器好きが吸い寄せられる小さなブティック、nous。
PARIS DECO
nous(ヌー)が2016年秋にオープンした時は香りも扱っていたが、昨年末からは器とリネンだけのブティックに変身。その際に店内も改装し、ぐっとミニマルな内装に器の個性が映えるようになった。オーナーのジョゼフィーヌ・ポンソルはアルチザナルによるアール・ド・ヴィーヴルというコンセプトで買い付けをし、彼女を魅了するさまざまな陶芸家たちによる器を提案している。ジョゼフィーヌが自分であちこち移動して集めてくる器は、パリ市内の他のブティックでは見つからないような品ばかり。それゆえ、自分のため、あるいは贈りものにと、器好きのパリジェンヌたちがこの小さな店に集まってくるのだ。
木の棚、テーブル……和食店を思わせる落ち着いた趣の店内。
食器マニアの心をとらえる品揃えと、ジョゼフィーヌによる現代的で品のあるコーディネートは目のお楽しみだ。
ジョゼフィーヌは自分が選んだ陶器に似合うアフリカやインドからの素朴な味わいのリネン類も扱っている。ブティック内の中央に置かれた大きなテーブル上で、彼女は複数の作家の仕事をミックスし、かつリネンも合わせてテーブルコーディネートの面白さも見せている。どんな器にここで出会えるのだろうか。少し紹介をしよう。
Laurette Broll(ローレット・ブロル)。パリ14区のアトリエで手作りされる砂岩をつかった1点もの。独特なソフトな色あいに目を惹きつけられる。直径14cmの器は26ユーロ。
Marie Laurent(マリー・ローラン)。白くピュアな起き上がりこぼしのような器は、とてもポエティック。1個27〜55ユーロ。
Pascale Mestre(パスカル・メストル)。大理石のような陶器は南仏アプトに18世紀から伝わるサヴォワールフェールのテールメレと呼ばれるもので、パリではなかなか見つけられない。カップ1個50ユーロ。
Porcelaines de Laure(ポースレンヌ・ドゥ・ロール)。手描で驚くほど細密に昆虫が描かれている。1個36ユーロ。
Cassandre Bouilly(カサンドル・ブイイ)の縄目レリーフの花器(42ユーロ)や、ブルゴーニュの Les Guimards(レ・ギマール)のバイカラーの花器などジョゼフィーヌのセレクションはどれもフォルムがシンプル。
左の手描きの大皿はギリシャのAtsonios Sifnos (アトソニオス・シフォノス)。
ギニアの手染めの布など、ジョゼフィーヌはリネンのセレクションにもこだわりを見せる。
19, rue Clauzel 75009 Paris
Tel:01 42 79 99 04
営)11:00~19:30
休)日・月(月は予約のみ)
www.nousparis.com/fr
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。