世界は愉快:書店編 from ベルリン

コロナ禍で書店が元気に、ベルリンの読書ブーム。

毎月ひとつテーマを設け、お国柄や街の様子をお届けする連載「世界は愉快」。10月は「書店」がテーマです。

特集

October 19, 2020

文・写真/河内秀子(在ベルリンライター)

読書の秋、10月のドイツは本の月。フランクフルトで、世界最大級の書籍の見本市「フランクフルト・ブックフェア」が開催されるからだ。1949年から毎年秋に開催され、世界約100カ国から7000以上の出版社やメディア関係者からの出展がある、この見本市。文学賞である「ドイツ書籍賞」や「ドイツ児童文学賞」そして「ドイツ出版社協会平和賞」の受賞もあり、人気作家の朗読会なども数多く行われる、本好きにはたまらないフェアだ。

bookshare_berlin10.jpgドイツ語にも「本の虫(Bücherwurm)」という言葉があるように、ドイツ人は本が好き。シェアリング(本の交換コーナー)が身近にある。

phonebox_berlin10.jpg電話ボックスを再利用した、ブックシェアリングコーナーも。屋根はソーラーパネルを設置していて電気も作ることができる。この本交換ボックスが街の中で輝いていることを、象徴的に表しているのだとか。

首都ベルリンでは、3月末から1カ月近く続いたロックダウン中に、あらためて読書のおもしろさを再確認した人が多かったよう。大半の店が閉店を余儀なくされていたが、書店はスーパーマーケットや薬局などと並び、生活のシステムに必要不可欠な商品を扱う店として、営業が許可されていたからだ。私自身も、積読になっていたドイツ語の本を読んだり、ちょっとした散歩がてらに近所の書店に立ち寄った。

storeimage_berlin10.JPG小説からガイドブック、アート本から楽譜まで、あらゆる書籍を扱うカルチャーデパート、DUSSMANNは街の中心部にあり、いつも賑わっている。photo : Dussmann das KulturKaufhaus

ドイツの本の売り上げは、実店舗でのものがいまも半数を占める。その理由は、非常に進んでいる図書流通システムにある。書店で18時までに注文すれば、翌日、遅くとも24時間以内には書店に希望の本が届くのだ。ちなみに、ドイツの宅配は時間指定もできず、郵便事情もそこまでよくない。アパートの上階に住んでいると、家の前まで届けてくれないことすらある。だから、書店に注文した方が早く、しかも自分の好きな時間に店に行けるので便利だ。

夜間配達で即時に書店へ注文された本を届けられるのは、ドイツ市場に出ている書籍在庫を網羅する流通業者の管理データベースに、小売店すべてがアクセスできるようになっているためだそうだ。

必要な本があったら、まずは書店に電話して注文し、翌日届いた本にカウンターで目を通す。初めて注文した時には、その対応スピードにも驚いたが、透明のフィルムを開封して中を確認することができ、最後には「全部買われますか?」と聞かれたことにも驚いた。本にもよるのだろうが、取り寄せても購入せずに返却することもできる。



storeimage2_berlin10.JPGDUSSMANNの児童書コーナー。国際的な街らしく英語など他言語の書籍も数多く扱っている。漫画コーナーも充実。photo : Dussmann das KulturKaufhaus

フランクフルトブックフェアを創立したドイツ図書流通連盟(Börsenverein des Deutschen Buchhandels)が、出版社と書店、書籍取次をすべてひとつにまとめているのも、ドイツ書籍業界の特徴だという。この連盟によれば、9月は前年比で書店の売り上げが6.5%増。電子書籍の売り上げも大きく伸びを見せて、書籍全体の売り上げが8%増と、他業種に比べてなんとかコロナ禍の経済的な大打撃を免れているという。特に子ども向けの書籍は昨年比で15.6%売り上げアップした。

ドイツ国内での旅行も制限されているいま。自宅で本を開けば、そこからさまざまな未知の世界へと旅に出ることができる。コロナ禍にあっての読書ブームの理由のひとつかもしれない。

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photos et texte:HIDEKO KAWACHI

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