わざわざ行く理由がある、東京シークレットストア4軒。 好奇心が尽きない不思議な店、祐天寺の「セイン」。

Interiors 2016.12.22

日々の欲しいものや必要なものは、家にいながらインターネット経由で簡単に手に入る。だからこそ、モノとの出合い、ヒトとの出会いの価値を見直したい。都内に点在する厳選4軒の、わざわざ行きたくなる理由とは? 3軒めは、祐天寺にあるセレクトショップ「セイン」。

際どい攻めのおしゃれを好むヘアスタイリストの友人が「センスの塊のような店がある。」と教えてくれたのがここ、祐天寺にある「セイン」だった。

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奇想天外な出合いがある、
刺激に満ちた未知の異空間。

祐天寺駅から徒歩3分。営業時間が15時からというユニークなこの店は、一歩足を踏み入れるとシンプルな外観からは思いもよらない不思議ワールドが広がっている。

学芸大学にあるヴィンテージショップ「トランポット」のオーナー竹田弘さんが手がけるこの店。戦時中には物資を保管する場所だったという古民家を改装した木造の一軒家には、見落としてしまうほど小さなオブジェから壁面に掛けられた巨大なアート作品、デザイナーズのヴィンテージウエア、多肉植物などのグリーンまで、本当に幅広いアイテムが所狭しと並んでいる。

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販売しているテーブルや椅子の上にもオブジェや観葉植物などが並べられ、見ているだけでも楽しい。

価格帯は、なんと300~500円ほどのものから。壁に掛けられる額装されたアート作品やポスターなどが一番高いものでも10万円台のものもある。一見ヴィンテージショップとも思えるラインナップだが、オリジナルのフレグランスや日本人作家によるアクセサリーなど、ヴィンテージに限らずさまざまなものがあるので、店内を隈なく見渡してほしい。

およそ2ヶ月に1度のペースでオーナー自身がアメリカに買い付けに行っており、その行き先は東でも西でもなく、アメリカ全土。移民の国ゆえに世界各国のものが集まっているアメリカは、踏み込めば踏み込むほど面白いものがあるという。最近はアメリカ以外に、ヨーロッパ各国にも訪れるようになり、ますますその買い付けの幅は広がっている。

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「用途不明のものも多い」と語るのは店長の美濃さん。特にオブジェはさまざまなものが見つかる。

当初は古着を探す目的で、地元の人々が集まるフリーマーケットによく足を運んでいたオーナー。そこで出店しているディーラーたちとの会話をきっかけに自宅にお邪魔するようになり、その素敵な暮らしぶりに感化され、それを表現する場所を作りたくなった。それが「セイン」をオープンする動機になったのだという。

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有機的なフォルムのガラスをオレンジの光が優しく照らす。ヴィンテージライト¥25,920 

とにかく面白いと思ったものは何でも買い付ける。そこに境界線は何もない。ほかの店には無いものを、と追求し続けた結果、いまの店に仕上がった。

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階段を上がったロフトから店内を見た様子。 

何度来ても新しい発見があるのは、毎日ディスプレーを変えているから。新鮮に感じてもらいたいという気持ちから、大きなファニチャーも躊躇なく移動するのだそう。

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観葉植物が集まるスペース。左上の丸みを帯びた石の花器は、すべて本物の石から作っているためひとつとして同じデザインのものは無い。「ENIMA DESIGN」の石の花器¥7,344~

壁面にも床にも、360度楽しめる店内では、視点を変えるだけでも楽しい。しゃがむと椅子の下にひっそりと置かれたオブジェと目が合ったり、店内の奥まで入って振り返っただけでも、それまで見えなかったアート作品が視界に入るのだ。

オブジェと言っても、ただの置き物ではないものも多数ある。手を使わずに靴を脱げるシュージャックなど、用途が明確なものもあるので、気になるものを見つけたらおそるおそる手に取って店長に聞いてみてほしい。

また、その発見は目に見えるものだけではない。

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左にある数量限定の初回版は、写真を切り貼りした手作りのフォトブック付き。オリジナルのミックスCD¥2,160~

店内に流れているBGMは、音楽に詳しい常連客が「セイン」のために手作りでアルバムを制作しているもの。店のために作られたオリジナルの音楽は、違和感無く空間と融け合って心地よい気分に浸らせてくれる。店と常連客との間に決まりごとはなく、完成したら不意に店へ持ってきてくれるという肩肘張らない感じもいい。

まだまだ発掘されていない新鋭ブランドの展示会や作家の個展、前述のアーティストたちによる音楽イベントなども夜な夜な開かれており、物欲を刺激するだけでなく、若いアーティストたちが集まるサロン的な場所にもなっている。

あえて人の気配が無さそうなところへ買い付けに赴き、ほかの店では見つけられないようなレアな代物を店に並べる。そのオーナーの独特の審美眼に価値を見いだせる人だけが共感できる店なのかもしれないし、万人が足繁く通う店ではないかもしれない。でも、数日経っても色んなシーンが頭を巡って、ついつい思い返してしまう映画があるように、一度行くと二度と忘れないくらいの衝撃と驚き、そして謎の中毒性がこの店にはある。

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SEIN/セイン

東京都目黒区祐天寺2-6-10
tel. 03-6412-7463
営業時間:15時~23時
不定休
www.thesein.com
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photos: YUTO KUDO

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