
北欧好き、インテリア好きにも推したい『ハマスホイとデンマーク絵画』展。
こんにちは、編集NSです。本日1月21日から東京都美術館で始まった『ハマスホイとデンマーク絵画』展(3月26日まで)。絵画好きはもちろんのこと、北欧好き、インテリア好きなど多くの方に観ていただきたい展覧会です。
ヴィルヘルム・ハマスホイ『背を向けた若い女性のいる室内』1903-04年 ラナス美術館蔵
展覧会の中心となるヴィルヘルム・ハマスホイ(1864~1916年)のこと、恥ずかしながら私はかなり最近知りました。ポスト印象派やキュビズムなど新たな表現が次々に生まれた1900年前後に活動し、そういったトレンドからは離れた独特の作風で知られる作家――。
静謐さをたたえた人物画、背を向けた人物が佇む様子、無人の室内や街などを、ごく少ない色数で描く彼の特徴的な作品が約40点、出品されています。
ハマスホイの絵は緊張感があるように見えて、平穏な時の流れをすくい取ったような穏やかさも併せ持っているように感じました。色数は少ないもののそのグラデーションは豊かで、さまざまな線が織り成す構図はとても緻密。扉を開け放った無人の室内を描いた絵に、ずっと見入ってしまうんです。
ちなみに作家の読み方のイントネーション、勝手に
マ
ハ スホイ
だと思っていましたが、会場内でのアナウンスや宮沢りえさんによる音声ガイドでは
ハ
マスホイ
となっていました。
ヴィルヘルム・ハマスホイ『室内――陽光習作、ストランゲーゼ30番地』1906年 デーヴィズ・コレクション蔵
ヴィルヘイム・ハマスホイ『聖ペテロ聖堂』1906年 デンマーク国立美術館蔵
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今回の展覧会は、ハマスホイ以外のデンマークの絵画も充実しています。ひとつの章が立てられているのが「スケーイン派」。デンマーク北端にある漁師町スケーイン(スケーエン)には、物質文明に汚されていない「プリミティブなデンマーク」に魅せられた芸術家によってコロニーが形成され、ここを拠点にしたりテーマに選んだ作家群をスケーイン派と呼ぶのだそうです。
オスカル・ビュルクの『スケーインの海に漕ぎ出すボート』に代表されるような、漁師たちを写実的にヒロイックに描いた作品があったり、素朴な暮らしぶりを伝える作品があったり。たとえばヴィゴ・ヨハンスンの『台所の片隅、花を生ける画家の妻』は、納屋のような素朴な台所が、真似をしたくなるように素敵に設えてあります。
ヴィゴ・ヨハンスンはほかにもいくつかの作品が出品されています。自宅で6人の子どもたちとともにクリスマスツリーの周りを囲む『きよしこの夜』や、子どもたちが写生に勤しむ『春の草花を描く子供たち』など、どれも一瞬の仕草を写真のように切り取った、幸せをたっぷり感じる絵です。
オスカル・ビュルク『スケーインの海に漕ぎ出すボート』1884年 スケーイン美術館蔵
ヴィゴ・ヨハンスン『台所の片隅、花を生ける画家の妻』1884年 スケーイン美術館蔵
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他国に比べて室内画が好まれ、たくさん制作されたというデンマーク。ハマスホイに通じる室内画も見どころいっぱいです。まず家具が素敵で、配置や飾り方はセンス良く、窓から差し込む光の描き方も美しくて……。
カール・ホルスーウ『読書する少女のいる室内』1903年 デンマーク国立美術館蔵
展覧会の世界観をすくい取り、追体験できるようなグッズも楽しいです。チョコレートをデニッシュビスケットで挟み、それをさらにチョコレートでコーティングしたという「デンマークチョコレート」や、デンマークを代表する陶磁器ブランド「ケーラー」のマグカップや花瓶も販売されています。
東京展の後は、山口に巡回予定です(4月7日~6月7日、山口県立美術館にて)。
「デンマークチョコレートケーキ」2個入り¥715、4個入り¥1,100
期間:1月21日(火)~3月26日(木)
会場:東京都美術館(東京・上野)
開)9時30分~17時30分(金曜、2月19日、3月18日は20時まで開館) ※入館は閉館の30分前まで
休)月、2月25日(ただし2月24日、3月23日は開館)
料金:一般¥1,600
問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://artexhibition.jp/denmark2020
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