オリンピックで沸き立つロンドンから、秘かに注目すべきデザインの話題。

ミツコのロンドン・ウィークリー

いよいよ、本日、オリンピックが開幕!(これがアップされる頃にはオープニング・セレモニーの時間が迫っていることと思いますが)。いきなりの真夏となったロンドンの街は、これぞ開催都市といった混雑ぶりですが、同時に何だか高揚感もみなぎっていています。開会式前日に予定されていたヒースロー空港の入国審査係員のストライキも回避され、ひと安心。道路の混雑も、もちろん、ないとは言えませんが、思ったよりスムーズ。キャンペーンの効果か、混雑を嫌って車での移動を控えている人が多いのか(両方でしょうが)。昨日何度か乗ったタクシーの運転手さんたちが、普段以上に親切で、「道が混んだから」と言って料金をおまけしようとしてくれた人までいたので、皆さん"ロンドンへようこそ!"の気分で、外国人に対して優しいのかも?と思ったりしました。やっぱり、ホントはみんな嬉しいのかしら? 国や都市の威信がかかると、ブツブツ言ってばかりはいられないのかもしれません。ロンドンはやるぜ!って感じでしょうか。 イギリスは50年来の不況に突入したというニュースが2日ほど前にあったばかり。だからこそ余計、オリンピックでムードを上げたいとキャメロン首相が力説するのもわかります。

120727kannno 0.JPG街のあちこちに、いろんなスタイルのウェンロックとマンデヴィルが。これは衛兵スタイルのウェンロック(オリンピック・マスコット)。

120727kannno 1.JPGこちらは、サウスモルトン・ストリートにいたショッピング三昧のマンデヴィル(パラリンピックのマスコット)。肩にお買い物袋をいくつもかけ、首もとには大玉のネックレス。

とにかく、驚きの仕掛けがありそうなオープニング・セレモニーは純粋にとっても楽しみ! ダニー・ボイルがどんな演出をしてくれるのでしょうか? なでしこジャパンも男子も初戦に勝利し、日本でもさぞ、オリンピックの話題で盛り上がっていることでしょうね。でも、オリンピック話に早くもちょっと食傷気味の方もいらっしゃるかもしれないので、今回はそれ以外の話題を。

まずは、ナチュラル・ヒストリー・ミュージアム前の通りを歩いていて、ヒェーっ、ナニ?と驚いたのが、これ。正面入り口横に展示されている3頭のライオンです。実は何と、近くに寄って見ると、毛糸でかぎ針編みされたライオンくんなのです。ダービーシャー州産のウールを1頭あたり36 メートルも使ってアーティストのショウナ・リチャードソンさんが編んだもので、1頭9メートルもある巨大なもの。「Richard the Lionheart」と称され、ヒーローと讃えられた12世紀の英国王リチャード1世の紋章にある3頭の金のライオンを象徴しているそうです。

120726kannno1.JPG夜間照明に映える「ライオンハート・プロジェクト」。

この展示「ライオンハート・プロジェクト」は、オリンピック年の今年、文化版オリンピックとして開催されている「ロンドン・2012・カルチュラル・オリンピアード」(London 2012 Cultural Olympiad)プログラムのひとつで、9月9日まで、ここロンドンで展示された後、全国を回るとのこと。昼もいいけど、建物の照明が美しい夜間に見ると(日没の遅い夏は、閉館後、ゲートの外から眺めることになりますが)、なんだかとっても幻想的です。

120726kannno2.JPG

120726kannno3.JPGかぎ針編みしてあります! ダービーシャー産のウールを一頭あたり36メートルも使っているそう。

このナチュラル・ヒストリー・ミュージアムは、恐竜セクションをはじめ見所が多くて、子供も大人も楽しめ、いつも混んでいる博物館ですが、同様に今や観光名所のひとつとして賑わっている美術館が、テイト・モダン。2000年のオープン当初は、年間200万人の入場者を予想していたところが、実際には年間約500万人もが訪れる超人気美術館に大成長。ここからミレニアム・ブリッジを渡って対岸にあるセント・ポール寺院に行く(あるいはその逆)というのはひとつのコースにもなっています。

