【空間と美食で2倍の贅沢 3】対照が調和するコントラスト。

PARIS DECO

マドレーヌ寺院、フォーブル・サントノーレ通りに近いシックな一角にオープンしたContraste(コントラスト)。通りに面した一面がガラスなので向かいの建物が映り込み、さらに扉の片側はカーテンで閉ざされ、もう片側はワインボトルがガラスの内側に並べられているので、どんな店内なのかが想像もつかない。謎めいたレストランである。

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コントラスト。外観からは想像のつかない内装のレストランだ。

小さな扉を開けると、目の前に広がるのは不思議な世界だ。壁を覆うのは彫物を施した薄グレーの美しい18世紀風のボワズリー。その壁に掛けられているのはトム・ディクソンのデザインによるぐにゃりとしたオーガニックフォルムのライトで、暖かみのある光を店内に放っている。天井をタコのように這うのは小さな丸い赤のスピーカーと赤いコードで、さらにその天井からは超クラシックなシャンデリアとガラスキューブのようなランプが下がり……こう文字にすると、奇妙な組み合わせとしか思えないのだが、過去と現在の見事な対照から生まれる遊びが利いているせいか、チグハグに終わらず独特なハーモニーを空間全体に奏でているのが見事だ。

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大理石のテーブル、タバコ色のシート、ピエール・ポランの肘掛け椅子Tulipが並ぶ店内。革のタブリエをつけたスタッフがきびきびと働く。昼はダイナミックに、夜はファンキーな雰囲気で。©Romain Gaillard

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キッチンに続く奥の小さなスペースでは、シェフたちが働く姿が眺められる。

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店名の意味は“対照”で、これはカタルーニャ地方出身のケヴィン・ドゥ・ポールとブルターニュ地方出身のエルワン・ルドリュという2人の若いシェフからインスパイアされた命名なのだという。2つの異なるものが並置され、互いが自分と異なる他方を浮き立たせる関係にあるコントラスト。デュオ・シェフのコントラストを物語る料理例はメインのベロータ豚と牡蠣という組み合わせである。これは一種のステートメント的ひと皿。もちろん、どれもこれもこのようにコントラストを味に盛り込んでいるわけではないけれど、料理の色、食感などには対照の表現が見られる。オーナーは若い才能を育てる名人ステファン・マニゴールドで、昨年10月に開いた16区のSubstance (シュブスタンス)を当時25歳だったシェフのマチアス・マルクに任せ、成功させた人物だ。彼の2つ目のガストロノミー冒険であるコントラストが、今後どう発展してゆくか楽しみにしよう。

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左がブルターニュ出身のエルワン、右がカタルーニャ出身のケヴィン。ランチメニューは2皿35ユーロ、3皿39ユーロ。アラカルトでもオーダーできる。5皿からなるメニュー・コントラストは75ユーロ。©Romain Gaillard

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海老のチップス(左)とシューケールとリンゴのベジタブル・タコスが、食事のスタートを告げる。

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アラカルトのメインから、「ベロータ豚と牡蠣」36ユーロ ©Romain Gaillard

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アラカルトの前菜から。「鶏卵とイクラ、ビーツ、スモークのうなぎ」18ユーロ ©Romain Gaillard

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チョコレートのデザートには海藻、レモンのデザートにはスカンポというように、コントラストでは最後まで驚きが続く。©Romain Gaillard

Contraste
18, rue d’Anjou
75008 Paris
tel:01 42 65 08 36
営)12時〜14時、19時30分〜22時30分
休)土、日
www.contraste.paris
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。

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