なぜ選挙に行くの?

TAO'S NOTES 2021.10.27

TAO

先日、日本に帰国している間に大学時代の友人の舞台を観に行った。

小柄で愛らしい外見の彼女は、前回観に行った舞台では少年役を演じていたが、今回は母親役だった。

実際に2児の母親である彼女と、舞台を観た後に電話で話していると、稽古中に戸惑ったという話を聞かせてくれた。共演者の女性の中に政治問題にとても関心の高い年下の女性がいて、みんなと政治の話をしたがっている様子だったらしいのだが、彼女の熱量と友人との間にどうにも温度差があり、上手く対話にならなかったことがあったようだ。意識や行動の違いから、自分が責められているような気もしてしまったと言う。

それを聞いて私にも思い当たる節があった。2年ほど前、環境問題やアニマルライツに関心が出始めた頃、似たような時期があったからだ。

いままで知らなかった事実を急進的に習得し、「どうにかしたい!人々や動物の命を救いたい!」という気持ちからいろいろな人と対話を求め話題を持ち出すのだが、どうにもフェアな対話にはなりにくかった。知ってもらいたい、知ってもらったら変わる! という強い希望を持つ反面、一方的で攻撃的な話し方もしていたに違いない。

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しかしいい意味でも悪い意味でもその気持ちは時間とともに落ち着いていく。ペットボトルの山を見るたびに、スーパーで売られているお肉を見るたびに涙を流しているようじゃ精神が保たないからだ。どこかで諦めだったり、感情を抑えることを学んだ。何よりも、その人がどういうバックグラウンドからそういう考え方にいたったのかを無視して、善悪は決められないと学んだのも大きかった。

しかしきっと、いつまでもその怒りや熱を忘れない人々が真の活動家であり、いままでもこれからも私たちの社会をよりよい方向へと導いてくれる存在だと思うので、そういう人々には変わらず敬意を抱いている。

その友人は、日々、子どもが中心となって物事が起きるため、仕事の現場でも「今日、長男がこんなことをして……」といったふうに子ども中心の話題を提供することになると言っていた。故に子どもがいない他の共演者と話の視点が異なってしまうと。しかし、そんな時こそ社会との繋がりを感じられるのだとも言っていた。

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私も環境問題を発信する立場としてそこはとても難しく感じている。長い目で見れば、私が提唱するライフスタイルは子どもたちの未来のため、健康のために絶対にいい!と強く勧めたいところなのだが、実際に毎日が闘いのお母さんたちからは「そんな理想を言われても」とシラけられてしまう。たとえば、子どもたちの未来のために資源の無駄遣い、使い捨ての製品を止めよう!と言っても時間のないお母さんたちには使ってすぐに捨てられる製品のほうがどうしても便利だろうし、赤肉や加工肉は発がん性が高いし、動物と環境の為にも控えよう! と言っても子どもたちが好きな食材だったらあげてしまうのが母心なのだろう。

実際に母親であるその友人に「どうやったらお母さんたちと同じ方向を見て会話が出来るのかな?」と問うと、「私たち母親だって政治問題も環境問題も関心を持つべきなんだよ、ただ余裕がなさすぎるんだよ」と言われた。

個人差はもちろんあるものの、「母親」になると社会問題への関心が薄れてしまう傾向にあるという印象があった私は、彼女の言葉にハッとした。

私たちの住む社会が、もっと子育てや働く女性に対し理解的で保証が伴っていれば、もっとお母さんたちと、私のようなそうでない者たちの対話が生まれるはずだ。多視点で多方向からの対話が増えれば、不足しているものはどんどん補おうとする力が働くし、みんなが余裕を持って他者を敬う社会にできるんじゃないだろうか?

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現日本政権は少子化に伴い、女性にもっと子どもを産んでほしいと言ってきているが、選択的夫婦別姓、同性婚、奨学金の拡充や学費の引き下げ、公立病院や保健所の増設などに反対をし続けている。言っていることととやっていることが相反する。そりゃあ仕方がない気もする。子育てや家事もやったことのない、特権おじさんたちがルールを決めているのだから。

問題はもっといろいろある。高齢者、障がいを持つ人々、LGBTQ+コミュニティ、他民族の方々の権利などなど……、改善して欲しいなと思うイシューが、私たちの国、日本にはある。

だからこそ、選挙に行かなきゃと思った。理想を語って愚痴をこぼして終わるのではなく、実際に住んでいる地域、国づくりに参加できる、いちばん簡単な方法が選挙なのだから。

日本女性が参政権を獲得したのはいまからちょうど75年前だ。それまでの女性たちは、参加したくても出来なかった。しかしそんな現状、未来を変えようと立ち上がった人々がいたから、私たちにはいまその権利が与えられている。決して当たり前じゃなかったし、無下にしてはいけないのだ。

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最近はSNSを使った選挙活動や、応援アカウントなども増えており、投票率の少ない若者世代が変わるんじゃないかと熱い期待を持っている。以下私も活用しているアカウントを紹介するので、ぜひ参考にしていただきたい。

www.instagram.com/minnanomirai21

www.instagram.com/senkyo_kikokiki

https://yashino.me

www.instagram.com/tohyo_koe

友人とその共演者の会話は心地いいものではなかったかもしれないが、「もしかして私がずっと目を逸らせていたことを言われて辛かったのかもしれない。いまは考えるきっかけをくれた彼女に感謝している」と、母である友人は笑っていた。

富裕層や企業だけが得をする現政権のあり方から、私たちの生活に身近な政治をしてくれる、次世代が安心して暮らせる環境を作ってくれる政治家を選びに、選挙に行こう。

 

拡散したくなるような投票ポスター達のアカウントも要チェック。bySara Gally

TAO

千葉県出身、LA在住。14歳でモデルを始めた後、2013年『ウルヴァリン:SAMURAI』のヒロインとして女優デビュー。以降、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16年)やドラマ「ハンニバル」「高い城の男」(ともに15年)など話題の映画やテレビドラマに出演。18年はHBOドラマ「ウエストワールド」に出演、日本では『ラプラスの魔女』や『マンハント』が公開され、国内外で活躍の場を広げる。インスタグラムのアカウント@emeraldpracticesでは、バイオダイバーシティや環境問題について投稿。新たにポッドキャストにて「エメラルド プラクティシズ」をスタート、ゲストを迎えてグリーンなライフスタイルへのヒントを発信していく。

※TAOのオフィシャルインスタグラムでは、連載「TAO'S NOTES」で読みたいテーマを随時募集中。コメントまたはDMにてお知らせください。@taookamoto

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