ヴィオレーヌの色のある暮らし、壁紙のある暮らし。

PARIS DECO

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Violaine Belle-Croix/ヴィオレーヌ・ベル=クロワ
子供靴ブランドClotaire 共同設立者

「仕事柄、クリエイターと話す機会もあれば、インテリアのフェアも見て回るし、新作発表やブティックのオープニングにも出席するので、インテリアについて自然と目は肥えてゆくでしょ。知識も豊富になる。それにもともと私が持っている関心や趣味というのもあって……。自宅の内装についていえば、私、歴史がある古い品が好きなの。だから、蚤の市とかで掘り出したものや、家族から譲り受けた家具などもある。でもね、新しい品を買うのも嫌いじゃないのよ。いずれにしても、インテリアは一気に変えられるものじゃなく、徐々に変化してゆくものでしょ。それに、室内装飾の仕事のようにパーフェクトに統一されているより、アクシデントじゃないけれど、どこか少し場違いな部分があるインテリアの方が私は好きなの」

子供靴ブランドClotaire(クロテール)を数年前に始めたヴィオレーヌ。15年くらい前子供のためのモード雑誌の創刊時に編集長を任され、いまも年2回刊の別の子供雑誌の編集長を務めているというように、子供の世界に精通したジャーナリストとして彼女は知られている。自身も8歳、5歳、14カ月の男子3人のママである。120平米あるこのアパルトマンに越してきたのは、3人目の妊娠中。いまから1年半前のことだ。白い空間が嫌いで、色の中だけで暮らせたら幸せ! というだけあって、各部屋に個性のあるインテリアをつくりあげた。まずは、景色の壁紙が素敵なリビングルームから紹介しよう。

「この壁紙を選んだのは、夫のブノワなの。私だったら、モノクロームは選ばなかったと思うけど、これ、本当に素晴らしい。できることなら、その前に家具とか何も置きたくないのだけど、そうはいかないのが残念ね。夜、照明の灯りの中でとても温かな雰囲気を作り出すのよ。子供たちは子細に眺めては、何かしら壁紙の中に発見をして楽しんでいるし……」

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リビングルームには、6区のAu Fils de Couleursで見つけたモノクロームの壁紙「Le Cœur des Andes(アンデスの山中)」を。

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見る角度、日の当たり方によって風景が異なる表情を見せる。淡いグレーの濃淡なので家具の色と合わせやすいうえ、白い壁に比べオブジェなどとのコントラストが強くなりすぎないのも良い。

ブルレック兄弟がデザインしたテレビが控えめに、部屋の片隅に置かれている。この山景色のあるリビングルームで夫妻はソファに座って、週末は映画鑑賞を楽しむ。リビングルームに向き合うのは、中央に大きな長方形のテーブルが置かれたダイニングルームだ。こちらは壁一面を木製の家具が覆っている。最近組み立てたばかりだという。

「祖父のだったのよ、これ。OSKARとかいう名前のシステム家具で、彼の家には9モジュールあったの。でも、うちは3モジュールでいっぱい。古いものでちょっと傷ついたりしてるけど、いろいろ収納できるだけでなく、ガラス扉の部分もあるので見せる収納も可能でいいわね。花瓶とか小さなランプとか、ちょっとしたオブジェが私は大好きで、ここに見えるお皿やカラフェは契約している“Designerbox(デザイナーボックス)”から受け取ったものなの。これはマイ・リトル・ボックスのデザイン版みたいなもので、毎月クリエイターによるインテリアのオブジェを受け取るのよ。自分では積極的に買わないような品もあるけど、どれも気に入るものばかり」

グラフィックデザインやビデオ制作などを手がけるブノワも、彼女同様にフリーランス。ふたりとも仕事に追われる日々を送っているが、友達を招いてディナーを催すのは大好き。大勢が座れるサイズの食卓がスペースを占めるのもそれゆえだ。18区のアフリカ人街で購入したワックス布のカラフルで大きなモチーフが、テーブルいっぱいに広がり、陽気な雰囲気を醸し出している。

