真似したくなる、キャンドルが香るカンテサンスの世界。

PARIS DECO

カンテサンスはヴァランティーヌ・ポッツォ・ディ・ボルゴが2008年に創立したパフューム・キャンドルのメゾンである。コルシカ1の名家の出身で、フランスの香料メーカーとして名高いジボダンのファミリーの一員でもある彼女は、洗練された香りの暮らしを演出するにふさわしいバックグラウンドの持ち主。さまざまなパフューマーたちとクリエート、アーティストとのコラボレーション、キャンドルの香りにコーディネートした紅茶の販売・・・・・・とアール・ドゥ・ヴィーヴルの世界での活動の幅を広げている。

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カンテサンスのバック通り店。壁紙は6区のde Gournay、陶の花は7区のLe Cabinet de Porcelaineから。photo:Mariko OMURA

 

クリスマスに向けて発表されたパフューム・キャンドルは、「Angélys」。カネル、ジロフル、洋梨とキャラメル・・・・・・など寒い季節に室内にアットホームなクリスマスの雰囲気をクリエイトするのにぴったりの香りだ。そして、アーティストとのコラボレーションは、なんとパフューム・キャンドルのためのクッション。遠目にはソフトに見えるけれどセメント製なのでとても硬く、複数重ねる事も可能だ。これはアーティストのAline Erbeiaによる作品で、100個の限定で販売。マットなシルバー、古びたコンクリート色、銃弾の色、マットのゴールドの4色から選べる。

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左:クリスマスの時期にぴったりな香りのAngélys
右:クッションは4色あり、単品売り。150ユーロ。

 

新作の中で、今すぐに部屋に漂わせたいのは木蓮の香りのMagnolia Nuit。花をペイントした容器から、マグノリア、ジャスミン、ピーチ、ベルガモットなど、オリエンタル・フローラルな芳しい香りが立ち上る。ヴァランティーヌはこのキャンドルの発売と同時に、マグノリアの花の陶製のキャンドル・スタンドをLe Cabinet de Porcelaine(ル・キャビネ・ドゥ・ポルスレンヌ)にオーダー。中央にティーライトを置けるよう、花芯部分が平らになっている。ブティックで販売中だ。

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左:Magnolia Nuitは限定販売。Quintessence のブティックだけでなく、パレ・ロワイヤルの手袋のブティックFabre でも購入できる。57ユーロ。
右:陶製マグノリアのキャンドル・スタンド。65ユーロ。

 

ユニヴェルシテ通りだけでなく、今ではバック通りにもブティックを構えているカンテサンス。バック通りのブティックのウインドーには、ブロンズの枝と陶のマグノリアの花がなすオブジェが飾られ、道行く人の顔をほころばせる。ほんのりピンク色のマグノリアは、まるで本物のよう。これもル・キャビネ・ドゥ・ポルスレンヌのサミュエル・マズィが製作したという。ちょっと気になるのでこのブティックを訪ねてみることにした。

小さな店内は陶器の花が咲き誇る美しいミニ・庭園といった感じだ。チューリップ、朝顔、木蓮、パンジー・・・・・・18世紀の技術を今に応用して、花弁のひとつずつが手作りされている。サミュエルはフランスの中央部のリムーザンにアトリエを構えているので、写真や図鑑ではなく、自然の中に咲く花をモデルに製作できるという幸運。鉢に植えられ1輪60ユーロからというように手頃とは言い難い価格だが、コレクションをするパリジェンヌも少なくないそうだ。もちろんギフトにも喜ばれる。その昔、ルイ15世の愛妾ポンパドール夫人は、庭に陶器の花を敷き詰めたとか。季節を問わず、いつでも愛らしい花をめでることができる素晴らしい アイデアだ。実現の予算があれば、だけれど・・・・・・。

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Le Cabinet de Porcelaineの店内は歩くのがちょっと怖いくらいに花で満たされている。内装には18世紀の椅子などを配置。

 

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陶製の花は鉢とセットでひとつの作品として販売されている。60ユーロから。
photos:Mariko OMURA

 

カンテセンスのバック通り店では、マグノリアの花の背景の壁紙も美しい。最近のパリのインテリアのトレンドに沿って、店全体ではなくレジの後方の壁のみなのだが、中国が原産地の花を意識したのか、水墨画のようなグレートーンに花が咲き、鳥が舞う・・・・・・といった図柄である。これはサン・ペール通りにショールームを構えるde Gournay(ドゥ・グルネイ)のものだと、ヴァレンティーヌが教えてくれた。フランス的な響きの名前だが、本拠地はロンドン。ハンドペインティングで、セミオーダーが可能というリュクスな壁紙として、とても有名なメゾンだそうだ。とりわけ有名なのはシノワズリー・コレクションで、クチュールメゾン、ハイジュエラーなどのサロンなど一般人の目にはあまり触れない場所を飾っている様子である。壁紙だけでなく、シルクのハンドペインティングもしていて、例えばジェニー・パッカムがドレスに使用したり(キャサリン妃も着用していた!)、ニューヨークのMETで開催されるボール・ガラではステージのカーテンにも使われたり・・・・・・と。インテリア業界だけでなく、ファッション界でもそのオリジナリティ溢れる仕事への評価が高いメゾンのようだ。そうそう、香水ココ マドモアゼルのCFでも、キーラ・ナイトレイの後方にちらりとドゥ・グルネイのゴールドの壁紙を見ることができます。

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de Gournayのシノワズリー・コレクションの壁紙。折衷様式が愛されるパリのアパルトマンにとてもよく似合う。

 

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左:アールデコ期に活躍し、ジャンヌ・ランバンの自宅を手がけたことでも有名な室内装飾家アルベール・ラトー。黒とゴールドで植物、動物を描く彼のスタイルにインスパイアーされた壁紙もある。
右:風景を描いた壁紙も、パリで目下流行している。
photos:Mariko OMURA

 

カンテサンス/Quintessence
77, rue du Bac
75007 Paris
Tel. 01 42 84 32 05
営)11:00~14:00、15:00~19:00
休)日・祝
http://quintessence-paris.com

ル・キャビネ・ドゥ・ポルスレンヌ/Le Cabinet de Porcelaine
37, rue de Verneuil
75007 Paris
Tel. 01 42 60 25 40
営)12:00~19:00
休)日・月・祝
www.lecacinetdeporcelaine.com

ドゥ・グルネイ/de Gournay
15, rue des Saints Pères
75006 Paris
Tel. 01 40 20 08 97
www.degournay.com
大村真理子
Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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