海外でも評価された「空族」最新作『バンコクナイツ』。
Culture 2017.03.12
『バンコクナイツ』
バンコクの歓楽街タニアは居場所のない者たちの吹き溜まりだ。小金を持ったダメ人間を甘えさせるその胸元で「日本人でよかった」としばし安堵する日本人男子群像は、喜劇的なおかしみと同時に、痛烈な苦みを伴う。ここから身を引き剥がそうとあがく、カンボジアPKO崩れの元自衛隊員と売れっ子娼婦の逃避行が圧巻。タイ東北部からラオスの秘境へ。アジアの桃源郷を思わせる民話と音楽の世界、さらには植民地戦争に苦闘した現代史を遡る旅ともなる。ロカルノ国際映画祭で若手審査員・最優秀作品賞を受賞。
*「フィガロジャポン」2017年4月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO