モンマルトル上がる下がる。ダリの作品館と新しいホテル。

PARIS DECO

1860年にパリが12区から20区まで拡張されたときに、郊外だったモンマルトルもパリの一部となった。その後オスマン男爵によるパリ大改造によって中心部の家賃があがり、貧しい芸術家たちは家賃の安いパリの外れの18区モンマルトルへ大移動。最近ではボボたちが地価をあげてしまった9区、10区から北上してくる若者たちが多く、おかげで可愛いお店や新しいカフェなどが次々とオープンしている。昔ながらのボヘミアンな雰囲気が残るパリの下町。モンマルトルの丘と呼ばれるだけあって、この界隈を散歩するというのは、京都と違って文字通り坂道や階段を上がったり、下がったりということになる。

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モンマルトルの丘である。名所見学も坂道と階段は避けられない!

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勾配のある景色が待っている。

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オテル・リテレール・マルセル・エイメに泊まる。

モンマルトルの魅力を発掘する滞在をするのであれば、モンマルトルのホテルに泊まるのはどうだろうか? 最近Hotel Littéraire Marcel Aymé(オテル・リテレール・マルセル・エイメ)がオープンした。作家の名前を冠したホテルチェーンのひとつで、マルセル・エイメというのも作家なのだが、日本で知られているのは短編の『壁抜け男』くらいだろうか。モンマルトルにはこの“壁抜け男”に会える広場があるので、ぜひ行って見てみてほしい。作家が住んでいた家の前に、1989年、俳優で彫刻家のジャン・マレーが壁に囚われているエイメの姿を創作。そのエイメの手を捕まえようとジャンプする人々で賑わう、モンマルトルのフォト・スポットだ。

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少しばかり見つけにくい場所にある18区のマルセル・エイメ広場。 ジャン・マレーが彫刻『壁抜け男』のモデルにしたのは作家自身だ。壁を通り抜けられるという才能にある日突然恵まれた男が、最後は抜けられるはずの壁に囚われてしまうという短編小説は、エイメ作品の第一歩としてよいだろう。

ホテルはモンマルトルらしく気取りがない雰囲気だが、インターネット接続やネスプレッソ・マシーンなど滞在客のための配慮は万全! 快適さは4つ星並みと胸をはるホテルだ。当然ながらホテルのキャラクターであるマルセル・エイメの姿はフロントをはじめ、廊下や階段などあちこちに登場する。小説、戯曲に加え童話も書いていた彼。ロビー・フロアのサロンでは、宿泊客が自由に読めるよう多数の著作が書棚に並べられている。

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モンマルトルの住民だった作家マルセル・エイメがフロントでお出迎え! パリの文学ホテルは8区にマルセル・プルーストに捧げるHotel Littéraire Le Swannがある。

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地下の朝食室には階段を使おう。モンマルトルを歩くマルセル・エイメ(1902〜1967年)に会える。廊下の読書コーナーでも!

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ホテル内、いたるところにエイメの作品に関わるオブジェや写真が。エレベーターの中はジャン・ギャバンの写真だ。エイメの同名小説が原作の映画『la Traversée de Paris(パリ横断)』の主役を彼が演じた。

4カテゴリの39室(14〜16平米)、スタジオ(20平米)、そしてアパルトマンという構成のホテル。客室のインテリアは部屋ごとに異なっているが、エイメの小説にインスピレーションを得たパリがモチーフの壁紙がなかなか可愛らしく、彼の作品を読んでいなくても、十分に滞在が楽しくなる部屋ばかり。窓からの眺めが素晴らしい最上階もいいし、キッチン付きが希望なら7月半ばから予約を取り始めるというスタジオかアパルトマンがいいだろう。4名以上のグループ滞在が可能なアパルトマンは、独立した出入り口も備えているというから、モンマルトルの住民気分がしっかり味わえそう!

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壁に散りばめられたパリのモチーフが可愛い。2人で1泊100ユーロ以下の部屋が見つかるし、時期によっては4泊以上は15%のディスカウントが適用される。

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7月半ばから予約を開始するアパルトマン。最高6名まで宿泊可能な2部屋からなる53平米と、4名が宿泊できる33平米の2タイプがある。どちらも簡易キッチン、食卓、独立した出入り口を備えている。なお2名用のスタジオ(20平米)も簡易キッチン付きだ。

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小説、戯曲、童話。マルセル・エイメの作品にはよく動物が登場する。地下の朝食室は『緑の雌馬』をインテリアのインスピレーション源にしたそうだ。作品を読んでいなくても、この雰囲気は楽しめる。

Hotel Littéraire Marcel Aymé(オテル・リテレール・マルセル・エイメ)
16, rue Tholozé
75018 Paris
tel:01 42 55 05 06
https://hotel-litteraire-marcel-ayme.com

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ダリ・パリで「へぇ〜」と発見。

モンマルトルの観光名所のひとつだったエスパス・ダリ。場所はそのままだが大改装を終え、Dali Paris(ダリ・パリ)と名前を変えて4月13日に新装オープンした。

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こちらはダリがお出迎え! 壁抜け男の広場、モンマルトル美術館などからもそう遠くない。

ダリの画商で著名なコレクターのひとりでもあるベニアニモ・レヴィの300点近い個人所蔵品を展示するスペースだ。彼がコレクションを始めるのは、ミラノで画廊経営をしていた1970年頃のこと。ダリとガラに当時の彼らのパリの住まいであったパリのル・ムーリスで出会い、すっかりダリに魅了されてしまったのだ。そして早速2点を購入。以来、彼のダリ熱は収まらずパリに限らず、ニューヨークやスペインのカダケスまでダリ夫妻を訪ね……そして、ついにダリの彫刻や絵画のリプロダクションを始め、さらにダリの許可を得て、デッサンをもとにブロンズの彫刻の製造もスタート。ダリ・パリというのは、アーティスト本人と緊密な関係にあり、作品に精通しているレヴィだから作れたスペースといえるだろう。

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最初の部屋で、縄跳びをするアリスで有名なダリによる「不思議の国のアリス」の世界へ! 挿絵の一点ずつをじっくり鑑賞しよう。

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彫刻、版画、オブジェ……展示作品は多岐に渡る。

新しくなった会場内、彫刻、グアッシュ、リトグラフなどがテーマに合わせて展示されている。様々な技法や多岐にわたる表現法など、あまりこれまで語られなかったダリの仕事ぶりもクローズアップ。版画のテクニックや、ロストワックスの技法も紹介している。広い地下スペースはテーマに区切られているが、自由に回遊できる作りなので、遊ぶように展示作品を見学できる。

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蝶々かアルルカンか。こんなアナモルフォーズのような作品も残していたんだ! といろいろ発見できる。クリスタルのドームとのコラボレーションやカトラリーなども展示。

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シュールな作品はもちろん!

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ダリと切っても切れないガラのコーナー。

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最後のコーナーは作品の販売、ブティックとなっている。

Dali Paris
11, rue Poulbot
75018 Paris
tel:01 42 64 40 10
開)10:00〜18:30
無休
入場料:12ユーロ
www.daliparis.com
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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