料理家、冷水希三子さんが推薦、鎌倉野菜とワインのおいしい店。

Travel 2017.04.22

 新鮮な鎌倉野菜と、種類豊富なワイン、美食家の多い鎌倉には、高レベルのレストランがひしめく。料理家、冷水さんのとっておきは、わざわざ行きたい名店揃い。

|長谷|

鎌倉、長谷の大通りに現れた、 ワイン好きのためのリトルイタリー。

オルトレヴィーノ

「センス抜群で、まるでイタリアの店を訪れているかのよう。オーナーの古澤夫妻がイタリアの地に長年住んで得た空気感がお気に入りです」。冷水さんがそう評する「オルトレヴィーノ」は、ワインを楽しむことを目的にワイン店とデリ、そしてレストランの3つを融合させた、エノガストロノミアと呼ばれるスタイル。 だが決してこの店がかの地の真似事で終わらないのは、夫、古澤一記さんの地元鎌倉の人々や食材に対する愛があればこそなのだ。

1704-oltrevino-01.jpg

サルディーニャ島の伝統的な粒々食感のパスタを使った「あさりのフレーゴラ」¥1,850(イー トイン限定)には、「ビアンカ・ポミーチェ」(グラス¥1,200)を合わせて。

1704-oltrevino-02.jpg1704-oltrevino-03.jpg

左:中世から伝わる古い レシピを地の素材で再現した「茅ヶ崎牛のインプルネタ風黒こしょう煮込み」¥2,650(テイクアウトは¥2,000)
右:定番人気の「ニンジンとオレンジのホワイトバルサミコのサラダ」¥900(テイクアウトは¥700)は、夏にぴったりの爽やかな1品。

1704-oltrevino-04.jpg1704-oltrevino-05.jpg

左:自家製総菜やシャルキュトリーが、所狭しと並べられたショーケース。
右:店内のインテリアは、アンティークコーディネーターでもある妻の千恵さんが手がける。テーブルから照明、飾り棚に至るまですべて購入可能。

オルトレヴィーノ/Oltrevino

神奈川県鎌倉市長谷2-5-40
tel:0467-33-4872
営)12時〜19時(イートインは18時30分 L.O. )
休)水
www.oltrevino.com

>>小町|オステリア・コマチーナ|イタリアン

---page---

|小町|

コストパフォーマンス抜群の、 隠れ家的イタリアン。

オステリア・コマチーナ

鎌倉屈指の観光スポット、小町通りに面したビルの2階には、地元客がこぞって足を運ぶ小さなオステリアがある。オーナーの亀井良真さんは「いい食材を使ったおいしい料理を、手頃な価格で」がモットー。鎌倉市農協連即 売所(レンバイ)の野菜や佐島漁港の魚の調理には余計なものは一切足さず、ワインは自然派の飲み心地のよいものだけという潔さもいい。「入荷次第で変わる、黒板メニューも見逃せません」と、冷水さんも楽しんでいる。

1704-osteriacomacina-01.jpg

アーモンドとイタリアンパセリでエキゾティックな味に仕上げた「エビとズッキーニのソテー」 ¥1,080 。醗酵し黄金色に輝く、南イタリアの白ワイン「カンティーナ・ジャルディーノ」グラス ¥756

1704-osteriacomacina-02.jpg1704-osteriacomacina-03.jpg

左:サッとマリネしただけのフレッシュな味わいが楽しめる「アジのサラダ」¥1,080(写真右上)と塩のみのシンプルな味付けで、まるで大地をそのまま味わっているかのような「ビーツのスープ」¥648(写真左下)
右:自家製のオイルで漬けたイワシの旨味がギュッと詰まった「イワシとウイキョウのカヴァテッリ」¥1,296

