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Interview

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INTERVIEW 01

Owner Chef of “BURROW”

Ayako Kurokawa

何者かになりたくて海を渡り、
ニューヨークで
見つけた天職。
独自の世界観でファンを獲得する
パティシエの時間の使い方って?

時間との闘いを原動力に
甘美なアートを生み出す
日本人パティシエ。

   そこは、ブルックリンにある商業ビルのロビー。バターの香りに誘われ、たどり着いたのが人目から隠れるように佇むお菓子屋「バロー」。彫刻風のクッキーに、顔のシワまで描いた似顔絵ケーキ……そんな自由な発想でお菓子を作っているのが、黒川綾子さん。楚々とした風貌の彼女だが、未経験で始めた駆け出しの時は帰宅が翌朝4時ということも多く、想像を絶する厳しさだったとか。「MoMA美術館内の『ザ・モダン』の厨房は怒号が飛び交う戦場でした。でも、ある時マジパンでスタッフの顔を作ったら、大受けして」。細部まで徹底した“不気味さ”が持ち味の黒川さんの創作は、強面シェフをも懐柔した。そんな非凡さを発揮する彼女のお菓子が噂を呼び、この店は“hidden gem(隠れた宝石)”と呼ばれている。「自分の店がいつの間にかひとり歩きして、お客さんの間で噂される存在になって。ニューヨークにつながりを持てているって実感があります」

そんな黒川さんの毎日は、朝8時に朝食用ペストリーの準備をすることからスタートする。その後、店頭用のお菓子に、個人オーダーのケーキ、イベント用メニューの考案と、息つく暇もない。夜7時まで、厨房からは常にカタカタと作業する音が続く。しかも、休みは日曜日だけ。「追われる忙しさがあって、お客様のニーズに応えることが励みですから」と黒川さんは微笑む。

いまも昔も変わらず
背中を押してくれる
ニューヨークという街。

   パートナーの夫と愛犬トラとブルックリンのダンボに暮らす黒川さん。心惹かれるニューヨークのイメージを問うと、マンハッタンの意外な場所を挙げてくれた。「密集したビルの谷間に問屋街が好きですね。静謐とは無縁のごちゃごちゃとして猥雑なところに、ニューヨークらしさを感じるんですよね」。細部に迫るお菓子作りを得意とするだけに、連続して並ぶ窓や古いビルの外観装飾など、意外なところに美を見いだす目はさすが。

とにかくニューヨークへ、誰も知らない街へ行きたいという憧れが“爆発”して北海道からこの地に移り住んだのが16年前。黒川さんが抱くこの街への愛は、いまも決して色あせていない。「ニューヨークってあくせくしているから、もう嫌だ!って痛感させられることの方が実は多いんです。でも、ここの空気を吸っているだけで、ただの田舎娘の私でも何者にもなることができる、という喜びを感じるんです」

「イースト ウエスト」をテーマにしたインスタ作品もチェック!

ティファニーの時計「イースト ウェスト」をテーマにした、黒川さんの作品をインスタグラムにアップ中。

#tiffanyfigaro_eastwest

「フィガロジャポン」インスタグラム www.instagram.com/madamefigarojapon

黒川綾子インスタグラム www.instagram.com/burr0w

Owner Chef of “BURROW”

Ayako Kurokawa

北海道出身。2000年にニューヨークに移住。「ザ・モダン」、「プラザ・ホテル」でパティシエの経験を積み、2013年に夫婦で「Burrow」をブルックリンにオープン。独自の世界観で人気を獲得している。 www.ayakokurokawa.com

Photos : SHINO YANAGAWA,

Réalisation : YUMI KOMATSU

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