去、現在、今後について知ることができる各人のインスタグラムのチェックを。昇級者たちは、3月の予定が7月に延期された公演『若きダンサーたち』(7月9日〜14日)でソリストとして舞台に立つ。劇場再開も遠くないと噂される今日。彼らが観客を前にステージで踊れるといいのだが……。

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<女性/カドリーユからコリフェへ>

イネス・マッキントッシュ(Inès McIntosch)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2019年に入団した彼女は、これが初のコンクール参加。コリフェは3空席があり、彼女が1位で昇級した。ダンスウエアのブランドのアンバサダーを早くも務めるなど、外部での活動も活発なようだ。

ブルーエン・バティストーニ(Bleuenn Battistoni)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

入団は2017年。昨年のオペラ座来日公演『ジゼル』『オネーギン』に参加している。年末にはオンライン鑑賞が可能だった『ラ・バイヤデール』でコール・ド・バレエを踊った。明るさ、瑞々しさをステージ上で発散するダンサーである。

ニンヌ・セロピアン(Nine Seropian)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2019年に正式入団する以前から、彼女は契約団員としていくつかのコンテンポラリー作品でオペラ座の舞台に立っている。昨秋、オレリー・デュポン芸術監督が4名のコンテンポラリー・コレオグラファーに創作を依頼した公演中、彼女はメディ・ケルクーシュの『Et Si』に参加。

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<男性/カドリーユからコリフェへ>

シュン・ヴィン・ラム(Chun-Wing Lam)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2015年の入団。『未来のエトワールたち2 パリ・オペラ座バレエ学校 あれから5年…』で香港から訪ねてきた母親とともに出演した彼の素直なキャラクターに、彼を応援する人は少なくない。小柄ゆえの身軽さを武器にスピーディで軽快なテクニックを見せる彼。コリフェに上がり、活躍の場が増えることだろう。

ジャック・ガシュトゥットゥ(Jack Gasztowtt)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2017年に入団。2018年に公演が行われた『アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル』の3作品中、タイプの異なる2作品で強い印象を残した彼は、先が気になる若手ダンサーのひとりだ。

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<女性/コリフェからスジェへ>

カミーユ・ボン(Camille Bon)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2015年に入団した彼女は、最初のコンクールでコリフェに昇級。クラシック作品のコール・ド・バレエに欠かせぬダンサーである。スジェにあがった彼女が、ドゥミ・ソリストとして踊る機会を楽しみに待とう。

クレマンス・グロス(Clémence Gross)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2013年に入団。コリフェに上がったのが2020年と少々時間がかかった彼女だが、スジェへの昇級はトントン拍子となった。コンテンポラリー作品で実力を発揮するダンサーである。今後ますますコンテンポラリー作品の比重が増すと噂される現芸術監督によるプログラム。彼女も配役に恵まれるに違いない。

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<男性/コリフェからスジェへ>

アンドレア・サーリ(Andrea Sarri)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

2016年に入団し、2018年にコリフェに昇級。前回のコンクールでは健闘したもののフロラン・メラック(2010年入団)、シモン・ル・ボルニュ(契約団員をへて2016年入団)、トマ・ドキール(2015年入団)といった舞台経験豊富な先輩たちに適わず。今回は1位でスジェに昇級を果たした。優れた身体能力をコンテンポラリー作品で発揮するイタリア人ダンサーだ。

ニコラウス・チュドラン(Nikolaus Tudorin)

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photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

ライプツィヒのバレエ団でキャリアをスタートし、2018年にパリ・オペラ座バレエ団に入団した。2020年コリフェに昇級したもののストやコロナ禍ゆえの劇場封鎖が続き、コリフェとして踊る機会にはあまり恵まれぬままで終わった。憧れのダンサーはマニュエル・ルグリだという彼。クラシック作品をとても優雅に踊る。オーストラリア出身。

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon

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