ロンドンオリンピック私的ベスト5

ミツコのロンドン・ウィークリー

ロンドンオリンピックが大成功のうちに終了して、ほっとしつつも、まだ感動が冷めやらぬロンドン。 イギリス「チームGB」選手の大活躍ともあいまって、「イギリス人として誇りを持った」と回答した人が80%に上るというBBCの調査結果も出ています。

開会前は交通混雑問題を筆頭に不安や不満の声が多く聞かれ、いまひとつ盛り上がりにかけていたロンドン市民、そしてイギリス国民でしたが(私もそのひとりでした)、始まってみれば、サイクリングやトライアスロン、マラソンなど外での競技の沿道やパブリック・ビューイング用のスクリーンが設置されたハイドパークなどにも非常に多くの人々が詰めかけ、オリンピックの歓喜の渦の中にみんなが巻き込まれて行った感じ。

london_120822_2067.jpg閉会式は、ロンドンのアイコン的建物をジャーナリズムの国らしく新聞で包んだ朝のシーンからオープン。

私自身、開催都市に住み、ゲームを観戦するという初めての経験をしたわけですが、オリンピックには人を感動させる特殊なマジックのようなものがあることを実感しました。究極に鍛え抜かれた選手たちを目のあたりにして、聞こえて来るのは応援と歓声だけ。まったく悪意のない群衆だけがそこにいるというのは、考えてみたらすごいことです。スリすらいない感じ。相手チーム/選手を罵倒したりする人もいないのです。そこにあるのは、賞讃とフレンドシップ。そしてもちろん、スポーツマンシップ。 言葉にすると陳腐ですが、そうとしか言いようがない。こういう気分は味わったことのないものでした。その場の全員がひとつになって向かって行くというのも、こういうポジティブなことのためならすばらしいじゃないかと思えてくるのです。

london_120822_2145.jpg閉会式で灯が消えてゆく時はぐっときました。

ロンドンらしからぬ好天続きだったこともありますが、会場以外でも、とにかく人々が明るい。始まる前までは無関心だった人までが「オリンピック、いいね」なんて言い出す始末(周囲に2名)。オリンピックって、人をポジティブに巻き込んで行く力があるのですね。クラブに入会するなど、スポーツを始める人が全国的に増えているそうです。そして、その一方では、テレビでオリンピック観戦中に、スナックやアルコールをふだんより余計に消費してしまい、1日あたり1人平均約700カロリー多く摂取。17日間の大会期間で合計約12000カロリー余分に摂取したことになり、約2キロは体重が増えた計算だという調査結果も出ているのですが。あれだけGB選手が活躍して天気もよければ、パーティームードになって当然!ですけど、これではますます、運動しなきゃ、という気分にもなるというものですよね。

オリンピックは本当に楽しい。イギリスらしい大人な、いい感じのリラックス感もあり、首相以下が「大成功」と自慢するのも当然と思える、かなりの完成度の高さがあった大会のような気がします。 すばらしい瞬間がたくさんあり、イギリス国内で話題になったこともいろいろあるのですが、ごくごく私的な大会ベスト5をあげさせてください(順不同)。

まず(1)は、聖火台です。開会式の選手入場行進の時、参加204カ国がそれぞれ少しずつ異なるデザインの、花びらのような形の銅製のオブジェを持ちより、それが集まってひとつの大きな花=聖火になる、というコンセプトと一連の動きがまず、素敵だし、デザインそのものもすばらしい!の一言に尽きます。 92年のバルセロナオリンピックの時(古くてすみません!)、アーチェリーの有名選手が放った矢が聖火台に点灯するという見事なシーンが、私の記憶の中に今でも残っているのですが、今回はそれを超えたとただただ感服しました。

デザインしたのはトーマス・ヘザウィック。ロンドンのスタジオを拠点に世界中で活躍する建築家/デザイナーですが、上海万博の時のイギリス館や、2階建てバスの新型ルートマスターのデザインも手がけた天才です。発想と哲学が別格で、コンラン卿が「現代のダビンチ」と評しているくらい。それに、かなりのイケメンです。9月30日まではビクトリア&アルバート・ミュージアムで、「Heatherwick Studio」展が開催されていますので、ロンドンにいらしたら、ぜひぜひご覧ください。

london_120822_21802.jpgヘザウィックがデザインした聖火台。あまりにも美しい。

(2)トム・デイリー。「チームGB」の看板ボーイ。ダイビングの男子高飛び込みで銅メダルに輝いた18歳の選手です。イギリスのオリンピック代表としては最年少の14歳で北京オリンピックに出場して7位に入賞、2009年には世界チャンピオンになっているので、今大会でもメダルの期待が高かったわけですが、とにかくこのルックスゆえ、メディアもファンも放っておかず、大学入試の勉強もしながらの競技生活でプレッシャーはかなりのものだったはず。昨年は父親が41歳で亡くなるという辛い経験をし、またシンクロで4位に終わってしまったので心配していたのですが、見事、メダルを獲得。国民も喜び+ほっとしました。銅でも金な感じ。9歳で華々しくデビューした時から孫の成長を見守るような気分で私もずっと応援していたので、心臓が飛び出すかと思うほどドキドキしながら観ていましたが、いやー、ほんとによかった!! 