1704-osteriacomacina-04.jpg1704-osteriacomacina-05.jpg

左:小町通りに面した大窓から光が降り注ぐ明るい店内。
右:自然派ワインのラインナップが多く、グラスワインの種類も豊富なのがうれしい。

オステリア・コマチーナ
Osteria Comacina


神奈川県鎌倉市小町2-8-9 秋山ビル2F
tel:0467-23-2312
営)12時〜14時 L.O.、18時〜22時 L.O.
休)火

>>小町|ビーノ|フレンチ

---page---

|小町|

歴史的な文壇バーが、野菜のおいしいワインバーに。

ビーノ

「お腹いっぱいだけどちょっとだけ飲み足りない、身体に優しいアテで気軽に満たされたい......」。冷水さんが「ビーノ」の扉を開くのはそんな時。日中は畑仕事に精を出すという シェフの阿部剛さんがフレンチをベースに生み出す料理は、なるほど、実に軽くて優しい味わい。なぜなら野菜本来の味を引き出すため、料理しすぎないことを心がけているからだ。滋味あふれる野菜料理の数々は、シェフこだわりの自然派ワインとともに食したい。

1704-binot-01.jpg

つなぎに肉や卵は使わず、グルテンミートを使用。インゲン豆のほっこりとしたおいしさが味わえる「白インゲン豆とピスタチオのパテ」¥515。ともに味わえば旨さ倍増の1杯は山形・タケダワイナリーの「サン・スフル 白(発泡)」グラス¥820

1704-binot-02.jpg1704-binot-03.jpg

左:ローストしたトマトからは、まるで魚介類を使ったかのように旨味たっぷりの出汁が染み出す。「小粒トマトのロースト」¥720
右:食感の異なるさまざまな野菜がひと皿に。やわらかな酸味が口いっぱいに広がる「冷製・季節野菜の蒸し煮」¥515

1704-binot-04.jpg1704-binot-05.jpg

左:店は鶴岡八幡宮の参道を1歩入った小さな路地に。
右:かつては川端康成や久米正雄ら鎌倉文士たちの通う酒場だった。往時を知る人がふらりと訪れることも。

ビーノ/Binot

神奈川県鎌倉市小町1-5-14
tel:0467-50-0449
営)17時〜22時 L.O.
不定休

>>長谷|マンナ|イタリアン

---page---

|長谷|

豪快さと緻密さとが同居する、 女性シェフのイタリアン。

マンナ

店の中央に設けられたオープンキッチンでは、オーナーシェフの原優子さんが片時も手を休めることなく腕をふるう。冷水さんの「繊細ながらもダイナミックなお料理」という言葉どおり、原さんの生み出すひと皿には視覚的にも味覚的にも、豪快さと緻密さとが絶妙なバ ランスで同居している。素材の味を生かしつつもビシッと塩を利かせたハンサムな料理ゆ え、ワインとの相性も抜群!イタリア全土から集められた白眉の1本を、ぜひご堪能あれ。

1704-manna-01.jpg

ウサギの上半身のあらゆる部位を使用し、旨味を凝縮させた「兎のゼリー寄せ」¥1,512。黒 オリーブにハーブ、玉ネギが味に深みをあたえるひと皿には、豊富なミネラル感と爽やかな香りが特徴的な「セルバドルチェ クレッシェンド2004」(グラス¥1,296)がオススメ。

1704-manna-02.jpg1704-manna-03.jpg

左:旬のフルーツを白ワイン漬けにし、トスカーナ発祥のリキュール・アルケルメスで香り付けした「マチェドニア」¥800
右:ヒッコリーのチップで軽くスモークしたイワシが美味な「鰯のスモークとサラダ」¥1,300 

1704-manna-04.jpg1704-manna-05.jpg

左:店内はシックな色調でまとめられ、つい長居したくなるホッと落ち着く空間に。
右:大通りと店とをつなぐアプローチには、さまざまな種類のハーブが植えられている。

マンナ/Manna

神奈川県鎌倉市長谷2-4-7
tel:0467-23-6336
営)12時〜14時 L.O.、18時〜20時30分 L.O.
休)日、月
要予約
*「フィガロジャポン」2015年8月号より抜粋

photos : MAYUKO EBINA (DEN LILLE SKOLE), texte : YUZUHA ITO

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories