小さな予算で趣味のよい部屋作りは、ドゥボングーにお任せ。
PARIS DECO
左:ドゥボングーの創設者Claire Leblond-Faure(クレール・ルブロン=フォール)。彼女の目の確かさとセンスのよさを頼りに、こんな品がほしい、という古い品の掘り出しを依頼する人もいるそうだ。 右:宝物がぎっしり。10区の予約制ブティック。photo:(右)Mariko Omura
クレール・ルブロン=フォールが新しいアパルトマンの内装を考えた時に思ったのは、どうしたら手頃な価格の品で趣味よくインテリアをまとめられるだろうか、ということだった。いまの気分も取り入れたいけれど、ほかの家と同じようなインテリアにはしたくないからユニークな品が欲しい……。若いパリジェンヌたちのアパルトマンを覗いてみるとわかるのだが、インテリア作りは新しい品とブロカントで掘り出した品がミックスされていることがほとんど。ところが、インテリア用品のオンラインショップは数あれど、意外や両方を扱っているところがどこにもない。これが、いまの時代の気分に合った、手頃な価格のオブジェと家具の新旧の品をあわせて提案する「Debongout(ドゥボングー)」誕生のきっかけである。
アフガニスタンで作られるカーペットのキリムは新品。手織りなのでモチーフは一点ずつ異なる。古い旅行トランクは人気商品のひとつ。テーブルとして、子どものおもちゃ箱として、用途さまざまに。photo:Mariko Omura
エマウスからの古い食器類は売上の10%をエマウスに還元している。シンプルなバスクのグラスは新品だ。photo:Mariko Omura
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2年前にネット販売でスタートし、すぐに“ドゥボングー・コミュニティ”が出来上がり、支持されるようになったそうだ。今年の4月、ネットでの販売を続けつつ、クレールは予約制のブティックを10区にオープンした。吹き抜けの天井と歪みが魅力の昔のガラスがはめこまれた大きな窓がつくりあげるロフト風の素敵な空間だ。
ドゥボングーが扱うのは、蚤の市やデポ・ヴォント(委託販売店)などで掘り出した品やブロカント商からの提案の古い品々。たとえば骨董的価値はないけれど、年代を経たことにより魅力を増している感じのよい鏡やランプなどだ。そして新しい品。これは彼女が製造者から直接仕入れている。というのも、職人たちと直接のやり取りがあるのはうれしく、また間に人をはさまないために価格を低めに提供できるからだ。サヴォワールフェールを活かして製造されるカーペットや椅子……フランスだけでなく、独自のサヴォワールフェールを持つモロッコ、アフガニスタン、インドネシア、ポルトガルといった国と彼女は仕事をしている。
左:一輪挿しが7ユーロから、という低価格がうれしい。 右:丸い花型のガラスのシェードを繋げたシャンデリアを、複数のスタンドにアップサイクルして販売(190ユーロ)。ドゥボングーではアイテムに名前をつけていて、たとえばランプはコレット。鏡はジョルジュだそうだ。photos:Mariko Omura
サイズ2種のベンチはインドネシアで、リサイクル・テックを用いて生産される。新しい品だが素材ゆえに時代を経た魅力が感じられることから、これも人気商品のひとつである。photo:Mariko Omura
左:意外なヒット商品はディスコ・ミラーボール。太陽の反射で美しく輝き、室内に華やぎをもたらす。 右:フランス産のクルミ材カットボード。木目が美しい。photos:Mariko Omura
このロフト風スペースの1室では、2カ月交替でテーマを決めてポップアップを開催。最近では「Bébéland(ベベランド)」と名付けた子ども部屋向けの新旧の品を限定販売し、次は「ゴールデン・アワー」と題して、太陽やアペリティフといった南仏気分を演出する家具やオブジェのポップアップを行うという。新しい品と古い品をともに販売するだけでなく、こうした新しい試みを軽いフットワークでこなすクレール。異業種出身ゆえにインテリアの世界の習慣に縛られず、自由な発想で取り組めるからだろう、と彼女は語る。手頃な価格の美しい椅子がほしい、と目下オリジナルの椅子の生産に取り組んでいる。完成が楽しみだ。
ポップアップコレクションのBébéland。もちろん新旧の品で構成されている。
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大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon