世界は愉快 春の風物詩編 from イギリス

鮮やかな色と新しい命であふれる、イギリスの春。

毎月ひとつテーマを設け、お国柄や街の様子をお届けする連載「世界は愉快」。4月は「春の風物詩」がテーマです。

特集

April 3, 2021

写真・文/坂本みゆき(在イギリスライター)

「March comes in like a lion and leaves like a lamb」
3月はライオンのようにやってきて、仔羊のように去っていく。

早春になるといつも、このことわざを思い出す。日本の人気漫画のタイトルにも使われているから、聞いたことがある人は多いかもしれない。イギリスの3月はまさにこのとおりで、初旬から中旬にかけては嵐がきたり突然ヒョウが降ったりと猛獣のような荒々しい天気が続くのだが、月の終わりに近づくと暖かな光に包まれた穏やかな日が多くなる。

でも、その後の4月も実はまだまだ温暖の差が激しい。しかし冬と明らかに違うのは、鮮やかな色彩や新しい生命に満ちあふれてくることだ。

そのひとつは、4月から5月にかけて満開となるイングリッシュ・ブルーベル。鬱蒼とした森のなかに紫のカーペットを敷き詰めたように咲く野生の花だ。

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森を抜ける歩道の両側を覆い尽くすように咲くブルーベル。この風景を見るために、毎年この時期になると開花をまめにチェックする。

30cmほどの湾曲した茎にたくさんのベル状の花弁をつけ、きりりとした中に甘さも含んだ、この季節らしい香りを周囲に漂わせる。見渡す限り一面を覆い尽くして咲き誇るその姿は圧巻で、開花のニュースが流れると多くの人がお花見を兼ねてカントリーウォークに出かける。

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ブルーベル好きは、それぞれお気に入りのブルーベルスポットを持っていると思う。全国に名所があるが、ロンドンではハムステッドヒースが有名。またサセックス州にあるナショナルトラスト管理下のシェフィールドパークのブルーベルの群生も見事だ。

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スパニッシュ・ブルーベルという種もある。見分け方は、茎から頭を垂れていて、花弁が細長く先がカールしているのがイングリッシュ・ブルーベル。

イギリスの人たちはこの花を深く愛し、国の「野生生物とカントリーサイド保護法」という法律でその種を守っている。たとえ自生する場所の地主であっても、そこから球根を採取してはいけないし、販売も許されない(園芸種は売買が可能)。

野生の花は手に入れることはできないけれども、身につけて楽しめるブルーベルの香水を手がけるブランドはイギリスにいくつかある。なかでもジョー マローン ロンドンの「ワイルド・ブルーベル」は、みずみずしい花にフルーティさをプラスした、ロマンティックかつモダンな香りで心惹かれる。

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ジョー マローン ロンドンの「ワイルド・ブルーベル」。ブルーベルにスズラン、エグランティン(バラの一種)をプラスして、パーシモン(柿)でひねりを加えた、魅力溢れる香りだ。

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新しい生命の誕生の代表格は、なんといっても仔羊たちだろう。イギリスではちょっと郊外にいくだけで緑の丘で草を食む羊の姿を頻繁に目にするが、この季節にはたくさんの仔羊が産まれ、母親に連れられたその真っ白な可愛らしい姿もあちこちで見ることができる。

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近所のファームで生まれた仔羊。愛らしさが半端じゃない。

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仔羊たちを包む毛の白さは神々しいほど。

 

南イングランドの我が家では4月になっても朝晩はまだ暖房を入れているのが普通だ。春爛漫となるのはもう少し先だけれども、暖かな季節に向かっているという実感はやっぱりじんわりとうれしい。

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photos et texte:MIYUKI SAKAMOTO

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