ブランド名品物語。file.09

メゾンの魅力を語るうえで欠かせないのが、
その象徴ともいえるアイコンたち。
第9回はハリー・ウィンストンから、
ブランドのオリジンを受け継ぐ
「リリークラスター」のお話。

メゾンが誇るオリジンを、
モダンに解釈。

1940年代初頭からハリー・ウィンストンを代表するデザインとして知られるクラスターを基に、満開のユリの花の形状にインスパイアされたのがリリークラスター・コレクション。自然と調和した優雅な曲線は、息をのむほどに美しい。

「リリークラスター」ミニ・ペンダント(PT×ダイヤモンド)¥594,000、リング(PT×ダイヤモンド)¥1,089,000/ともにハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)

ユリの花をヒントに、
ダイヤモンドの美しさを
完璧に際立たせる。

耳元に可憐に咲く一輪のユリの花。生き生きとした躍動感と立体感、そして“キング・オブ・ダイヤモンド”が厳選する最高品質の宝石の確かな存在感は、「ダイヤモンドが持っている自然な輝きこそが、ジュエリーのデザインを決定づける」というハリー・ウィンストンの信念の表れ。

「リリークラスター」ミニ・ワイヤーイヤリング(PT×ダイヤモンド)¥1,023,000/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)

場所も時代も超える、
エターナルな輝き。

ユリのモチーフが連なったブレスレットの姿は、まるでブーケのよう。繊細なラウンド・ダイヤモンドと凛とした美しさを持つプラチナの台座の組み合わせは肌なじみもよく、カジュアルフォーマル問わず、あらゆるシチュエーションにマッチ。時代を超越したスタイルを表現している。

「リリークラスター」ブレスレット(PT×ダイヤモンド)¥2,783,000/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)
  • 「リリークラスター」ミニ・ペンダント左:(YG×ダイヤモンド)¥517,000、右:(PT×ダイヤモンド)¥594,000

  • 「リリークラスター」リング(PT×ダイヤモンド)¥1,089,000

  • 「リリークラスター」ミニ・ワイヤーイヤリング(YG×ダイヤモンド)¥913,000

  • 「リリークラスター」ブレスレット(YG×ダイヤモンド)¥2,552,000

その生涯のすべてを懸けて、
ダイヤモンドと向き合った人物。

世界最高峰の宝石を多数所有していたこともあり、セキュリティ上、生前には顔写真を一切公開しなかったハリー・ウィンストン。
ホープ・ダイヤモンドは、マリー・アントワネットが所有していたことでも有名。現在はスミソニアン博物館のハリー・ウィンストン・ギャラリーに永久展示されている。
収益金を寄付する慈善活動として各地で開かれた展示会『コート・オブ・ジュエルズ(宝石の宮廷)』の一幕。

「キング・オブ・ダイヤモンド」との異名を持つハリー・ウィンストン。その生涯で彼は、さまざまな伝説の宝石を追い求め、その魅力を世界中の人々に伝えることに心血を注いだ。「幼い頃から私は宝石に魅了されてきました。私は宝石の知識を身につけて生まれてきたに違いありません」と自身でも語っているハリーは、1896年にニューヨークで宝石商の息子として生まれる。幼い頃から、美しい宝石に囲まれて育った彼が12歳の時、質屋で目を奪われ、25セントで手に入れた石が、実は価値の高いエメラルドであり、後日、800ドルで売れたという逸話も。15歳で父親の宝石店で働き始めたハリーは、1920年にNYでプレミア・ダイヤモンド社を立ち上げる。そんな彼がいち早く着目したのがエステート・ジュエリーと呼ばれる未来に受け継ぐ価値のあるヴィンテージの宝飾品だった。その類いまれなる鋭い審美眼を武器に貴重なジュエリーを次々と手に入れた彼は、時代の寵児となる。そして、オークションで入手した時代遅れのデザインのジュエリーから宝石自体を取り外し、輝きや美しさが増すように新たにカットをし直して、よりモダンなものに生まれ変わらせたのだ。ハイジュエリー業界のリーダーへと駆け上がったハリーは32年、自らの名を冠したブランドを新たに立ち上げた。その煌めく宝石たちに彩られたブランドの物語は現在進行形だ。ヨンカーやホープ・ダイヤモンドなど、最高峰の宝石の買収にも成功し、そのキャリアにおいて世界的に有名で貴重なダイヤモンドの3分の1以上を所有していたといわれている。そんな彼は、展示会でそれらのジュエリーを披露し、収益金を寄付するなどの慈善事業にも積極的に取り組んだ。さらには58年、あの有名なホープ・ダイヤモンドを「世界への贈り物」としてワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館に寄贈したというから驚く。

自邸のドアに飾られたヒイラギのリースがヒントとなった「クラスター・コレクション」。1940年代に描かれたデザイン画には、「セッティングではなく、宝石そのものでジュエリーのデザインは決まる」という哲学が強く反映されている。
「リリークラスター・コレクション」から新色のローズゴールドが登場。リング(ダイヤモンド×RG)¥968,000/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)

自然の輝きがデザインを決める。

革新的なビジネスを展開し、スター御用達のジュエラーとしても名を馳せたハリー・ウィンストンは、またデザインの領域でも業界を牽引するトップランナーだった。「個々のダイヤモンドが持っている自然な輝きこそが、ジュエリーのデザインを決定づける」という信念のもと、「クラスター」と呼ばれるハリー・ウィンストンを代表するセッティング技法を考案。さまざまなカットを施したダイヤモンドを立体的に組み合わせ、繊細なプラチナのワイヤーでセットすることで、生き生きとした動きを演出し、個々のダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すことに成功した。優美なユリの花をイメージした「リリークラスター」にも、その哲学は息づく。プラチナ、イエローゴールドの2色に加え、新色のローズゴールドも仲間入り。アーカイブに眠っていた40年代のデザインがいまのムードを纏い、モダンに蘇る。