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リビングルームの淡いブルーグレーのソファ、ダイニングテーブルの色鮮やかなクロス、不揃いの椅子、木の家具、花器のコレクション……“好き”が合言葉の、不統一の統一感が魅力のインテリア。

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デザイナーボックスから届いた品やギフトや本などが、OSKARのガラス棚を飾る。

≫ ピエール・フレイの壁紙が彩る、夫妻の寝室&子供部屋。

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リビングルームのモノクロームのソフトな壁と好対照をなすのは、夫妻の寝室だ。ここでは、カラフルなサークルが描く抽象画のようなモチーフが壁一面に広がっている。なかなか大胆なセレクション!

「つい最近、貼ったところなのよ。この部屋の壁には布が欲しいというところからスタート。というのも、子供の頃に母が廊下に壁布を貼っていた思い出があって……。私はPierre Frey(ピエール・フレイ)の仕事が好きなので、カタログを片っ端に見ていって、最終的にブノワと二人で『1920』という名前のこのモチーフに決めたの。私がインテリアでしたいアイデアは、常に彼の了解を得てから実践してるのよ。彼は私が、オブジェなどを並べてちまちまとしたコーナーを作るのは嫌っていて……ふたりで内装をすることによって、あまりガーリーにならずに済んでいるのだと思うわ。で、私が選んだこの『1920』のモチーフは彼もとっても気に入ったのね。寝具の色の辛子色は私が大好きな色で、ヴィオレーヌといえば辛子色! ってみんな知ってるくらい(笑)。この壁布は、この色にすごくマッチしてると思うわ」

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ピエール・フレイの壁布「Mille neuf cent vingt(1920)」。ソニア・ドローネーにインスパイアされたレオン・ティクシエによるサークルのモチーフが辛子色の寝具とカラーハーモニーをなしている。

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壁布を貼った壁以外はファロー&ボールの淡いブルーでペイント。落ち着きのある色で、木の家具とマッチしている。ジオ・ポンティ風のデスクやウィークエンド・ハウス用に購入したものの寝室が定位置となったベンチ……。

お気に入りのピエール・フレイでは、3男の部屋の壁紙も選んでいる。一番奥の静かな部屋だが、小さな中庭に面していて採光には恵まれてないというのが欠点だという。

「それに中庭といっても建物に囲まれているだけで、魅力のかけらもなくって……だから最高に可愛い部屋にしよう! って思ったの。ピエール・フレイの品はクオリティが高いし、古いメゾンなのでモチーフのチョイスが幅広く多数あるのがいいわ」

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三男の部屋の壁紙はピエール・フレイの「Kippling」。「ジャングルブック」の作者の名前がぴったりのモチーフで、よく見ると動物が葉の陰にたくさん潜んでいる。

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子供雑誌の編集長というだけあり、子供部屋のインテリアはお手の物!

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長男と次男の部屋は壁紙ではなく、濃いブルーにペイントした。レゴのコーナーはママが手を出すことは、許されないそうだ。

≫ ヴィオレーヌの仕事スペース、リラックマとのコラボレーションも。

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以前ヴィオレーヌはオフィスを別の場所に構えていたが、このアパルトマンに越してからは、ゆったりとした廊下にコーナー的に構えたオフィスで仕事をしている。インターネットだけで販売する日常用の子供靴というコンセプトで始めたブランドClotaireは、この秋からは希望に応えて女性用の販売も始めるのでヴィオレーヌはなかなか忙しい。日中に仕事をし、夕方6時から8時までは子供との時間なのでいったん仕事の手を休める。宿題などは彼女のデスクで一緒にすることがあるが、子供たちと時間を多く過ごすのはキッチンだそうだ。掃除が楽なようにと白黒の格子模様のリノリウムで床が覆われ、壁一面にオープンな収納棚を設けられている。そこに種類さまざまな食器がずらり。

