城郭都市チェスターの旅

ミツコのロンドン・ウィークリー

前回の「タットン・パーク」(Tatton Park)から南西に車を走らせること約40分。ウェールズとの境界もそろそろというロケーションにあるのが、チェスターです。

チェシャー州で最も大きな都市であるこのチェスター、AD79にローマ人によって開かれたという2000年近い古い歴史を持つ街で、イギリスで最も完璧にその姿が保存された城郭都市(walled city)のひとつとしても有名。約100mの区間を除いて当時の城郭が約3.2kmにわたって街を囲むように今も残り、イギリスの歴史的建造物として保存対象(最高ランクのグレード1)に指定されていますが、その上を歩けるようになっています。

IMG_2940.JPG城郭はこのように歩けるようになっています。

城郭には4つのゲートがあり、それぞれから延びる4本の主要道路も当時作られたもの。現在ではどの通りも、お店が立ち並ぶショッピング・ストリートになっていて、その建物のほとんどはビクトリア時代のものですが、17世紀の建物や、道路より高い位置に通りに面した通路があってお店が連なるという独特の構造をした建物も多く、見ていて飽きないのも、この街の特徴と言えるでしょうか。

IMG_2949.JPG4つあるゲートのひとつ、ウォーターゲート。ここからメインの通りの1本ウォーターゲート・ストリートが延びています。

IMG_2951.JPGこんな古ーい建物が連なっていて、街歩きが楽しいのもチェスターの魅力。

IMG_2969.JPG通りより高い位置(2階みたいな感じ)に外に面して通路がある独特の構造のショッピングビルも特徴。この写真ではわかりにくいかもしれません。ごめんなさい。


主要な通りの1本、イーストゲイト(Eastgate)には、この街のランドマークにもなっている時計があるのですが、これが、イギリスではあのロンドンのビッグ・ベンに次いで有名な時計。時計自体はビクトリア女王の在位60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)を記念して1867年に作られたものですが、イギリス王室史上でもう一人、在位60周年を迎えたエリザベス女王のダイヤモンド・ジュビリーを祝った今年、この時計を見たというのも、何だか特別な気分です。

IMG_3111.JPGチェスターのランドマーク、イーストゲートの時計。通り(イーストゲート・ストリート)の右手に、「ザ・チェスター・グロブナー」ホテルがあります。麦の穂を束ねたようなマークがオーナーであるグロブナー家の紋章です。

さて、この時計イーストゲイト・クロックのすぐそばにあるのが、「ザ・チェスター・グロブナー」(THE CHESTER GROSVENOR)。ウエストミンスター公爵(グロブナー家)が所有するラグジュアリーなホテルです。ウエストミンスター公爵と言えば、ロンドンの高級地区メイフェアのほとんどを所有するなど、イギリス人としては1番のお金持ち(イギリスでは第4位)ですが、グロブナー家のお膝元がチェスターのため、市内にはこのホテルほか、ミュージアムや橋など、「グロブナー」の名を冠したものはいろいろとあります。

IMG_2979.JPGドアマンがにこやかに迎えてくれます。THE CHESTER GROSVENOR, Eastgate, Chester CH1 1LT tel:+44(0)1244-324-024 www.thechestergrosvenor.com/ 

IMG_2913.JPGロビーから吹き抜けの階段。コンテンポラリーに改装されたとはいえ、クラシックな魅力がたまりません。

IMG_2981.JPGお茶や軽食、ディナーまで楽しめる「ラ・ブラッセリー」は、手描きガラスの天窓が美しい。ホテル内には他に、ミシュランの星を持つレストランやバーも。

ホテルは近年、すっかり改装されて施設や部屋はコンテンポラリーなデザインが施され、ぐっと使いやすくなっていますが、何より特筆すべきは、ベッドと枕の快適なこと! ふだん眠りが浅く、旅先では安眠できない私でも、ぐっすり休むことができたのです。ほんと、ビックリ。今回、複数名で旅したのですが、翌朝は、全員がいかにベッドと枕が心地よかったかという話題で持ち切りでした。これは本当に試していただきたい!と思います。

IMG_2922.JPG世にも心地よい眠りを誘うベッドと枕が待っている客室。本当に快適です!客室はそれぞれ異なるインテリアが施されています。

IMG_2908.JPGトイレタリーは、自然素材の新しいブランド「The Plantation」。ダージリン・ティーの香りがこれまたとても心地よく、癒されます。

ミシュランの1つ星を持つレストランやスパもあり、ドアマンにはじまりスタッフのサービスがとても行き届いていますので、できれば、もう少しゆっくりしたかったなぁというのが本音ですが。


