編集KIMのシネマに片想い

人魚が主人公の映画に恋して。

編集KIMのシネマに片想い

こんにちは、編集KIMです。2017年3月号(1/20発売)が映画特集です。今年もたくさんいい映画が観られますように、と心から願ってます!

 

今年最初の「シネマに片想い」、テーマは人魚ムービー。とても面白い作品が公開されたから、というのがテーマに選んだ理由のひとつ、です。

香港の大人気俳優・監督の周星馳(チャウ・シンチー)による『人魚姫』。破壊的なCGと、おとぼけぶっ飛びキャラの掛け合いで大爆笑し、アザができそうな体当たりアクションに目を見張る、ファンタジー・ラブコメディです。

ただし、泣けるっ! 「恋に落ちるってこういうことなのね」という気づきがある映画です。笑いのはざまに盛り込まれた「泣き」や「震える感情」が、“じわり”ではなく“ビリビリ”くるようなたぐいの作品です。主人公の成り上がり実業家リウは美しい女たちに囲まれ、金だけが目的の人生を歩んでいる。そこに、海と水と人魚族を守りたい“刺客”人魚シャンシャンが罠を仕掛ける……。でもリウはシャンシャンの純粋さと、意外に趣味が合うキャラにじんわりと惹かれていきます。シャンシャンも恋愛を知らないおぼこ娘だったのに、リウに心が動かされていきます。映画は急展開でも、恋の成り行きが無理なく観られるのがこの作品の不思議。人間と人魚の恋なんてありえないでしょ?って大前提がありながら、主人公ふたりの心が寄っていく様が、とても可愛らしくていとしい。一緒にB級フード食べたり、同じドラマが好きだったり。心って、ちっぽけなことに感応するものだ、ということが笑いを込めて描かれています。大袈裟なフリをした繊細な心の動き、を描いているように感じます。作品の根底には、環境問題を突きつけられた時の人間の善悪にも言及しています。大発展中の中国の動きを横目でチラリ、というところがいかにもチャウ・シンチーらしい。感情のジェットコースターに乗るように喜怒哀楽を味わわせてくれる、ハートフルコメディです。画面もスペクタクルなので、ぜひ劇場で堪能してください。

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『人魚姫』 ●製作・監督・脚本/チャウ・シンチー ●出演/ダン・チャオ 、リン・ユン、ショウ・ルオ、キティ・チャン ●2016年、中国映画 ●94分 ●シネマート新宿ほか全国にて順次公開中
©2016 The Star Overseas Limited

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『ふたりの人魚』。

同じ中華圏の作品でも、こちらは社会の変革をしっとりずっしり描いたマジメな映画です。人魚をモチーフに使っているだけでファンタジー映画ではありません。上海を流れる蘇州川の船の風景、そして青い色調でいつも曇り空の画面が、登場人物たちの閉塞感を表しているかのようです。ふたりの女と男、未熟な犯罪の匂い、など、若者のやりどころのない気分が淡々と流れていきます。

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なんともミステリアスで儚い中国人女優ジョウ・シュンが注目された作品で、わざとらしいブロンドのかつらをかぶり、人魚の扮装で水槽の中を泳ぐさまは、もの哀しかった。はしゃげばはしゃぐほど、逆に哀愁を画面に漂わせることができる女優。この作品は、各国の映画祭をにぎわせ、当時フィガロジャポンもロウ・イエ監督にインタビューしました。この作品以来、ほそぼそとした形でも必ずロウ・イエ監督作は日本で公開されていて、現在も『ブラインド・マッサージ』(フィガロジャポン2017年3月号1月20日発売映画特集内P78にて紹介)が公開されています。

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『ふたりの人魚』●監督・脚本/ロウ・イエ ●出演/ジョウ・シュン、ジア・ホンシュン ●2000年、中国・ドイツ・日本映画 ●83分 ●DVD ¥XXXX 発売・販売:アップリンク

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最後に『スプラッシュ』です!

この映画のことを思い出すと、チャウ・シンチーの『人魚姫』はそうとう『スプラッシュ』から着想を得ているなあ、と。人魚が大声をあげると、鏡やさまざまなモノが割れてしまうとか。ちなみに『スプラッシュ』は、『ブレードランナー』でレプリカントを演じたダリル・ハンナが、その直後にこの作品で大きく魅力を開花させました。人魚映画の共通事項として、人魚を演じると女優として羽ばたく、のかもしれません。チャウ・シンチーも『人魚姫』がデビューとなる無名の新人を起用しましたから。人魚が研究対象だったり、商売道具に使おうとする人たちと軋轢になる、というストーリーの運びも同じですね。そして人間の男性との「恋」。ここはアンデルセンの童話から続いてます。

『スプラッシュ』では、水を浴びると人魚の姿になり、乾いていれば人間の女性の姿でいられるのです。便利。だから、ダリル・ハンナ演じる人魚はマンハッタンを歩けるのです。そして、トム・ハンクス演じる男が彼女に人間の名前をつける。道の名前と同じ、「マディソン」と……。高校生だったKIMはマディソン・アヴェニューに憧れました、『スプラッシュ』で。そして夜眠る前にたくさん三つ編みをしてソバージュヘアにしました(笑)。トム・ハンクスのスーツを着たマディソンがニューヨークのデパート、ブルーミング・デールズを訪れ、「ねえ、お嬢さん、『アニー・ホール』の時代は終わったのよ!」と店員に言われます。いまではプライズ・ゲッターの映画監督ロン・ハワードの、ウディ・アレンに対するあてつけ?だったのでしょうか。マディソンが買った服は、ノーマカマリのようなニットドレスだったような記憶です、エメラルドグリーンの……。懐かしい80年代の気分が盛り込まれたキュートな映画、ぜひご覧ください。007の主題歌まで歌ったリタ・クーリッジによる「Love Came for Me」も最高です!

♪One fine day love came for me♪

 

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『スプラッシュ』 ●監督/ロン・ハワード ●出演/ダリル・ハンナ、トム・ハンクス、ユージン・レヴィ、ジョン・キャンディ ●1984年、アメリカ映画 ●109分 ●DVD『スプラッシュ 特別版』 \1,543 発売・販売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

 

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