暮らすように、夏の京都を巡るモデルコース。

Travel 2017.08.31

鴨川が流れ、その東には東山連峰がそびえる京都。ゆったりと流れる時間の中で、四季の移ろいを身近に感じられることもこの街の大きな魅力。そこで、観光名所巡りとはひと味違う、暮らすように街を楽しむ旅のモデルコースを提案。地元で愛されるうどん屋の暖簾をくぐり、夜は路地裏の酒場をはしご酒、そして宿はハイセンスな町家ホテル。いつもと違う角度から見る京都もきっと楽しいはず。

12:00
六条 招福亭

昔ながらの風情が残る住宅街に佇む、地元で愛されている老舗。宇治の抹茶を練り込んだ翡翠色の茶そばが名物で、その茶そばを使った「茶そば冷麺」が夏のイチオシ。完成させるまでに3年間試行錯誤したというだけあって、つるつると喉ごしのよい茶そばと、お出汁の風味が効いた甘めのつゆが相性抜群だ。上に彩りよく並ぶ鶏肉の甘辛煮、キュウリ、トマト、ワカメ、レタス、ゆで卵、エビは、京都や滋賀など国産のものが中心。「そばは栄養価が高いし、からだにいいものを食べてほしい」という店主の愛情があふれている。賀茂の完熟トマトとナスの天ぷらが入る夏限定の「トマトなすカレー」もオススメの一品。

SHOUFUKU TEI_0019.JPGボリューム満点、良心的な価格も人気のポイント。「茶そば冷麺」¥900(5〜9月の夏季限定)。

SHOUFUKU TEI_0084.JPG昨年秋に旧店舗の向かいに移転リニューアル。窓を大きくとった明るい空間となり、カウンター席を新設。ひとりでも家族連れでも、気軽に入れる雰囲気。

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1938年創業。なにか名物になるものを、と約40年前に考案された茶そばが看板メニュー。

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レトロな銭湯が向かいに立つ庶民的なエリアに立地。家族経営の温かさで、和める一軒。

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六条 招福亭
Rokujo Shofukutei
京都市下京区新町通六条下ル艮町894
tel:075-351-6111
営)11時〜20時(19時50分L.O.)
不定休
カード不可

14:00
SOWGEN

北白川の人気ブロカントが、今年5月、アクセスしやすい街中に2号店をオープン。北欧ヴィンテージや日本の古い器、道具がジャンルレスにぎゅっと詰まっているのは本店と同じながら、元花屋の倉庫という広い空間を生かして、水屋箪笥やテーブルなど大きな家具が多いのが特徴。「時代や国を特定しない折衷主義。朽ちた木や錆びた鉄、剥げたペンキなど、経年変化のあるものに魅力を感じます」という店主・小泉攝(せつ)さんが国内外で仕入れてきたとっておきの品々がずらりと並ぶ店内は、まるで蚤の市のような楽しさにあふれている。奥に併設されたカフェで、買い物の合間にお茶やランチができるのもうれしい。

161129SOWGEN_0005.jpg花屋の倉庫として使われていた天井が高く、奥行きがある空間。宝物が詰まった屋根裏部屋のようで、ひとつひとつ見ていると時間が経つのを忘れるよう。

161129SOWGEN_0061.jpg「ディスプレイのコツは、色、形、素材の3つの要素で決めること」と小泉さん。コーナーごとのものの配置もぜひ参考にしたい。「N」のプレート¥7,300、「F」のプレート¥5,000、手前のデンマークの切手ボックス¥4,800、右中のデンマークのプレート¥6,800、右上のデンマークの花器¥12,000など。

161129SOWGEN_0025.jpgアーティストが多く住むというデンマークのボンホルム島でつくられた陶器たち。左奥のピッチャー¥12,000、中央奥のピッチャー¥9,700、右奥のマグカップ¥5,200、左手前のボウル¥2,000、中央手前のカップ¥5,000など。

161129SOWGEN_0096.jpg家具が充実。1890年代の薬棚、大工の道具棚などユニークなものまで幅広い。

161129SOWGEN_0091.jpg上の水屋¥60,000、下のガラス戸棚¥23,000、右隣のキャビネット¥188,000

161129SOWGEN_0086.jpg通りまであふれ出るような古道具たちについ中へと誘われる。植物も取り扱う。

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SOWGEN
ソウゲン
京都市中京区高宮町573
Tel:︎075-252-1007
営)11時〜20時
休)第2水曜、12/30〜1/4
カード:A、D、J、M、V
www.sowgen.com
※11月16日に阪急うめだ本店10Fに
sowgen brocante 梅田店がオープン。

