デザインと建築好きが、入ったら出られなくなる家具展。

PARIS DECO

トロカデロ広場のシャイヨー宮内に2007年にオープンした、建築・文化財博物館。9月30日まで、"小さなスプーンからシャンデリアまで" とうたう企画展『建築家の家具 1960〜2020年』が開催されている。

これまでまとまって紹介されることがなかったこの60年間の建築家による家具が、いかにバリエーションに富み、豊かなものかを語るべく、椅子、照明器具など250点以上が会場に集められたのだ。今回、企画展としては初めて博物館の建物のすべてを展示会場に使用。 伝統の継承者、プロフェッショナル・デザイナー、デザインのエディター、コミットメント、デザインに情熱を傾ける人、臨時デザイナー といったテーマを追って、レベル1、レベル2、地上階、地下2階を上がって、降りて……。建物全館という広大なスペースを使っての展示なので、時間にたっぷりと余裕をもって行くのがいいだろう。

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アンナ・カステッリ・フェリエーリの収納家具 “コンポニビリ”(1967年)Kartelle ©Simona Pesarinie, courtesy Kartelle Museo Archive

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妹島和世による“Hanahana”(1999年)Driade©Driade

建築・文化財博物館内は、フランス国内の教会や聖堂の像や装飾の7000点もの複製を展示するフロアもあれば、フランス国内の教会の12〜16世紀の壁画が複製された壁画のギャラリーもある。またレべル2の近代建築のギャラリーでは、設計図、模型といった展示に加え、ル・コルビュジエによるユニテ・ダビタシオンの実物大模型も常設。この中に入って、どれほど合理的に設計されているかを自分の目で確かめ、感じられる貴重な体験ができる。こうした常設空間に展示されているのはロン・アラッド、フランク・ゲーリー、ザハ・ハディッド、エットーレ・ソットサス、アルド・ロッシ、ジャン・ヌーヴェル、ノーマン・フォスター……。

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壁画の複製の中でも、このカオールのサンテティエンヌ聖堂の13世紀の壁画が再現されたドームが圧巻。その部屋の中央に置かれたザハ・ハディッドのソファでさらに驚きが倍増する。後方に見えるのは彼女の “aqua table”(2006年)。展示の向かい側の窓の向こうにエッフェル塔が見えるというのが、なんだかシュール。photo:Mariko Omura

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1937〜1965年に建物内に再現された壁画を背景に、椅子を展示。© Cité de l’artichecture & du patrimoine

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メンフィスの家具やオブジェを展示するコーナー。© Cité de l’artichecture & du patrimoine

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建築・文化財博物館でしか実現できない展示法にも注目を。© Cité de l’artichecture & du patrimoine

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マルセイユのユニテ・ダビタシオンの向かいに、シルヴァン・デュビュイッソンが1990年に文化省のためにデザインした肘掛け椅子を展示。photo:Mariko Omura

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再現されたユニテ・ダビタシオンの2フロアを自由に見学できる。photo:Mariko Omura

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さて、なぜ1960〜2020年なのかというと……。第二次世界大戦前、建築家たちは家具もデザインしていたけれど、大戦後の復興の仕事量が膨大で建物以外に手がまわらなくなってしまった。その結果、室内建築家、スペースプランナー、デザイナーという職業が生まれることに。建築家たちは1960年代になって、建築における経験を活用し、小建築物としてオブジェ、照明、椅子などに取り組み直すのである。その仕事をこの展覧会で見ることができるのだ。

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アルド・ロッシによるAlessiの “Tea and Coffee Piazza”(1983年)。photo:Mariko Omura

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左後方はカンパナ兄弟による “Vermelha”(1993年)、中央はパントンチェア(1999年)。右後方はジョー・コロンボによる "mini kitchen"(1963年)。photo:Mariko Omura

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イザベル・セールによる長椅子(1983年)。photo:Mariko Omura

『Le mobilier d’architectes, 1960-2020』展
会期:開催中〜2019年9月30日
会場:Cité de l’architecture & du patrimoine
Palais de Chaillot
1, place du Trocadéro
営)11時〜19時(木21時)
休)火曜
料:12ユーロ(26歳以下無料)
www.citedelarchitecture.fr
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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