london_120822_2176.jpg高飛び込みで銅メダルのトム・デイリー。表彰台では最高の笑顔でした。ほんとに可愛くて、思わず孫の成長をみている気分。大好きなアイスクリーム断ちをして、体重を7キロも落としたそう。

(3)アリステア・ブラウンリー。トライアスロンで金メダルを獲った24歳。私的には、No1のイケメンです。トライアスロンには特に注目していなかったのですが、この顔を見た途端、ハートが鷲掴みされました(すみません)。弟のジョナサンが銅メダル。兄弟揃って、クラシックなイギリス人らしい顔立ちをしていますが、何と言っても、私的には、この兄ですね。 すごくスリムで笑顔が超キュート。トライアスロンという競技が世の中に初めて紹介された当時は、「鉄人レース」と言われただけにゴッツイ体躯の変わり者が多かったような気がしていたのですが(すみません)、超人気スポーツとなった今、こういう華奢でピュアなイケメンもいるのねと、心から感動しています。あ、顔だけじゃなくて、記録もすごいんですよ。最後の10k走は、1万メートルの金メダリストにもひけをとらないタイムで、水泳、自転車の後の走りなだけに、それにも評価が高かったです。

london_120822_2947.jpg左が弟のジョナサン(銅メダル)、右が兄のアリステア(金メダル)のブラウンリー兄弟。

london_120822_23051669.jpg競技中は厳しい表情で大人に見えるけど、素顔はこんなにキュート。

(4)ボランティアの皆さんと兵士の皆さん。大会では、7万人のボランティアの皆さんが、会場内外で案内役として活躍しました。「Games Makers」というのが正式呼称なのですが、まさに、大会を運営するのに欠かせなかった方たち。 とにかく、満面の笑顔でユーモアも交え、きちんとしながらもリラックスして観戦客を迎えてムードを盛り上げてくれていた姿には本当に頭が下がりました。こういう人たちがどれだけいるかというのが、開催都市には欠かせないことなのだと思います。

そして、兵士の皆さん。開会式1週間ほど前に、セキュリティーを委託していた民間会社が必要な人員を確保できないことが発覚。それはそれは大ニュースでした。そこで急遽、集められたのが、アフガニスタンでの任務から帰還し休暇を返上した兵士たち。いきなりだったがゆえに、倉庫みたいな場所に簡易ベッドを設置して寝かされるなど、戦地より過酷な待遇だったそうです。それなのに、若き兵士たちは、会場でにこやかに、かつ粛々とX線の荷物チェックの任務などをこなしていました。兵士たちを見ると、なんとなく安心感があるわね、と友人とも話したくらい 。オリンピックって、ふだんとはまた違ったものの見方や考え方ができる機会なのだということを痛感しました。

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london_120822_1926.jpgボランティアの"Games Makers"の皆さんと急遽セキュリティーの任務についた兵士の皆さんがいたからこそ、の大会でした。

(5)表彰式の時の曲。私も大好きな映画のひとつ『炎のランナー』の、バンゲリスによるあまりにも有名なテーマ曲をアレンジしたものですが、これ以上、選手を讃える曲はない!と、聴くたびに胸がジーンとしました。映画の中では特にこのバンゲリスの曲と衣装に惹かれていたので、なおさら。開会式の時にもMr,ビーンが登場したユーモアたっぷりのシーンで演奏されましたが、世界中の人が瞬時に共有できるカルチャーをいっぱい持っているというのは、イギリスの大きな強みですね。

番外(というのも変ですが)として、予想以上に楽しめたのが、ビーチバレーボールでした。とにかく会場は陽気なカーニバルムードいっぱいで、試合の展開が早く、飽きません。あまりに早く終わるので、所要時間数で割ったら、チケット代はすんごく高いじゃない!と思ったほど。で、ハーフタイムと言わず、セットの途中にもダンサーたちが登場し、いろんなパフォーマンスをしてくれます。今大会は、どの競技会場でもポップミュージックがかかっていたのですが(それをうるさく思う人はもちろんいました)、ビーチバレーほど、それがぴったりな競技はなかったですね。MCというかDJつきで、当然、女子の水着目当てと思しき男性も多くいましたが、イケメンの男子選手もいるので女性も楽しめますし、子供も多くノっていて、老若男女、会場全体がひとつのお祭りみたいで楽しい。お勧め競技ですよ。

london_120822_1977.jpgビーチバレーでは、セット中に何度もパフォーマンスがあって、それも楽しい要素のひとつ。会場全体がカーニバル気分で盛り上がります。

オリンピックによる国民の"フィール・グッド"感がどこまで長続きするのか、それはまた大きな疑問ではありますが、とりあえずはムードの盛り上がりを反映して、パラリンピック人気も高まり、史上初めてチケットが完売の大会になるだろうとのこと。私の周囲にも、「オリンピックが楽しかったから、パラリンピックにも行く」という人がいます。パラリンピックはイギリスが発祥の地。29日からどんなドラマが生まれるのか、私も楽しみです。

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