>>祇園散策の合間に人気のかき氷、夜は路地裏の酒場へ。

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15:00
お茶と酒 たすき

国産マンゴーをたっぷり使った、ふわふわかき氷。
祇園・白川沿いの築120年の町家を改装した「パスザバトン京都祇園店」。2015年のオープンすぐから、併設のカフェのかき氷が、かき氷激戦区の京都において早くも大人気に。その理由は、薄く羽のように削ったふわふわの食感の氷と、毎月登場するユニークな限定みつ。8月は国産のフレッシュマンゴーを贅沢に使った「アップルマンゴー」と、コーヒーゼリーとホイップクリームが中に隠れた「コーヒーゼリー」。バータイムには定番の「抹茶みつ」「焙じ茶みつ」に加え、「煎茶ライム」がいただけるのも嬉しい。

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8月限定みつの「アップルマンゴー」¥2,160。かき氷には躊躇する価格ながら、いただけば納得の贅沢感。客のイメージに合わせて選ばれた器は、気に入ったら購入もできる。

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祇園の白川が目の前という絶好のロケーション。白川のせせらぎと緑が涼しさを呼ぶ。

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リサイクルショップ「パスザバトン京都祇園店」の1階。夏場は行列必至ながら、店内を見ながら待つことができる。

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お茶と酒 たすき
Tea and Sake room ’Tasuki’ by Pass the Baton
京都市東山区末吉町77-6
tel:075-531-2700
営) お茶11時〜19時 バー20時〜翌4時(9月より21時〜翌2時)
不定休(バーのみ9月より水曜定休)
カード:Ⓐ、Ⓓ、Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ

www.tasuki.pass-the-baton.com

18:00
サワー

河原町松原にある人気焼鳥店「炭火焼く鳥ソリレス」の名物サワーが飲める立ち飲みスタンドとして、2016年9月にオープンしたこちら。旬のフルーツをたっぷり使ったメニューのほか、ごぼうや朝鮮人参、リンゴとローズマリーなどの自家製ビネガーをベースにしたものも。メニュー数は常時20〜30種類。「デートや食事の前に一杯飲んで行くような、気軽に立ち寄ってもらえる場所にしたかった」とオーナーの鈴木弘二さん。フレッシュな味わいとフォトジェニックなビジュアル。開放的な雰囲気や1杯400円からという手頃さもあって、早い時間からさまざまな客層で賑わっている。夏には祇園のルーフトップに2号店が登場!

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注文を受けてからフルーツをカットし、果汁を絞るから、フレッシュさは格別。左から、デコポン、パッションフルーツ、ざくろ各¥800。グラスには、ポップなアクセサリーやイラストを手がけるハローアヤチャンのドローイングが。

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軽食も数品揃う。近江牛すじ土手煮¥500、プチトマトピクルス¥300

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天井に光るネオン管は、ブラジルの天才建築家オスカー・ニーマイヤーのドローイングをベースにしたもの。夜には白いライトが消え、妖しげな雰囲気に。

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ベースとなるサワーは、フレッシュフルーツと好相性のアサヒビールの樽ハイを使用。ドライな風味が好みなら、焼酎やウイスキーを指定することもできる。

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奥のショーケースには旬のフルーツがずらりと並ぶ。淡路島の柑橘類や和歌山のキウイなど、できるだけ国産のものをセレクトしているそう。

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ガラス戸が大きく開け放たれたオープンな雰囲気。ネオン管のサインを目印に。

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Sour
サワー
京都市中京区裏寺町通四条上ル裏寺町607-19 ヴァントワビル1F
tel:075-231-0778
営)15時〜24時(月〜金)、12時〜24時(土〜日)
休)元旦
カード不可
www.sour.jp

>>京都でこんな家に住みたい!と思わせる洗練の町家ホテル。

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19:00
柳小路TAKA

裏寺町の中でもここ最近パワーアップしているのが柳小路という小さな通り。特に注目は、京懐石で修行後、ミラノへ渡り、NOBU/Armaniで10年以上料理長を務めたタカさんがオープンした、カジュアルな立ち飲みスタイルのお店。ボリューム満点のイタリアン生ハムセットや、新鮮な魚介がこぼれ落ちそうなTAKA巻き寿司、ジューシーに焼き上げた焼鳥など、和とイタリアンがボーダレスに楽しめる。日本酒は滋賀の「金亀」1銘柄に絞り、イタリアンワインや旬の果物を使ったカクテルなどは各種ラインナップ。お昼過ぎから閉店まで通し営業で、ランチでも昼飲みでも1軒目でも2軒目でも、いつでも頼れる心強いお店だ。

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笑顔が素敵なタカさんは、もともと京都の出身。家族や仲間とお店を切り盛りしているから、店内にはアットホームな雰囲気が流れている。

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看板メニューのひとつが滋賀の日本酒「金亀」の飲み比べ。玄米から大吟醸まで精米歩合の違う7種を飲み比べて、好みの味を探してみては?