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ヴィオレーヌの仕事場を設けた廊下の白い壁にも、旅の思い出やさまざまなオブジェを飾っている。

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引っ越し前から持っていた品々、新しい購入品などをミックスしてコーナーを作るヴィオレーヌ。タイでカニ取りに使われているカゴを持ち帰り、中にツェツェのランプを仕込んだランプなどDIYも。

「食器が大好きなの。ここに並んでいるのは一部で、ウィークエンド・ハウスにもいっぱいよ。使い切れないほどあるとわかっているけど、気に入った品に出合うと買ってしまうの。ブロカントでまとめて2ユーロとか、1枚1ユーロとか……。せめて4皿とか4客とか揃いで買えないものなの? って、母からしょっちゅう小言をもらうの(笑)。私にはどの品にも思い出があって、どこで買ったかもよく覚えてるほどよ」

この棚はなかなか片付けられないままでいる。整理しなければ、と思う一方、彼女の頭にはインテリアの新しいアイデアがある。毎日一番多く時間を過ごすオフィス部分がある廊下をグリーンに塗りたいと思っているのだ。でも、ブノワから“信じられない!”という反応があって、このアイデアはペンディング中。彼女はCaravane(キャラヴァンヌ)ですでに気に入ったペンキを見つけている。さあ、どうなることか……。

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キッチン。1枚しかなかったけれど、気に入ったので購入したという1ユーロのお皿もあれば、モノプリで一目惚れしたものまで、時代も素材もさまざまな食器はどれもヴィオレーヌのお気に入りだ。

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温もりを感じさせる木の素材のオブジェや家具には、華やかな色をプラスする。

Clotaire(クロテール)

子供につけたくても夫の反対であきらめたというクロテールという名前。ヴィオレーヌは子供靴のブランドを始める際に、この昔のフランスの王様の名前をつけることにした。今から数年前のことだ。有名な靴ブランドが持つ、使わず終いの革のストックを入手して製造する子供靴は、上質ながら適正な価格、そしてありそうでなかったベーシックなデザインでカラフル……販売はインターネットだけと決めている。品質も良く、返却も簡単、ということが、オンラインショップに抵抗のあった購入者たちに理解されて、今や子供靴の人気ブランドに。サイズを下はベビー用、上は40まで広げて、とブランドは成長を続けている。コラボレーションも行っていて、この秋は日本のキャラクターであるリラックマがパートナーだ。クロテールの定番デザインにリラックマがキュートな表情を添えている。

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9月から販売を開始するコラボレーションのClotaire × Rilakkuma ©San-X。Agnan Bottinne Rila のシリーズはブーツのサイドに革でパッチされたリラックマの顔も靴紐の色の組み合わせもキュートだ。

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ベビー用のAnnan Baby Rilaはつま先にリラクッマが刺繍されている。ブーツと同じ6色。

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Clotaireの秋冬コレクションから。サイドゴムのブーツ、ベルト靴など、ほとんどのデザインが1足60ユーロ台。

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バイカラーの色の組み合わせにヴィオレーヌのセンスが表れている。

この夏に、ヴィオレーヌは子供用のデザインをベースに大人の女性用靴を作ってみた。というのも、つま先が丸く、あまり大人向きではない子供靴ながら、大きなサイズは大人の女性もけっこう購入していることがわかったからだ。その結果、すばらしい売れゆきだった。

「この秋からは、女性用ブーツの販売も始めるの。私がブーツ好きということもあるのだけど、子供のいる女性が日常的に履けるブーツがあるといいと思って。フラットだけどフラットではなく、つま先が尖ってないけど尖ってる、というブーツよ。これはヒールを履くのをためらう思春期の若い子にもいいタイプだわ」

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Eulogie(ユーロジィ)と命名された女性用ブーツ。

Clotaire(クロテール)
www.chaussuresclotaire.com/fr
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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