パウダリーなピンクベージュではじめる秋の花あしらい

花のある週末 2016.09.15

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秋雨前線がもたらす長雨。しとしと、しとしと、秋が深まっていく足音のようです。
このコラムが更新される15日は今年の中秋の名月、十五夜です。このお天気の様子だとお月さまが姿を現してくれるかどうかわかりませんが、花屋さんにはお月見に飾りたいススキやまぁるいピンポンマム、藤袴(フジバカマ)や女郎花(オミナエシ)などの秋の七草たちが、佇むように静かに出番を待っています。月明かりを浴びたら、さぞや美しいことでしょう! 雲の切れ目にのぞく月を待つひととき、凛と美しい秋の和花を眺めながら、虫の音をBGMにゆっくり杯を重ねて過ごすのも風流ですね。

◆中秋の名月のアレンジはバックナンバーをご覧ください
「中秋の名月に供えるジャパンビューティ~クールでモダンな秋のマムあしらい~」

秋のはじまりにそばにいてほしい花は、スィートなニュアンスの淡いピンクの花。色褪せた陽射しや優しい雨に似合う、ちょっとアンニュイな雰囲気の“ピンクベージュ”が気になります。こっくりした深いボルドーや橙色の花はもう少し先のお楽しみに。
今回は三大フラワー=バラ、マム(菊)、カーネーションからそれぞれピンクベージュをチョイス。一年中手に入る定番の花たちも、季節の草花や実ものとあわせればシーズナブルなアレンジになるヒントです♪

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ノバラのリースをベースに
ピンクベージュのバラと秋の草花のキャンドルアレンジ

【材料】
*ノイバラの実の枝(60㎝程度の蔓) 1本
*アイビー(30㎝程度の蔓) 5~6本
*バラ「サーシャ」2本
*藤袴(フジバカマ) 2本
*アストランティア「マヨール」1~2本
*紅スモモ(紅葉している枝) 1本※使用しているのは枝の先端の小枝5本ほど
*カリフォルニアライラック「マリーサイモン」(茶色の実) 1本

*水盤状のガラス花器1点(直径18㎝、高さ7㎝)
*下にひく皿1点(直径32㎝)
*キャンドル1点(直径10㎝、高さ9㎝)
*ワイヤー1本
*切花栄養剤 小袋1袋

【作り方】

  1. ノイバラの実の枝の先端の細い方から丸めて、ガラス花器のまわりを一周するぐらいの大きさの輪を作ります。枝の下の方の太い部分は切り落とし、輪の結び目をワイヤーで固く結び留めます。リースから大きく飛び出る実の小枝は切り落とし、リース本体の太い枝に小枝を絡ませるようにして、ノイバラの実のリースを作ります。
  2. 皿の上にガラス花器、花器の中央にキャンドルをセットし、切花栄養剤を分量通り希釈した水を入れます。ガラスの周りにノイバラの実のリースを置きます。
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  3. アイビーの蔓を、ノイバラのリースの実の向きと同じ方向に流しながら花器に活けていきます。蔓の根元は水に浸け、ツルの先端はノイバラのリースに絡めていき、ぐるりと一周アイビーを配し、鳥の巣のようなリースを作ります。
  4. 紅スモモの枝は、枝分かれした小枝の先端をカットし、カリフォルニアライラックも実の部分を短くカットします。バラ、藤袴、アストランティアも器の高さよりやや長めにカットします。
  5. 1ヶ所にバラ2本を集めてフォーカルポイントを作り、残りの花や実を全体にバランスよく活ければ出来上がり!

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ピンクベージュというパウダリーな色合いは、かわいくてシックで上品で、日本女性にはとても人気があります。画像下、ポンポン咲きのマム「オペラ」は、淡いシャンパンピンクが他の洋花ともあわせやすく、ブライダルやギフトにも使いやすい色として日本では人気品種となっていますが、オランダのマム育種会社では、このような淡いピンクは白っぽいクリーム色に見えるらしく“ぼんやりした色”だとしてあまり評価されず、ともすると選抜されない(生産されない)品種になってしまいます。秋冬がどんよりと暗い北ヨーロッパでは、家の中がパッと明るくなるような華やかな色合いが好まれる傾向にあるよう。カーネーションの品種開発をしているラテン国・スペインやイタリアの育種会社でも、このようなくすんだ色合いはやはり人気がなく、“日本市場に向けた特別な色”といった扱いになります。バラもこのようなアンティーク調の色合いは、日本やパリではおしゃれな色として人気がありますが、世界的にはマイナーなようです。

日本には桜の文化がありますから、淡いピンク系の色合いは自然と琴線に触れるのかもしれません。何を美しいと感じるか、美を見い出す感性はDNAに刻まれているように思います。

04-weekendflower-160915.jpg上から時計回りにカーネーション「レージェ」、マム「オペラ」、バラ「サーシャ」

画像下のマム「オペラ」のアレンジは、お月見にも良さそうな花あしらい。マムと藤袴の優しいピンク色に、秋の草原を思わせるキバナコスモスとワレモコウが映えます。ワレモコウ(吾亦紅)は、その昔万葉集で「我も恋う」と詠われた恋の花。丸いモチーフがかわいらしい和の世界、秋のティータイムにぴったりですね。栗の和菓子があれば最高です(笑)。

05-weekendflower-160915.jpg左からキバナコスモス、ワレモコウ、右側上から藤袴、マム「オペラ」、ケイトウ

そしてカーネーション「レージェ」には、同じくアンティークカラーの秋色アジサイがお手頃だったので、千日紅と一緒にあわせてみました。まず秋色アジサイを活けて、その上に水玉を描くようにカーネーションと千日紅を一輪ずつ活けていきます。アジサイが良い感じに花留めになって、簡単に秋色のラウンドアレンジが作れますよ。カーネーションも長く楽しめる花ですが、その後も秋色アジサイと千日紅はきれいなドライフラワーになりますので、秋のインテリアとしてもおすすめです。

 

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気まぐれな9月。季節の変わり目で心身ともに今ひとつな時は、虫の音に戯れ咲く秋の花々が癒してくれますよ。自然の移ろいに身を委ねて、秋の風のように軽やかに花をあしらってみましょう♪

 

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

 

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。


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