花のある週末

《番外編》グリーンシティ・シンガポールより
~亜熱帯の生命力あふれるグリーンと美しいランに癒されて~

花のある週末

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身体にまとわりつく暑く湿った空気、豊かに繁る緑を洗うかのようにザーッと流れるスコール。
ここはシンガポール、アジア屈指の国際都市であり、駐在する日本人たちからは"東京24区"と言われるほど不便なく暮らせる街。私自身今まであまり東南アジアに縁がなく、2年前のタイ・バンコクに続き初のシンガポール訪問。一人旅で二泊三日というわずかな滞在ですが、その中で出会った花と緑についてご紹介したいと思います。

シンガポールは今年で建国51周年というまだ歴史の浅い国。全面積が東京23区ほどの大きさで、多民族が暮らす安全で豊かな国。「ガーデンシティ」という異名もあります。英国統治時代の影響か、どことなく昨夏訪れたオーストラリアの都市シドニーや、同じく「ガーデンシティ」と呼ばれるメルボルンの街の雰囲気と重なる部分も。かのマーライオンが水を吐く湾に面して高層ビルが立ち並ぶイメージが強いですが、現在のシンガポールは国を挙げての「グリーンシティ」計画のもと、アジアで最も環境にやさしい都市、サスティナブルな街として発展しているのです。

グリーンシティという主張は、多くの観光客を出迎えるチャンギ国際空港からすでに始まっています。グリーンシティの象徴的な姿は、狭い土地ならではの驚くべき選択「バーティカル・グリーン」、つまり壁面緑化という手法。昨今日本でもオフィス環境や商業施設でさかんに取り入れられていますが、シンガポールでは常夏という気候を生かした屋外での展開がまた見事。今回は、まさにグリーンシティを体現している、緑と水がコンセプトのホテルをチョイスして滞在してみました。

街の中心、チャイナタウンのほど近くに建つ「PARK ROYAL HOTEL on Pickering」。
ホテルの外観は、向かいの公園の緑と繋がるようにデザインされた豊かな壁面緑化。まだ辺りがほの暗い早朝に到着したのでその時はよくわからなかったのですが、夜が明けてみてびっくり! 外観の緑化がここまでのスケールとは予想していませんでした。フロントからカフェレストランへのアプローチ、5階にある屋外プール、プールから見上げる客室、写真はありませんが各フロアの客室の廊下に至るまで、水が流れ、空間デザインに緑が溶け込んでいます。客室やプールからは眼下に豊かな緑が広がり、ホテルのどこにいても緑と水を感じることができます。景観に取り入れている水が循環し、ホテルを取り巻くグリーンを灌水している構造のようです。

大都会にいることをしばし忘れさせるオアシス。できることならずっとここに住みたい(笑)そう思わせるほどの快適さとホスピタリティ。ほんのひとときでも日常から離れたからでもはありますが、少し疲れてギスギスしていた心が、緑に囲まれてみるみると癒されていく実感があります。

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ホテルやレストランの入口には、白グリーンと紫のデンファレ(鉢)がたっぷりとモダンに飾られていて、ランの国に来たのだなあ、と。そして、早朝の誰もいないプールサイドには水が滴る一輪の赤いプルメリアが......! シンガポールへようこそ、と出迎えてもらったようで、何だかとても嬉しい旅のはじまりでした。

さて、今回の旅の最大の目的はもちろん「花」。2年に一度開催されるシンガポールの国が主催するフラワーショー、「シンガポールガーデンフェスティバル2016」へ。 
会場となる「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」という巨大植物園が、ぜひ行くべき! と多くの花業界人に薦められていた場所であることに加え、まだ若かりし頃に新しいプロジェクトに邁進したチームメイトであり、日本を代表するフラワーデザイナーに成長した丹羽英之氏が今回のフェスティバルに招聘され、世界中から選抜されたデザイナーと共にコンテストに挑む、ということでその応援も兼ねてやってきました。世界に誇る日本の花々を持ち込んでデザインされた丹羽氏の繊細かつ幽玄なブースは見事にゴールド賞を受賞、英国チェルシーフラワーショーの審査員が審査するというガーデン部門に参加した日本人2名もゴールド賞を受賞するなど、日本勢の快挙でした。

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Singapore Garden Festival 2016 Hideyuki Niwa Gold award! Floral Windows to the World 【synesthesia】
画像上の右上に見える緑色のモワモワしたものは、なんと松の葉を一葉一葉繋げたオブジェ......! 気が遠くなる作業です。

