気分で選ぶ、私のおすすめ映画。#06 篠崎恵美が部屋の模様替えをしたいときに観る映画3本。

Culture 2017.02.10

フラワーアーティストとして、ミュージシャンやセレクトショップとのコラボレーションを多く手がけるほか、自身のショップ「edenworks bedroom」も主宰する篠崎恵美さん。写真集や映画など、さまざまなものにインスピレーションを得てお花で表現する篠崎さんが、お部屋の模様替えをしたくなるような、インテリアのディテールに惹かれる映画をピックアップ。

独創的な色彩感覚やファンタジックな発想にインスパイアされる。

壁やカーテン、家具の色など、色合いがツボな作品を観ると、真似したくなってしまいます。ジャック・タチ監督の『プレイタイム』は、実にグラフィカルな映像美が印象的です。細部にまでこだわりが利いていて、色彩感覚がすばらしい。人の動きさえも機械的に見えて、スケールも大きく圧巻です。お婆さんのお花屋さんが登場するシーンが可愛い! お花を作るとき、お花以外の表現で表される感性に触れてインプットし、それをお花によってアウトプットしているので、こういった独創的な表現を観ると、新しいアイデアが湧いてきます。

もうひとり、色彩表現で大好きな監督といえばロイ・アンダーソン。グレイッシュで陰気な雰囲気で、部屋の色合いが絶妙です。中でも『愛おしき隣人』は、すべてのシーンにおいて色の構成がすばらしく、色と色のシンクロが特徴的です。映像としてだけでなく、絵として成立しています。部屋ごと動くシーンが特に大好きです。

また仕事柄、お花や植物を使ってセットを組んだりディスプレイしたり、ファンタジックな世界観を作ることがよくあるので、ミシェル・ゴンドリー監督の『ムード・インディゴ』はとても参考にしています。カクテルを作るピアノや恋人たちを運ぶ雲など、ボリス・ヴィアンの原作が、独創的なゴンドリー監督ならではの遊び心あふれるセンスで表現されています。中でも、クロエが寝たきりになった時に、寂しくないようにとコランがベッドに花を敷き詰めるシーンは本当に大好きで、お部屋で実際にやりたくなってしまいます。

01. 『プレイタイム』

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近未来都市のパリにやって来たユロ(ジャック・タチ)は、一流会社に就職しようとガラス張りの超高層ビルへ。アメリカ人観光客のバーバラ(バルバラ・デネック)とのすれ違いと出会いを、パントマイムを駆使してユーモラスに描く。多額の資金を投入した仏映画史上屈指の大作コメディ。

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●監督・脚本・出演/ジャック・タチ
●出演/バーバラ・デネック、ジャクリーヌ・ル・コンテ
●1967年、フランス映画
●Blu-ray ¥5,076
●発売元/日本コロムビア
© 1967 Les Films de Mon Oncle ‒ SPECTA Films C.E.P.E.C. All rights reserved.
Conception graphique © 2014 STUDIOCANAL.

02. 『愛おしき隣人』

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北欧のとある町に暮らす住人たち。夫に罵倒されたと生徒の前で泣き出す女教師、性生活が噛み合わない夫婦、ロックスターとの結婚を夢見る少女……。一生懸命生きているのに、ついてない。そんな彼らをバーの店主が今夜も慰める。「さあラストオーダーだ。また明日があるさ」

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●監督・脚本/ロイ・アンダーソン
●出演/ジェシカ・ランバーグ、エリザベート・ヘランダー、ビヨルン・イングランド、レイフ・ラーソン
●2007年、スウェーデン・フランス・デンマーク映画
●DVD ¥5,076
●販売元/スタイルジャム
●販売元/ハピネット
© 2007 Roy Andersson Filmproduktion AB

03. 『ムード・インディゴ うたかたの日々』

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肺の中に睡蓮の花が咲く病にかかった恋人クロエ(オドレイ・トトゥ)を助けるため、裕福なパリジャンのコラン(ロマン・デュリス)は私財を投げ打って奔走する。次第にクロエは衰弱していき……。カクテルを作るピアノや空に浮かぶ恋人たちなど、幻想的な原作の世界観を軽快なタッチで描く。

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●監督/ミシェル・ゴンドリー
●脚本/リュック・ボッシ
●出演/ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ
●2013年、フランス映画
●DVD ¥4,104、Blu-ray ¥5,076
●販売元/ポニーキャニオン
© Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved

●特集INDEX
●映画監督・俳優の松居大悟が選ぶ、笑いたいときに観る映画。
●フォトグラファーシトウレイが選ぶ、おしゃれしたいときに観る映画。
●アーティストのとんだ林蘭が選ぶ、怖くてドキドキしたいときに観る映画。

●シンガーソングライター石崎ひゅーいが選ぶ、人生を見つめ直したいときに観る映画。
イラストエッセイストの犬山紙子が選ぶ、疲れたときに観る映画。

「フィガロジャポン」2017年3月号は映画特集! 詳細はこちら

篠崎恵美 Megumi Shinozaki
フラワーアーティスト。「edenworks」主宰。一般的な装花・造園のほか、アーティストやミュージシャンとのコラボ作品多数。ミュージックビデオやCDジャケットのアートワーク、百貨店やセレクトショップのメインビジュアルおよびカタログ撮影、アパレルブランドとのコラボ商品の制作、ディレクションなどさまざまなプロジェクトに参加している。2015年、初めてのショップ「edenworks bedroom」をオープン。 http://edenworks.jp

selection et texte:MEGUMI SHINOZAKI, texte:ERI ARIMOTO

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