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手前から時計回りに、注文を受けてから串を打つ、レバーとささみの焼鳥各¥250、ごぼうの巣ごもりの食感がクセになりそうな、卵かけご飯¥500、香川県小豆島から取り寄せるもろみを添えた、もろみきゅうり¥400

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元はメロンパン屋さんだったという2階建ての建物に、2016年5月オープン。

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10人入ればいっぱいの店内は、「お客さんとの距離が近いお店をしたかった」というタカさんには理想的な空間。おくどさんをイメージしたカウンターは、イタリアを彷彿させるアズーロ(青)色に塗られている。

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急な箱階段を上がった2階には、テーブル席を用意。2階のみ予約可能。

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柳小路TAKA
Yanagi-koji TAKA
京都市中京区中之町577番柳小路はちべえ長屋
tel:075-708-5791
営)11時~23時(22時30分L.O.) 
※開店時間は不定のため、来店前に電話で確認を
休)火
カード不可
http://taka-kyoto-japan.net

 

 

 

 

 

21:00
四季十楽

2016年12月、京都御所の西に誕生した「四季十楽」は、築100年近い歴史をもつ10棟の町家をリノベーションしたホテル。四季の歳時とともにある京都の暮らしを楽しんでほしいと、独自の「十楽」(10のおもてなし)を用意する。そのおもてなしを手がけるのは、クリエイティブディレクター後藤繁雄のキュレーションのもとに集った10人のクリエイター。朝食は料理家の冷水希三子、部屋を彩る草花は花屋「みたて」の西山隼人、家具セレクションは「ラウンダバウト」の小林和人など注目の顔ぶれが揃う。10棟はそれぞれ異なる表情をもつ洗練された空間に仕上げられ、自宅のように寛ぎながら心地よい時間が過ごせるはず。

161228SHIKI JYURAKU_0060.jpg1号の1階。壁に掛けられた写真は、アムステルダムを拠点に活躍する写真家、小山泰介の作品。小林和人が選んだ古今東西の家具が心地よく調和している。

161228SHIKI JYURAKU_0070.jpg1号の2階には居間やベッドルームのほか、ミニキッチンを完備。まさに暮らすような滞在を実現してくれる。ほかにミニキッチンがつくのは、10号のみ。

161228SHIKI JYURAKU_0101.jpg1号のバスルームは檜の浴槽。部屋によっては陶器の浴槽を備える。アメニティはオーストラリアのオーガニックコスメブランド「APPELLES」を用意。

161228SHIKI JYURAKU_0139.jpg5号は吹き抜けが開放的な造りで、1階がリビングスペースに。来春からは部屋でも、リラクゼーション専門の「WHOLE TREAT」のスパが受けられる。

161228SHIKI JYURAKU_0005.jpg朝食には季節野菜のポタージュやグリル、無添加ロースハムなど、からだに優しい料理が並ぶ。パンは京都市内のレストランへの卸を専門とする「吉田パン工房」、コーヒーは京都市北区のコーヒー焙煎所「サーカスコーヒー」、紅茶は芦屋の紅茶専門店「ウーフ」のダージリンティーなど、こだわりのセレクト。

161228SHIKI JYURAKU_0200.jpg朝食をいただくサロンは世界で活躍する建築家・田根剛のデザイン。落ち着いた雰囲気の客室とは一変して朱色に包まれた空間。ここには京都の老舗出版社「光村推古書院」の京都の伝統や文化、芸術を紹介する書籍も揃う。

161228SHIKI JYURAKU_0172.jpg連なる5棟が通路を挟んで向かい合うように建つ。庭木を手がけたのはプラントハンターの西畠清順。推定樹齢150年の珊瑚に自生した蘇鉄が奥で存在感を放ち、手前には木生シダのディクソニアを奥行きを感じさせるように配置。

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四季十楽
Shiki juraku
京都市上京区油小路下立売上ル近衛町165
tel:075-417-0210
チェックイン:15時 チェックアウト:11時
全10室 2名1室朝食付き¥37,000〜
カード:A、D、J、M、V
www.shikijuraku.com

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