大村真理子の今週のPARIS
パリから南仏に行くのにお世話になる列車はTGV。パリから北、東の外国に行くときは、10区にある北駅でタリスに乗る。さて、その北駅で9月にちょっとしたパフォーマンスが催された。タリスが結ぶフランス、ドイツ、オランダ、ベルギーの4国から各1名ずつグラフィティ・ライターを招き、北駅にとまるタリスの車両に、さあ自由に描いて!というもの。

ポップなグラフィティをアシスタント2名と共に仕上げたのは、パリを代表するJonone156。
ここのところパリはグラフィティづいている。夏前、ルイ・ヴィトンのシャンゼリゼ大通り店の最上階にあるギャラリー”エスパス・ルイ・ヴィトン”でも、グラフィティを取り上げていた。また、カルティエ財団では11月29日まで、「ストリートに生まれて グラフィティ」展が開催中である。
12月13日から、パリーアムステルダム間がそれまでより53分、パリーケルン間が46分短縮されて、それぞれタリス利用の所要時間が約3時間15分となるのだ。9月13日からチケットの予約開始が始まり、そのアナウンスとして開催されたイヴェントだった。”3時間15分あったら、あなたは何をしますか?”というわけで、作風の異なる4名のグラフィティ・ライターを駅で競演させたのだ。列車の車体が彼らにとって最高の表現の場であることは、いうまでもないだろう。

ケルンのSeakone。本人の雰囲気、絵柄、色使いのすべてに統一感を感じさせる。使用スプレーは他の3名のとは異なっていた。
場所は北駅の15番プラットフォームにて。午前10時に4名いっせいにグラフィティをスタート。13時15分終了タイムまでの3時間15分を、特設デジタル時計がカウントダウンしてゆく。2号車はアムステルダムのZedzが担当。ソフトな色合いの角を黒いフレームで囲みグラフィックに描いてみせた。その隣りの3号車では、ブリュッセルから来たSozyoneがタリスの車体の赤い色を上方に生かしつつ、ダイナミックな曲線が印象的なグラフィティを。

(左)アムステルダムからのZedz。本人も作品も穏やかな印象だ。(右)グラフィティ終了後、タリス代表者が車体にサイン!
次は食堂車で、そこに不思議な生き物らしき赤い謎の物体をマンガチックに描いたのはケルンのSeakone。5号車はJonone156に任された。彼はアメリカ国籍であるが、パリをベースにしていて、カルティエ財団の展覧会でも展示されているアーチストの一人だ。
新しいタリスでは列車内にはコンピュータのワイヤレス接続サービスが導入される。パリからアムステルダムあるいはケルンに着くまでの3時間15分。インターネットもいいけれど、その時間内で個性を発揮し、1つの作品を生み出した彼らに習って、旅の途中、何か生産的なことをしてみるのも悪くないかなあ、と思ってしまう。

(左)北駅。地上階がタリス用で、ユーロスターの発着駅は上のフロアー。(右)これがタリスの通常の車体。
いずれにしても、この時間短縮はうれしい限りだ。パリからの日帰りの旅も、これで簡単にできそう。ちなみにブリュッセルからケルンは1時間47分なので、周遊の旅もいいだろう。春になったら出かけてみようか。ところで、このグラフィティをほどこされた4車両は、その後、どうなったのだろうか?

ベルギー代表Sozyone。4号とも車体の窓はビニールでカバーされて、作業は進められた。photos:MARIKO OMURA
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/travel/315.html