【画像】エロイーズ・モランが読み解く、ダイアナ妃の最高の「リベンジ・ルック」。

Culture 2022.08.16

関連記事:可愛らしいお姫様スタイルの新婚時代からセクシーなリベンジドレスまで、ダイアナ妃のファッションの変遷が物語ること。

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1983年6月 。ダイアナ妃はポロ競技観戦に、イギリスのニットウェアブランド、ウォーム&ワンダフルの赤と白のニットセーターを着てきた。モチーフの白い羊の中に一匹だけ黒い羊が混じるこのセーターをダイアナ妃が着るのは2度目のことだった。エロイーズ・モランは、この服が明らかに「黒い羊」、すなわち英語で「のけ者」、「やっかい者」を意味する慣用句を示唆していると言う。「同じ服を繰り返し着るというのはダイアナ妃の習慣にはありませんでした。1981年に採用したパーソナルスタイリストのアンナ・ハーヴィのアドバイスのもと、初めて着たメッセージセーターです」と言う。これは王室になじめないダイアナ妃の幻滅を表現しているそうだ。「同時に、服を通じて発信した初めての強いメッセージでもありました」とエロイーズ・モランは指摘した。(ウィンザー、1983年6月)

photo: Getty Images

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1985年6月。 ダイアナ妃はロンドンで開催された『007/美しき獲物たち』のプレミア上映会に出席する。デザイナー、ブルース・オールドフィールドによるゴールドラメのドレスは、チャールズ皇太子と交際しはじめた頃の「お姫様」スタイルとは一線を画すものだった。それまではフリルやタフタを使った、体の線も肌も隠した服が多かったダイアナ妃が真逆のスタイルに挑戦し、自分の魅力を意識するようになる。エロイーズ・モランは次のように語る。「このドレスは、背中に大胆な切り込みがあります。当時大人気だったテレビドラマシリーズ、『ダイナスティ』の主人公、アレクシス・コルビーの服装を明らかに連想させるものです。ダイアナはもう隠れずに脚光を浴びる意志を示しました。チャールズ皇太子はそれが気に入りませんでした」(ロンドン、1985年6月)

photo: Getty Images

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1989年4月。子供たちを学校に送った後、ロンドンの街角で目撃された時のダイアナ妃。「この格好は、イギリス人がスローン・レンジャーと呼ぶ層の典型的なスタイルです」とエロイーズ・モランは言う。スローン・レンジャーとはチェルシーやケンジントンの保守的な家庭を表す言葉である。ステレオタイプなルックにダイアナ妃は、ベースボールキャップとカウボーイブーツという、英国王室メンバーのワードローブとしては画期的なひとひねりを加えた。エロイーズ・モランによれば、「この頃から反抗心がかいまみえるスタイルになった」とのこと。チャールズ皇太子とカミラ夫人の不倫関係が再燃して3年経った頃だ。ダイアナ妃はメンズ服をワードローブに取り入れるようにもなった。ここでは、いかつい肩のメンズジャケットを着用している。(ロンドン、1989年4月25日) 

photo: Getty Images

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1994年3月。ダイアナ妃は着ていてくつろげるスタイルを好むようになった。エロイーズ・モランは、1990年代の "サッカー・ママ "風の「いつの時代にも通用するスタイル」と太鼓判を押す。赤いビッグダウンジャケットにキャップをかぶり、サングラスをかけている。友人たちとオーストリアにオープンしたばかりのスキーリゾートでスキー休暇を過ごしにやってきた。チャールズ皇太子と別居してから2年。エロイーズ・モランによれば、それは「新たな一歩を踏み出す」ための行動だった。(オーストリア、1994年3月26日)

photo: Getty Images

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1994年6月29日、ロンドンのサーペンタインギャラリーで開催されたヴァニティ・フェアのガラに、ギリシャ人デザイナー、クリスティーナ・スタンボリアンのブラックドレスで出席したダイアナ妃。これまでになく露出の多いセクシーな服を着ることでダイアナ妃は、同夜にテレビ放送されたチャールズ皇太子のカミラ夫人との不倫告白インタビューに影を落とすことに成功した。自信を取り戻したダイアナ妃を象徴する「リベンジドレス」の誕生だ。足元には黒のマノロブラニクを履いている。王族にとっての禁色である赤のネイルを使用しているほか、最高の挑発としてエリザベス王妃クイーン・マザー所有のパールのネックレスをつけていた。「私はまだ王族でここにいるわ」と主張する一つのやり方だとエロイーズ・モランは言う。(ロンドン、1994年6月29日)

