世界は愉快 夏フェス編 from ロサンゼルス 夏のハリウッドの丘に響く、あの名画の楽しい歌声。

世界は愉快 2021.08.05

写真・文/稲石千奈美(在LAカルチャーコレスポンデント)

ロサンゼルスの夏を楽しむエンタテインメントとして愛されるハリウッドボウルは、ハリウッドの丘陵地に建つ野外音楽堂で、「ローリングストーンズ」誌による全米ライブコンサートホールのトップ10ランキング入りする名音楽堂だ。1万7500人を収容する観客席はボックス席から丘の上部の芝生席まであり、持ち込みのピクニックバスケット(ワインやビールなどアルコールも入れて!)が歓迎されるリラックスした雰囲気が独特だ。本拠地のウォルト・ディズニーホールに加え、夏はここを第2の拠点とするロサンゼルス交響楽団が指揮をとるプログラムは、クラシック、ジャズ、ポップ、ワールドミュージックなど幅広い。ハリウッドらしく映画上映に合わせた生演奏や花火もあり、とにかく楽しいコンサートパフォーマンスが夏中続く。

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photo: Adam Latham

今年は、パンデミックにより昨年から繰越されたプログラムと新規のイベントが予定されており、音楽ファン待望のスケジュールがすでに始まっている。なかでも、来年100周年を迎える歴史的なハリウッドボウルで恒例となっているイベントがある。観客が舞台と一体になって合唱する参加型コンサート「Sing-A-Long(シンガロング、一緒に歌おう)」だ。ほぼ毎年満員御礼になるのが、映画『サウンド・オブ・ミュージック』のシンガロング。アメリカ人が愛してやまないミュージカル映画を会場のスクリーンで上映し、ジュリー・アンドリュース演じるマリアやヴォン・トラップ一家に合わせて、主題歌『サウンド・オブ・ミュージック』『ドレミの歌』『エーデルワイス』などを観客が声高々に歌いまくる。

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photo: Adam Latham

このイベントのもうひつのお楽しみが、コスプレ。なにしろ仮装好きなカルチャーなので、観客席には工夫を凝らした『サウンド・オブ・ミュージック』風コスプレをあちこちで見かける。大人も子どもも心から楽しんでいる様子が、映画の音楽と家族愛というテーマに合致してなんとも心温まるのだ。しかし、実話に基づいたミュージカルは一家がナチスに追われ、音楽を盾にオーストリアから亡命するシーンで終わるのだが。周知の結果はめでたし、めでたし。

ハリウッドヒルズが物語の舞台であるオーストリアになるマジカルな一夜は、リピーターも多い夏の風物詩。2021年は8月21日(土)に行なわれる。

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マリアの修道院の尼さんおふたり。ピクニックブランケットを広げ、ワインを飲んで。

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コスプレコンテストにも気合いが入る観客たち。可愛い子どもたちから、チロリアン風に着飾りビールを手にする人たちまで、彼らを見物するのも楽しい。

Photography & text: Chinami Inaishi

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