家族のような仲間の快挙にテンションアップ! 暑い最中ですが会場のガーデンズ・バイ・ザ・ベイも満喫します。亜熱帯の樹々を彩るように鮮やかな色合いのデンファレ、バンダ、アランダ、オンシジウムなどのランが咲き乱れ、辺り一面が極楽ムード。植物園の中心に巨木をかたどった圧倒的な存在感のオブジェ「Super Tree」が立ち並び、その周りには様々なテーマのガーデンや温室が配されています。

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中でも最も印象的かつ感動的だったのは「Cloud Forest」という巨大なガラスドーム。
入口からいきなり、高さ35mの人工山から流れ落ちる豪快な滝の水しぶきに出迎えられます。山はミストの噴射によって作られた人工の雲に取り巻かれ、霧がうっすらと立ちこめるドーム内は、別世界に足を踏み入れたようで想像を絶する光景に引き込まれます。

赤道直下に近い場所にいることを忘れるひんやりとした空気、世界の熱帯雨林でも2.5%ほどしかないという珍しい低温多湿な雲霧林を再現している施設になります。エレベーターで標高2000mという設定の滝山の頂上まで登り、そこからは山の周りをくねくねと下る通路で空中散歩。高所恐怖症の方にはちょっと厳しいかも(笑)。実に生き生きと、命を謳歌するかのように息づく植物に覆われた山の外壁を見ながら、雲の中をそぞろ歩くのはちょっとした冒険のようで興奮の連続!「この葉ってこんなに大きくなるんだー!」「この花は何だろう!?」と珍しい植物や美しい花々に時間を忘れて感嘆......! 期待以上の楽しい体験となりました。

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動物園や水族館が様々な工夫で一大エンターテイメントとなっていったように、「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」はTHEエンターテイメント植物園。植物を主役に観光都市の魅力作りを推進するシンガポールの気合いを感じます。

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冒頭と下のランのアレンジメントは、ランの魅力に溢れた植物園に刺激されて、ホテルの部屋にもランを飾ってみた様子です。一束6本ほどのランと葉が入って5シンガポールドル(¥400くらい)のブーケと南国らしいフルーツ「ドラゴンフルーツ」を街中のスーパーで購入して、ホテルの部屋に備え付けのグラスに活けてみました。冒頭の画像は、2本の「モカラ」を数輪にばらして水中花に。少ない花材をモダンに見せるテクニックです。南国の花とフルーツも相性抜群ですので、並べて飾るだけでも絵になります。画像下はちょっと珍しい色の「バンダ」を1本、ベッドサイドにキャンドルとともに飾りました。

旅先で花を飾ること。花を求めて、ガイドブックには載っていない人々の暮らしが息づく街を探索するのも楽しみのひとつ。その土地の花を一輪でも活けてみると、部屋で過ごす夜のひとときも、朝目覚めた時も一層嬉しい気分になるのです。一人旅にはなおさら、花が必要だなあ、と(あと音楽も!)。旅に出たらぜひ、試してみてくださいね♪

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シンガポールでの短い滞在の最後は、ずっと憧れていたラッフルズホテルへ。
東洋の真珠、白亜の貴婦人と称されるラッフルズホテル、ホテルエントランスのアプローチにはシンボルフラワーであるオレンジ色の「ストレチア(極楽鳥花)」が美しく咲いています。コロニアル様式が優美な瀟洒な建物は、どこを切り撮っても絵になりますね。さすがの私でも一人ではアフタムーンティーは多すぎて、全て制覇できなかったのが心残りですが(笑)、スコーンに添えられているジャムが「薔薇のジャム」という嬉しい発見も! このホテルで生まれたというカクテル「シンガポールスリング」も味見して、束の間優雅な旅の締めくくりでした。

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街全体が緑や花で包まれたシンガポールは、自然と人が共存する未来都市の一つの姿。様々な英知を集め、自然と人を取り巻く多くの課題解決に向けた壮大な社会実験であり、殺伐とした競争社会の傍らで自然を慈しみ寄り添う心がもたらす優しさを教えてくれているように感じました。5年後10年後、シンガポールという都市がどんな風に素敵になっていくのか、期待したいですね。

私は一足早い夏休みをいただきましたが、皆さまはどんなバカンスをご予定でしょう!?
旅先をイメージして、もしくは旅の想い出に浸りながら、旅するように彼の地の花を飾るのも夏ならではの楽しみ方♪ ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。


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◆WEEKEND FLOWER 公式サイト
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