Japan Brand
パリのマルシェとレシピ。
「日本の物って、いつも美しくて高性能よね・・・」と言うフランス人。
"made in japan"は、みんなの憧れです。
先日、シャンゼリゼで開かれたJapan Brandの展示会に出かけて来ました。
中に入ってすぐに心惹かれたのは、九州・小倉で江戸時代から作り続けられていたという"小倉織"。
80年前に途絶えてしまったものを、染織家である築城則子さんが"縞縞Shima-Shima"ブランドとして現代に蘇えらせたもの。そもそも、武士の袴や帯として織られていたものだそうで、しなやかできめ細かい織とダイナミックな柄に、潔さや凛とした力強さを感じます。
築城氏が手織りした草木染めの反物。創られた作品は、東京国立近代美術館やロンドンのVictoria& Albert Museum にも収蔵され ています。
プレタ用に作られた広幅の反物。
左の写真:中央が築城則子氏、右は靴デザイナーのTamanoさん、こちらの布を用いた靴作りを検討中です。
築城さんがパンフレットに記した言葉「・・・雨音、月光、川の流れ、時にはバッハの無伴奏チェロなどの音楽からも無限に縞が現れます」というのを読んでハッと思い出したのは、北斎の"名所江戸百景"の中で描かれていた夕立。これを初めて見た西洋人は線として表されている雨に驚嘆したという。目に見えないもの、音、風や光・・・あらゆるものを縞・線と捉えていた事。当時も今も欧米人には持ち得ない繊細でいて鋭い感覚が本当に面白いと思いました。
後日、参加された expo Maison & Objet では、建築家やインテリア・デザイナーからも高く評価されて、サンプルの依頼も多かったそう(大成功です!!)。
Maison & Objetの展示。
実は、この築城さん「ともだちのアトリエ その2~ それから」に出て頂いた岩田美智子さんの義理のお姉さまだそうで・・・なんという偶然!! 不思議なご縁に嬉しくなりました。
他にも、素晴らしい工芸品の数々が・・・
青森県弘前から出品された"こぎん刺し"。
これまで、ひたすら地味なイメージを持っていたのですが、(ごめんなさい)これは、新鮮です!
古くから農村に伝わってきた手仕事、ひと針ひと針に心が込もっています。
このアソートが何ともフォークロア風で、かわいい!
この柄も北欧風に見えてくるから不思議です。こぎん刺しを熱く語る、「弘前こぎん研究所」の成田さん。
ルイ・ヴィトンとコラボを果たしたという世界の"WAJIMA-NURI"。
こういうヨーロッパの老舗ブランドの注文に対応できるのも、揺るぎ無い職人技があってこそですね。
日本の包丁は常にヨーロッパのシェフ達の垂涎の的。
福井県越前からは、美しい包丁や砥石、まな板が出品されていました。
切れ味を試す、イタリア人シェフのFabioさん. この後、即購入!
会津塗りの産地からは、「2人で楽しむお茶の時間」をテーマにデザインされた「chabako」と「ティーセット」桐の木目が清々しい。
Bitowaというシリーズ。これは、欲しい! アールデコを感じる美しい鏡台。
鳥取県の手漉き因州和紙を使ったランプ。
プロダクトデザイナー喜多俊之氏のディレクションによる和紙ランプのシリーズ。
サロンMaison & Objetでのこと。
Suzusanという会社の有松鳴海しぼりを使った照明器具の下に人だかりが・・・壁のビデオには、おばあさんが丹念にくくりの作業をしている様子が映し出されていたのですが、これを見て涙が出てきました。
400年も前から家々に伝わって、ずっと女たちが支えてきた手仕事・・・魂こもってるなあ・・・今に残っているこの存在自体が感動的です。
大量生産のものに押されて衰退してしまった手仕事、そこに一筋の光をもたらしている熱心な人達・・・胸が熱くなります。
日本の伝統と技術、かたちとこころ・・・世界で唯一日本人だけがなせる業。
これから益々、世界へ広がりますように。