120726kannno4.JPGテイト・モダンに入るとすぐにあるのが、ターバイン・ホール。ここでは現在、毎日パフォーマンス・アート展開中です。左側が従来のギャラリー・スペースですが、新オープンの「ザ・タンクス」は、右手にあります。

21世紀の美術館を標榜するテイト・モダンは、そんな人気にも支えられ、2016年の完成を目指した拡張プラン「テイト・プロジェクト」が進行中で、新たな展示ビルを隣に建設中ですが、プロジェクトの第一弾として、つい10日ほど前に、本館に「The Tanks」がオープンしました。もともと火力発電所だった当時、500万リットルものオイルを貯蔵していた地下のタンクを、ライブのパフォーマンス・・アートと映像専用の常設ギャラリーに転用したもので、2つの巨大なスペースが設けられています。美術館でパフォーマンス・アート専用の常設スペースを持つのは、世界でも初だそう。オープニングから、続々と意欲的なプログラムが展開されています。

120726kannno5.JPG

120726kannno6.JPG

120726kannno7.JPG 火力発電所だった当時は、地下の石油貯蔵庫だったのを、パフォーマンス&映像アートの巨大ギャラリー2つに転化。黒い扉の奥がギャラリーになっています。

そして、建築で言えば、賛否両論あることも含め、最近の大きな話題となったのが、テイト・モダンからも近いところに7月5日にオープンしたシャード(Shard)です。オープンといっても外観が完成したということで、内部が整って一般にも公開されるのは来年2月になるそうですが、オープニング・セレモニーは夜10時から、レーザー光線とサーチライトを使ってハデに行われました。イタリア人建築家のセレンゾ・ピアノのデザインで、てっぺんの尖塔が一致しない(離れている)ガラス張りのノッポの不定形ピラミッドみたいな形をしていますが、高さが309.6メートルとヨーロッパ(EU域内)で1番高く、72階建ての超ハイテク・ビル。オフィスやレストラン、ホテル、ショップ、超高級アパート(1物件の平均価格は約15億円!)などが入るほか、68〜72階は5階にわたる展望ギャラリーになるそう。このところ、有名建築家による超高層ビル建設が相次いでいるロンドンでも、ひときわ目立つビルです。本当にロンドンのスカイラインは変わってきました。

120726kannno8.JPGヨーロッパ1の高さを誇る、レンゾ・ピアノ設計の「シャード」。最寄りのロンドン・ブリッジ駅から見ると、こんな感じ。1万1,000枚のガラス・パネルで覆われています。超ハイテク・ビルですが、建築資材の95%は、リサイクル素材と、エコに気をつかっているところも今日的です。

何だかドバイあたりにでもあったらピッタリきそうなこのシャード、実はカタール政府と、カタール・ナショナル・バンク資本の不動産グループが共同所有するものですが、中にオフィスを持つようになる会社やアパートを所有する人も、きっとほとんどが海外の人になるでしょう。しかも、これが建っているのは、ロンドンでも貧困地区のひとつであるサザーク。その意味でも、なんだか、いかにも今のロンドンを象徴するようなビルですね。

来年の一般公開後は、年間200万人のビジターを予想しているそうですが、さて、ヨーロッパ一の高さからの眺望を楽しむ人で賑わう新名所となるのでしょうか。


BRAND SPECIAL

    BRAND NEWS

      • NEW
      • WEEKLY RANKING
      SEE MORE

      RECOMMENDED

      LATEST BLOG

      madame FIGARO.jpではサイトの最新情報をはじめ、雑誌「フィガロジャポン」最新号のご案内などの情報を毎月5日と20日にメールマガジンでお届けいたします。