日常の素敵な器に出会う旅、島根「objects」
こんにちは、都田です!毎日の食事で食材と同様に作り手の顔が見えてくるような器。最近はそんな器に出会うことが増えてきたように思います。先日、実家に帰省していた際に母と訪れた島根県の松江市。素敵な器が手に入ると評判の「objects」。ここでも出会いがありました。
大正時代の民藝運動とつながりが深い窯元をはじめ、現代作家の硝子までなんとも言えない素朴な美しさのある品揃えがものすごく評判なのだそうです。ガイドブックでこのお店をみつけたという方も多いはず。
水郷の里ともいわれる松江市の中心部に近い大橋川沿いにあって人通りが少なく、川の向こう岸のレトロな眺めが最高!宍道湖のしじみ汁や松江の郷土料理も味わえる小料理屋も多い場所で吉田類さんの酒場放浪記で登場したお店も確かこのあたり。
店内は、島根や鳥取などの新しい作品を中心に、かつて実家で使っていたような漆器や全国からも充実したラインアップを常設中。展示品は訪れる時期やイベントによって変わります。
タイの天然繊維でできたストールや袋物、陶器作家の石飛勲さん、石飛勝久さんの作品、窯元の出西窯、森山窯、湯町窯などで作られた「民藝」といわれる陶磁器や工芸品がずらり!
こちらは「牛ノ戸焼」。鳥取県の8つある窯元のうちのひとつ。インパクトのある大胆な配色が特徴で江戸末期から続き、一度衰退したのですが民藝運動とともに復活したそうです。全国的に名が知られている「中井窯」は、牛ノ戸焼の窯元から教えを受け、窯を開いたといわれています。ちなみに中井窯は柳宗理とのコラボレーションや自然素材を使って手作りすることでも人気が高いです。
小さく砕かれた破片は18世紀のイギリスの「スリップウエア」。スリップウエアは、民藝運動の陶芸家バーナード・リーチにも愛されるヨーロッパのやむちんとも称される日常に使える器。粘土を水で溶いたものでやわらかな曲線を描き、起源は古代メソポタミア文明まで遡るんですって。注目したのはこの小さな塊たちと出会うまでのストーリー。18世紀当時、世界中の船が入港するイギリスのテムズ川底に沈み、時を経て発見されたものなんだそうです。箸置きのほか、ちょっとしたものをのせたいなと思いました。
objectsで購入した器たち。右手前の小皿は湯町窯(島根)、左手奥のカップは石飛勲さん(島根)。
ティータイムに作った松江の老舗中村茶舗のお抹茶「中之白」と豆乳の抹茶ラテ。
残り物で作ったある日のランチ。牛ノ戸焼(鳥取)の中皿にタイのガッパオとサラダを盛り付けて。
今では様々な作家に支えられ美術品として成長した民藝。そもそも窯元は不便な山間部に多く、私の想像ですが本来はその土地の風土や食文化とも結びつき日用品として生活のために自分の手によって工夫を重ね作り出してきたものであるはず。食材を盛り付けてこそ生きる器は、おおらかな見た目の魅力とより本質的な実用品としてみなさんにもぜひ親しんでほしいと思います。
・objects
島根県松江市東本町2-8
TEL 0852-67-2547
営業時間 11:00~19:00
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