全世界が絶賛。パク・チャヌク監督が語る『お嬢さん』

インタビュー

カンヌをはじめ、世界各国の映画賞を騒がせたパク・チャヌク監督の最新作『お嬢さん』がまもなく公開となる。英国の小説家サラ・ウォーターズの傑作ミステリー『荊の城』を再解釈し、日本統治時代の韓国を舞台に描かれた、美しきエロティシズムと究極の騙し合い。来日したパク監督に、映画づくりで大切にしていることや、作品の見どころについて伺いました。

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―カンヌの記者会見で、物語の舞台となる1930年代の韓国を「文化的にも非常に興味深い時代」とお話されていましたが、この時代に興味を持ったきっかけは?

パク・チャヌク監督(以下、P):「じつは、原作の『荊の城』がBBCで既にドラマ化されていたので、同じ設定にはできないな……ということもあり、舞台を韓国に置き換えました。この物語の中で重要な要素である身分制度がまだあり、そして精神病院が設立されていた時代ということで、1930年代にしたんですね。人々が当時、近代化をどういうふうに受け入れていたかという部分は、もちろん原作にはないものだったので、かなり探求しました。日本や諸外国との関係性なども調査して、背景を設定していきました」

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パク・チャヌク PARK CHAN-WOOK
1963年生まれ。熱心な映画ファンでもあり、大学在学中から映画評論家として活躍する。1992年『月は...太陽が見る夢』で監督デビュー。国内興行記録を塗り替え大ヒットした『JSA』(2000年)、カンヌ国際映画祭審査特別グランプリを受賞した『オールド・ボーイ』(2003年)などで世界的にも注目を浴び、『イノセント・ガーデン』(2013年)ではハリウッド進出。大胆で革新的なスタイルは、本作でも健在。

―この時代ならではの、日本風、英国風を織り交ぜたインテリアが印象的です。クラシックな家具、壁紙などディテールまで見どころたっぷりですが、こういう細かい部分はいつもスタッフと話し合って作り上げていくのですか?

P:「ええ。美術監督(リュ・ソンヒ氏)とは『オールドボーイ』の頃から一緒に仕事をしていて、脚本の段階、あるいは原作を見つけた時点で相談することもあるほどです。実際の仕事に入る時も、大枠の方向性は私の方で提示して、あとの詳しい調査は美術チームにお任せするんですね。そして美術チームが選んできたものから私が最終決定するような形で、一緒に作っていきます」

―長い付き合いだから、監督の好みや意図もすぐに伝わるんでしょうね。

P:「そうなんですが、気心が知れているからこそ注意しなければいけないんです。『言わなくてもわかるだろう』と思わずに、お互いに緊張感を持って議論するようにしています」

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―エレガントな衣装、ヘアメイクなどにも目を惹かれますが、何かインスピレーション源はありましたか?

P:「特に参考にしたり、インスパイアされたものはないんですが、衣装に関しても担当者と話し合いを重ねました。できるだけ多くの資料を用意したり、ただ選ぶだけではなく組み合わせで新しいものを作ったり、イメージに合うものがなければ妥協せず再度探してもらったり……。なので、私は女性の服装やアクセサリー、メイクも結構気になってしまうんです。女性誌で最新のファッションを見るのも好きですし、百貨店に行っていろいろと見物することもあります」

―監督の作品がトレンドを創り出すこともありますね。『親切なクムジャさん』のアイメイクなんかは、当時とても新鮮でした。

P:「流行をなぞってしまうと、映画が公開されたときにはどうしても時代遅れになってしまうんですよ。なので流行りはある意味無視して、あくまでもキャラクターの本質を考え、何が合うかを探っていきます。メイクのソン・ジョンヒさんとは『JSA』から一緒に仕事をしているのですが、『親切なクムジャさん』のときは、私が脚本に“クムジャさんは黒いアイシャドウを塗る”と書いていたら、彼女が『監督、赤ではダメですか?』と言うんです。『赤は幽霊みたいな感じに見えないかな?』と反対したら、『とにかく見て下さい! 見てから決めてください』と。そういうふうにスタッフが意見を言ってくれるので、アイデアが広がるんです」

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―素敵なチームワークですね。それでは最後に、今作のなかで気に入っているシーンを挙げるとしたら?

P:「ホテルの客室のシーンです。非常に長いテイクなんですけども、見ていても長く感じなかったと思うんです。なぜなら、カメラと俳優の動きが、まるでダンスを踊っているように滑らかに流れていたからなんですね。あのシーンでの、キム・ミニさんの二面性のある演技もすごくよかったと思います」

【ストーリー】
1939年、日本統治下の朝鮮半島を舞台に、孤児の少女・スッキ(キム・テリ)、莫大な財産の相続権を持つ美しい令嬢・秀子(キム・ミニ)、秀子の財産を狙う詐欺師(ハ・ジョンウ)ら、それぞれの思惑が入り乱れ、騙し合い、復讐が繰り広げられる、華麗で過激なサスペンス。

『お嬢さん』
2017年3月3日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED
ojosan.jp

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