立田敦子のカンヌ映画祭レポート2018 #04 是枝監督『万引き家族』に絶賛の声!
Culture 2018.05.15
2001年に『DISTANCE ディスタンス』がコンペティション部門に選出されてから、17年で7回カンヌに登場している“常連“である是枝裕和監督。ヨーロッパでも知名度があり、人気の高い日本人監督です。
前作『三度目の殺人』(17年)は、ヴェネチア国際映画祭に“浮気“しましたが、新作『万引き家族』ではカンヌに帰ってきました!
死んだ親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件にインスパイアされた是枝監督が、犯罪を犯しながらも寄り添って生きる“家族“を通して、本当の家族とはなにか、人と人との絆とは何か、という問いを投げかける問題作です。
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是枝監督の新作『万引き家族』より。東京の下町を舞台に、家族ぐるみで万引きをして生活費を稼ぐ一家の姿を通して、人と人との繋がりを描く。
父親役のリリー・フランキー、母役の安藤サクラ、祖母役の樹木希林、松岡茉優、3人の子どもを演じる城桧吏、佐々木みゆの “一家”が是枝監督とともにカンヌ入り、公式上映&記者会見に登場しました。
是枝監督とともにレッドカーペットに登場した、樹木希林、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ。
レッドカーカーペットでインタビューに答えた是枝監督は、「(カンヌは)何度来ても幸せな気分になれる」「社会と家族の接点を描こうと思う中で、社会性を強く打ち出したつもりです」とコメント。
7回目のカンヌとなる、是枝監督。
上映後は座席数2200というメイン会場、グランド・テアトル・リュミエールを埋め尽くした観客から、9分間に及ぶスタンディングオベーションがあり、感極まったリリー・フランキーが涙を拭う姿も。
是枝監督は「2時間、緊張感を失わない作品に作れたなと思っていたので、ちょっとホッとした部分と、夜中にもかかわらず、終わった後の拍手があんなに温かく、そして長くいただけたので本当によかったと思います」とコメント。
翌日の記者会見でリリー・フランキーは、「僕はあんまり感動しない人間なんだけど、これまでに人生で2度感動した瞬間がある。1回目は『そして、父になる』のカンヌでの上映の時。そして2度目が昨夜の上映。こんな経験をさせていただいて、是枝監督に感謝したい」とコメントしました。
是枝作品のレギュラー、リリー・フランキー。
今回が初カンヌとなる安藤サクラは、すでに現地の批評家たちからも演技が絶賛されています。「父と姉が映画監督ということもあり、自分の家族にとってカンヌは夢であり、映画人であれば誰でも憧れ、目指すところだと思う。私は是枝監督にふわっと連れてきていただいた感じですが、昨日の上映でやはりすごいところだと改めて感じた。またいつか来れたらいいなと思っている」とコメントしました。
演技が絶賛された、安藤サクラ。
第71回カンヌ国際映画祭の授賞式&閉会式は19日(日本時間20日)。結果も楽しみです。
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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