話題の人編 from スウェーデン スウェーデンのゴシップの女王は不屈の実業家?

世界は愉快 2021.12.07

文/神咲子(在スウェーデンライター)

2021年11月に伝記『ISABELLA(イサベラ)』(Bazar förlag AB刊)を上梓したスウェーデンの元祖インフルエンサー兼実業家、イサベラ・ルーヴェングリープ。本人いわく「失った信頼を取り戻すために、すべてさらけ出しました」という本だ。よくも悪くもスウェーデンで何かと話題になり続けて16年、波乱万丈の人生とはまさにこの人のこと。もはや、本まで出してあっぱれというしかないその姿は、今年もスウェーデン人の記憶に刻まれた。

 

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通称ブロンディンベラ(ブロンドのベラ)と呼ばれる彼女が同名のブログを始めたのは2005年、14歳の時だ。小さい頃からブスやデブと罵られいじめられていた彼女は、いじめた人々を見返してやろうと一念発起。メイクアップとボディシェイピングで「ここまで変われる!」という姿と自分自身も鼓舞するための啓蒙ブログで、同世代の女子の心を鷲掴みにした。インフルエンサーという言葉以前の時代、彼女はまさにその道の先駆者だった。

ブロンディンベラの人気に拍車がかかると07年には彼女のブログが500万クローナ(日本円で約¥6,000万)の価値に上がり、16歳にして自身の名を冠した株式会社を起こした。コスメブランドやベンチャーキャピタルなど合わせて5つの会社を起こし、ブロンディンベラと揶揄されていた少女は若くして成功した女性起業家に変貌を遂げた。いまは起業を目指す人のためのスクール「サクセスアカデミー」で、イサベラ自身が講師となり指導にもあたっている。
 

コスメブランドにも自身の名を冠している。ボディケアシリーズの「ヘルシーグロウ」。

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企業経営もトントン拍子に進み、さらなる発展を目指して今年5月にはアメリカ進出に向け家族総出で引越しを予定していた。「さよならスウェーデン! 私はアメリカでさらにビッグになるわ!」と有名ラジオ番組で豪語したものの、経営している会社の決算スキャンダルに見舞われ信用はガタ落ち。スポンサーがことごとく降板し、アメリカンドリームが一瞬にして消えた。

そこで、先月出版されたのが伝記『イサベラ』だ。いままでの生活の浮き沈みや拒食症の繰り返し、家族間の問題のほか、双極性障害で自分はまだまだいけると錯覚し、生活がクラッシュするまで自分自身をも騙し続けていたことを打ち明けている。なかでも、アメリカ進出前の企業報告書の不正に対する言及が注目を浴びている。

スウェーデン人にとって彼女は、単なるお騒がせセレブではなく、これまでのよいことも失敗も含めてどこか憎めない国民的インフルエンサーなのだ。2021年もスウェーデン国民の期待に応えて(?)何かと話題を提供したイサベラ。31歳、起業家、2児の母となったスーパーレディが2022年はどう巻き返しをはかるのか、目が離せないでいる。
 

若くして成功した彼女のリュクスな生活は女性にとって憧れの的だ。

text: Sakiko Jin

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