この夏、札幌国際芸術祭で童心に返りました。
今年の夏は、日本のさまざまな場所で国際芸術祭が開催されていました。
先日特集記事が公開された札幌国際芸術祭へ行ってきた編集YUKIです。
芸術祭の魅力は、ライター青野尚子さんによるこの特集をぜひ読んでいただきたのですが、訪れてみると、実際に“アートを鑑賞する”というだけにはとどまらない、童心に返って楽しめるようなワクワクする体験が待っていました。
最初に訪れた、モエレ沼公園のガラスのピラミッド。
ゲストディレクターの音楽家・大友良英さんが提案する今年のテーマは「芸術祭ってなんだ?」です。いきなり問いかけられて戸惑うものの、作品を観ているうちに、アーティストや主催者、そして観るわたしたちそれぞれの答えがあり、作品に心ゆくまで浸りながら考えていくプロセスそのものも楽しめばよいのだという気がしてきました。
大友良英+青山泰知+伊藤隆之《(with)without records》2017年
モエレ沼公園は、彫刻家イサム・ノグチが、ゴミ処理場として利用されていたこの地に立って「人間が傷つけた土地をアートの力で再生する」という想いのもとに設計した公園。ここに展示された大友さんの作品《(with)without records》は、その公園の“再生”に呼応するように、札幌市民がワークショップで加工した古いレコードプレーヤーたちを作品として蘇らせていました。ひとつひとつのプレーヤーがフォルムも音も、鳴るタイミングも違い、まるで個性的なメンバーが集まってハーモニーを奏でているようで、しばらくこの空間に浸っていたくなりました。
伊藤隆介《メカニカル・モンスターズ》2017年
会場2階を走り回っている(笑)剥製の狸。伊藤隆介さんによるこの《メカニカル・モンスターズ》は、同会場に展示されたナムジュン・パイクの作品であるロボット《K-567》(写真がなくてすみません)へのオマージュだそう。作品を鑑賞しているとおもむろにぶつかってくるその姿は、愛らしくもどこか哀愁が漂います。
堀尾貫太《補間》2017年
モエレ沼公園から、繁華街すすきのへ移動。こちらは会期終了後に解体されることが決まっているビルそのものを、ひとときの間アート作品として蘇らせた堀尾貫太さんの《補間》。会場に訪れ、入口のシャッターがガラガラと音を立てて上がっていく時からこの作品鑑賞が始まります。
電気や水道、ガスといったインフラが断たれ、繁華街にひっそりと佇んでいたこのビルで、堀尾さんが自作の電子回路をつなぎ合わせたことで、シャッターの開閉などに連動して、突然何かが動き出したり、夏休みの自由研究のようなワクワク感!
端聡《Intention and substance》2017年
同じく繁華街に位置する北専プラザ佐野ビルに展示された、札幌在住のアーティスト端聡さんによる《Intention and substance》。“循環”というテーマが水と高温の発光機で表現されています。光と影の強いコントラストが美しかったです。この作品が展示されているビルの雰囲気とのギャップもまた素敵でした。街のあらゆる場所がアートの展示会場になる可能性を秘めています。
宿泊したのは、2017年2月にオープンした「アンワインド ホテル&バー」。ロッジの世界観を都会のホテルで再現する、というコンセプトのもと、ロビーには薪ストーブがあり、客室もウッドのナチュラルでシンプルな設えにほっと和みます。
広くてゆったり寛げる、「アンワインド ホテル&バー」の客室。
ホテル名にバーと付いているのでバーに行かないわけにはいきません(笑)。10階のバー・イグニスでは、北海道のワインやウイスキーもいただけます。札幌では珍しいというルーフトップテラスも備え、夏はもちろん、寒い季節にも焚き火を囲んで過ごすことができるそう。
バー・イグニスは宿泊ゲストの溜まり場にもなっているそう。
翌朝、ロッジがテーマとあってキャンプ風の朝食がまたユニークだったのですが、長くなってきたので後編に続きます!
開催期間:開催中~10月1日(日)
開催場所:モエレ沼公園、札幌芸術の森、札幌市立大学ほか
料金:パスポート一般¥2,200ほか
●問い合わせ先: 札幌国際芸術祭実行委員会 事務局
tel:011-211-2314
info@siaf.jp
http://siaf.jp
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