photo: Getty Images

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1995年9月。イタリアで行われたチャリティーコンサートにやってきたダイアナ妃。エロイーズ・モラン曰く、まるで人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公、「キャリー・ブラッドショーみたい」な写真だそう。「1990年代に超セクシーなイメージで知られたブランド」であるヴェルサーチェの白いミニドレスにジミー チュウのサテンシューズを履き、真っ赤なネイルをしている。数ヶ月後にチャールズ皇太子と正式に離婚することになるダイアナ妃は“ファム・ファタル(運命の女)”にみられることを完全に受け入れています」と、エロイーズ・モランは言う。別居から約3年、ダイアナ妃がイギリス人デザイナーにこだわる理由はもうない。(イタリア、1995年9月12日) 

photo: Getty Images

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1995年の頃、ダイアナ妃は定期的にジムに通っていた。王室から離れ、メディアから注目されずに穏やかな暮らしをすることを望んでいたのだ。そのために「メディアを飽きさせるために似たような服を繰り返し着たのです」とエロイーズ・モランは解説する。ダイアナ妃はこの写真で着ているヴァージン・アトランティックのスウェットのようなスウェットを何枚も持っていて、ショートサイクリングパンツやナイキのスニーカーとよく合わせていた。エロイーズ・モランによれば、「リベンジドレス」から1年後の彼女は、「自由な女性」を体現している。(1995年11月、ロンドン)

photo: Getty Images

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1997年6月、ダイアナ妃はチャリティ活動でニューヨークを訪れていた。写真では、マザー・テレサと一緒にいる。1990年代にカルバン・クラインがよく作っていたような真っ白なスーツを着ている。この旅行中、ダイアナ妃は、「パワースーツ」やスカートスーツを着てアンバサダーとしての役割を全うした。さらにクリスティーズのオークションに彼女の服79点が出品され、売上はエイズやガンの撲滅団体に寄付された。服の中には皇太子妃時代の頃のものもあった。エロイーズ・モランが指摘するように、「過去と決別するための一つのやり方」だ。そして画期的なのが、「この旅行中、何度かシャネルのスーツを着ている姿が目撃されています。Cを組み合わせたロゴが前夫とカミラ夫人の関係を思い出させるとこれまで絶対に着なかったブランドでした」とエロイーズ・モランは解説している。(ニューヨーク、1997年6月1日)

photo: Abaca

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1997年6月。ダイアナ妃はロンドンのロイヤル・アバート・ホールで「白鳥の湖」の公演を観た。パキスタンの著名な外科医、ハスナット・カーンと別れたばかりのダイアナ妃はジャック・アザグリのドレスをまとっていた。「リベンジドレスのコンセプトを再編集したようなドレス」とエロイーズ・モランは評すると、続けて「この頃のダイアナ妃は自分のスタイルに自信があり、とりわけ深いデコルテの服を好んできていました」と語った。(ロンドン、1997年6月3日)

photo: Getty Images

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ダイアナ妃は亡くなる1カ月前、ヨットでフレンチ・リヴィエラを巡っていた。新たに付きあいはじめたドディ・アル・ファイドとの旅だった。「初めて、男性とキスをしている写真がタブロイド紙に載りました。ダイアナ妃は完全に解き放たれて、情熱的な恋愛をしているようでした」とエロイーズ・モランは振り返る。写真では、ビタミンカラーのワンピース水着にそろいのパレオを合わせている。そして、指には指輪が光り、「なんらかの約束があるようにも見えますが、これは二人の間のある種のお遊びだったのではないでしょうか」とエロイーズ・モランは言った。(サントロペ、1997年7月17日)

photo: Getty Images

text: Alexander Peters (madame.lefigaro.fr)

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