「ザ・チェスター・グロブナー」が老舗だとすれば、競馬場脇にあるモダンなホテルが「アボード」(Abode)。イギリスのテレビの料理番組にもよく登場し、ミシュランの星を持つシェフ、マイケル・ケインズ(Michael Caines)がビジネス・パートナーとともに全国で展開するホテル・グループのうちのひとつですが、グループの全ホテルには、彼の名を冠したレストランも併設されていて、実は、前々回ご紹介したマンチェスターにも同ホテルがあるため、そこではディナーをいただきました。で、ここチェスターでは、ランチを。ランチ・コースは分量控えめで軽めのメニューから3〜5皿選べるようになっていて、まぶしいほど晴天の日に、競馬場の芝の緑を眺めながらのランチは最高でした。

IMG_3079.JPGチェスター競馬場を見下ろすホテル「Abode」内のレストラン「Michael Caines」。Grosvenor Road, Chester CH1 2DJ tel:+44(0)1244-3470000

IMG_3071.JPGランチ・コースのメニューは月替わり。どれも軽めの量で、3〜5皿選べるようになっています(£14.50〜£23.50)。それぞれの皿に合うワインがプラス料金でつけられます。これは、温かい人参のムース。

ところで、チェシャー州と言えば、"チェシャー・キャット"(チェシャー猫)。イギリスでは、大きく歯を見せてニコッと笑う様を「チェシャー・キャットみたいに笑う」と言うようですが、18世紀からその表現はあって、酪農が盛んなこの州ではミルク、クリーム、チーズなど乳製品が豊富なため、猫でも大喜びしてしまうことから言われるようになったのだとか。チェシャー・キャットの存在が有名になったのは『不思議の国のアリス』ですが、その作者ルイス・キャロルが生まれたのが、チェシャー州だったのです。

と、説明が長くなってしまいましたが、そこで足を延ばしたのが、キャロル生誕の地デアズベリー村(Daresbury/ダーズベリーのほうが近い感じがしますが)です。彼は、村にあるオール・セインツ教会の牧師の長男として生まれたのですが、教会内には、生誕100周年を記念して1935年に作られた"アリス・ウィンドウ"と呼ばれるステンドグラス「ルイス・キャロル・メモリアル・ウィンドウ」があって、5枚のパネルには、チェシャー・キャットはもちろん、マッド・ハッターやドド、ホワイト・ラビットなど、『アリス』の有名キャラクターやシーンが刻まれています。すごく楽しい教会!(宗教心のない発言ですみません)

IMG_3014.JPGルイス・キャロルの父が牧師をしていたオール・セインツ教会。彼もここで洗練を受けました。Daresbury Lane, Cheshire WA4 4AE tel:+44(0)1925740198 www.lewiscarrollcentre.org.uk 

IMG_3022.JPGルイス・キャロル生誕100周年を記念して作られたステンドグラス「アリス・ウィンドウ」。『不思議の国のアリス』の登場人物やシーンが描かれています。

IMG_3024.JPG1番右のパネルの下には、ほら、この通り、チェシャー・キャットも。

IMG_3046.JPG時計塔の床のカーペットにはマッド・ハッターが!

IMG_3128.JPG楽しい教会でついついグッズをお買いもの。『アリス』の登場人物がすべて描かれているティー・タオルは超お気に入り。これの元になったプリントも売っていますよ。「マッド・ハッター・ティー」なるお茶は、まだ試してません、、、。

教会には、「ルイス・キャロル・センター」も新しく併設され、子供の頃の彼はこういうのを見ていたのかな?と思わせるポイントも教会内にあったりして、創作のもととなった世界に触れることができます。訪ねるのに便利な所とは言えないのですが(チェスター市内から車で30分はかかります)、ファンなら、是が非でも足を運びたいところですね。

さてさて、マンチェスター〜チェスターと回った今回の旅。チェスターとロンドン間も直通電車で2時間とちょっとと日帰りも可能な距離で、意外に便利になっていたイギリスの地方都市。魅力ある街がいっぱいあるのだなぁと再発見した週末でした。


・チェスター&チェシャー観光局http://www.visitchester.com


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