ハマスホイの室内画で、北欧のインテリアの静謐に浸る。

PARIS DECO

デンマーク生まれの画家Vilhelm Hammershoi(ヴィルヘルム・ハマスホイ/1864〜1916年)の作品を集めた展覧会が、ジャックマール・アンドレ美術館で始まった。パリでは20年ぶりの開催だそうだ。2020年1月から東京都美術館でも彼の作品を見ることができるけれど、パリでひと足お先に“20世紀のフェルメール”と呼ばれる画家の世界に浸ってみよう。

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社交的ではなく無口な彼。52歳で亡くなるまで、モデルに描いたのは母、姉、弟、親友というようにごく限られたサークルの中で仕事をしていた。今回展示されているのは、彼の描くミステリアスでポエティックな世界にフォーカスした約40点。その中の数点は、駐デンマーク大使だったアメリカ人のJohn L. Loeb Jr. Danish Art Collectionから。滅多に海外に出ることがない作品が、今回初めてフランスで展示されることになったのだ。

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『女性が花を生ける室内』(1900年)。Ambassador John L. Loeb Danish Art Collection©TX0006154704, registerd March 22, 2005

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『女性が立つ室内』Ambassador John L. Loeb Danish Art Collection©TX0006154704, registerd March 22, 2005

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『ストランドガード30番地、室内』(1899年)。Ambassador John L. Loeb Danish Art Collection©TX0006154704, registerd March 22, 2005

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会場は8つのテーマに分かれている。2つめのテーマ「初期のインテリア、パーソナルな特徴」の後、順を追って風景画とヌードの部屋を見るのもいいけれど、コースを外れて、7つめの「日常のシルエット、奇妙な雰囲気」、そして最後の「空(くう)と光のポエジー」へと進むのもひとつの鑑賞法だろう。というのもこの3テーマで展示されている作品はほとんどが室内画なので、ハマスホイ作品の魅力をたっぷりと堪能できるから。なお展示には、彼の友人の画家の作品も一部含まれている。

この3つのテーマでは、部屋に入るたびに展示作品が放つ静けさ、その強さと美しさに圧倒される。主に白、黒、グレー、ブルーといった色調で、モデルは背中向き。室内にはわずかな家具があるだけで……。窓から斜めに差し込む柔らかな北の光が、白い壁に影を作る。作品によっては、モノクロ写真を見ているような錯覚に陥るものも。

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『花瓶のある室内、ブレッドガード25番地』1910〜1911年。©Vilhelm Hammershoi/Matilda Thulin/ Malmö Art Museum

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『居間に差す日の光 III』1903年。Stockholm, National museum, Suède.photo Erik Cornelius/ Nationalmuseum

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『ストランドガード30番地、室内』1904年。Paris , musée d’Orsay, donation de Philippe Mayer, 2000 photo©RMN-Grand Palais(musée d’Orsay )/ Adrien Didierjean

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『ウインザー・チェアのある室内』1913年。Ambassador John L. Loeb Danish Art Collection©TX0006154704, registerd March 22, 2005

北欧のインテリア好きには、たまらない3室だ。この後、テーマ3「風景、夢と現実の狭間で」、テーマ4「都会の景色、中断された時間」へと進もう。景色にしても建物にしてもディテールが消え、雑音ひとつ聞こえないようなどこか非現実な世界である。そして、テーマ5「ヌードへの新たな視線」へと。展示作品数はわずかだが、骨格に着目して描かれた女性たちは彫刻のようで、光の美しさについては言わずもがな。大規模な展覧会ではないけれど、大きな満足感とともに会場を後にできる。

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『ギフォード・ストリート(ロンドン)のユダヤ人学校』1912〜1913年。©Stiftung Schelswig-Holsteinische Landesmussen Schloss Gottorf

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1912年頃のヴィルヘルム・ハマスホイ。妻と暮らしていたコペンハーゲンのアパルトマンの居間にて。作品で見ることができる室内は彼の自宅で、彼に多大なるインスピレーションを与えた場所だ。現実にはもう少し家具が配置されていたが、作品ではあえて物を排除している。映画『リリーのすべて』では、ハマスホイの室内画を監督がインテリアの参考にしたそうだ。© The Royal Danish Library

「Hammerschoi, Le maître de la peinture danoise」展
会期:開催中〜2019年7月22日
会場:Musée Jacquemart André
158, bld Haussmann
75008 Paris
開)10:00〜18:00(月 〜20:30)
無休
料金:14.50ユーロ
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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