世界の最新情報 【ロサンゼルス】LA発ファッションブランドは、ジェンダーレスがキーワード。
Travel 2018.11.19
近年、LGBTQというワードは、映画やドラマ、小説などで、毎日のように見聞きする。ロサンゼルスでは、クリエイターのジル・ソロウェイの実体験をもとに作られた、テレビドラマ「トランスペアレント」が大ヒット。トランスジェンダーとしてカミングアウトした父とバイセクシャル、レズビアン、ストレートの3人の子どもたちという一家の多様な性のあり方を、ユーモラスなファミリーコメディに仕立てたもの。意識の高いカフェや公共施設のトイレにどんな性でも使える「オールジェンダー」という表示が増えるなど、実生活にもLGBTQの概念は着々と浸透中だ。
ジェンダーを超えたファッションも盛り上がっており、ブランドのアプローチや需要にも変化が見られる。今回は、ロサンゼルス発のジェンダーレスな3つの注目ブランドを紹介。
2011年から、誰もが着られる服として、性別だけでなく、年齢や体型、職業などに囚われない服をデザインしてきたブランド「69(シックスティナイン)」。デザイナーは徹底的に匿名であることにこだわっており、性別も非公開だ。アヴァンギャルドなコンセプトとデザインが注目され、今年はロサンゼルス現代美術館でブランド回顧展「69: Déjà Vu」も開催された。起用モデルも老若男女とユニークで、オーバーサイズのジャンプスーツ、コクーンドレスやTシャツなどが定番商品だ。今月は、セレクトショップ「LCD(エル・シー・ディ)」とのコラボアイテムをリリース。ニュートラルなブランドだけに、どのように着こなすかは着る人次第。
ロサンゼルス現代美術館で開催された、ブランド回顧展「69: Déjà Vu」の展示風景。photo by Brian Forrest
ランウェイでもアヴァンギャルドなデザインで魅了。ジェンダーレスでユニバーサルなアピールから、デニムにもこだわる。photo:Tiana Petrullo
セレクトショップ「LCD(エル・シー・ディ)」のショーウインドウが、「69(シックスティナイン)」とのコラボ仕様に。
男女性を行き来するジェンダークイアである、ダニエル(ダン)・オーウェン・リード。彼がローンチしたのは、クイアやトランスジェンダーのためのファッションブランド「Radimo(ラディモ)」。パーソナルな経験から、どんなセクシャリティも疎外しないデザインやスタイルにこだわる。この春にはロサンゼルスのギャラリーで、初のランウェイショーを実施。現在は、オンラインショップでの購入のみ。このオンラインショップでは現在13ブランドをセレクトしているが、今後はもっと増やしていく予定だという。これまで難しかったインディーズデザイナーの服を買い求めやすくなることも、クイアやトランスジェンダーのコミュニティには朗報だ。
多様性に富んだモデルを起用しているのもラディモの特徴。中心でデニムを履いているのが、オーナーのダニエル(ダン)・オーウェン・リード。photo:Charlotte Patmore
同じ服を、メンズ、レディス、性別に関係ないスタイルの3パターンのスタイリングで展開。photo:Heidi Hartwig
ロサンゼルスのゆるりとしたムードとエッジーなライフスタイルを、そのまま服にデザインしたようなコレクションで、定評のある「Atelier Delphine(アトリエ・デルフィーン)」。日本人デザイナー井筒由佳が手がけており、レディスブランドだが、定番のドロップクロッチパンツや羽織のようなコートは男性の愛用者も多い。そのため2019年春夏コレクションからは男性モデルも登場し、実質的なジェンダーニュートラル・ブランドとして再注目されている。日本では「フェニカ」などで購入可能。
エッジ―でリラクシングなアトリエ・デルフィーンのファッションは、ジェンダーを超えて愛用されている。ふたりが着用しているポーターチュニックトップ(232ドル)、シリンダーバッグ(496ドル)。photo:Yoshihiro Makino
2019SSコレクション「Hello from India!」から。キコパンツ(185ドル)、ハオリコート(780ドル)、ミリーブラウス(189ドル)。photo:Yoshihiro Makino
réalisation : CHINAMI INAISHI