ケンゾーも好調! H&Mのデザイナーコラボ企画に迫る。

Fashion 2016.11.25

毎年秋になると胸がざわつくのは、このせいだ。「H&Mのコラボコレクション発売日が迫っている!」から。企画スタートから13年目の2016年、H&Mがタッグを組んだのはケンゾー。 ウェブサイトやSNSのオフィシャルアカウントで発表済みの人気商品については、もちろん発売日(11月3日)にほぼ完売したとか。誰もが気に留めてしまうようなユニークなアイコン、カラフルでデザイン性の高いケンゾーのコレクションに寄り添った商品の数々は、どれもインパクトがある。今回から初めて導入された整理券システムにより、前乗りして寒さに凍えながら並ぶ恒例の徹夜組の姿はなくなったが、多くの“ファッション・アディクト”がH&Mに集結した。クリエイションに興味はあるが本ラインの服は高価でなかなか手が出しにくい人、デザイン性の高い服に挑戦してみたい人、これを機に人気ブランドのよさを知りたい人は、このようなスペシャルな機会にチャレンジするのがおすすめだ。

161125_KENZO_H&M_01.jpg

写真家ジャン=ポール・グードが手がけた、ケンゾー×H&Mのキャンペーンビジュアルより。キャンペーンのアンバサダーのひとりであるモデルのイマン。

そのH&Mのクリエイティブ・アドバイザーであるアン・ソフィー・ヨハンソンに、人気デザイナーとの取り組みについてインタビュー。KENZOクリエイティブ・ディレクター、キャロル・リムとウンベルト・レオンにも、今回のコラボレーションにかける思いを聞いた。

アン・ソフィー・ヨハンソン(H&Mクリエイティブ・アドバイザー)
「遊び心があって、フレッシュなコレクションを」

——このコラボレーションが決まった経緯は? なぜこのタイミングでケンゾーなのでしょうか?

アン・ソフィー・ヨハンソン(以下A):「この取り組みをスタートして13年目になるのですが、キャロルとウンベルトがデザイナーに就任したころからケンゾーは、コラボデザイナーのウィッシュリストに載っていました。ふたりがブランドにもたらしたエナジーはすごい。彼らが入ったことで、更に新しいエネルギーが加わったと思う。去年はバルマンで、グラマラスなコレクションだったので、今回は遊び心があって若々しくフレッシュなものにしました。私たちはカスタマーに驚きを与えることが大好きです。コム デ ギャルソン、ヴェルサーチなど、まったく違うタイプのブランドとコラボレーションすることで、毎回サプライズが起こるようにすることを心がけています」

161125_KENZO_H&M_02.jpg

アン・ソフィー・ヨハンソン

——今回のコレクションの課題は?

A:「コラボレーションのたびに常にチャレンジすることはあり、その内容は都度異なります。今回はプリントがメインのコレクションなので、同じプリントでも素材やカッティングなどによって違う見せ方をすることが難しかったです。リボンドレスは非常に手間がかかりました!」

——ケンゾーのデザイナーふたりと共通する点はどのようなところですか?

A:「私たちには多くの共通点があります。まず、バランスについて考えているということです。コラボコレクションでは、手の出しやすい価格帯の商品に加え少し高値のものも展開していますが、そこには相応の価値を付けています」

161125_KENZO_H&M_03.jpg

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーの女優・活動家であるロザリオ・ドーソン。

——高田賢三氏が設立した日本発のブランド。ケンゾーとのコラボレーションについてどのように思いますか?

A:「ケンゾーが70年代にパリで初めてお店を出したことや、あらゆる層に届きやすいファッションを発信していたことはとっても素晴らしい。それに、新しいデザイナーになってもその重要な部分が受け継がれていると思います」

——今回のコラボでH&Mが得られることは何だと思いますか?

A:「コラボレーションするブランド自体を構成していくと同時にカスタマーのためになるということ。12年前にカール・ラガーフェルドとのコラボを発表した時は一度きりだと思っていたのですが、みなさんに非常に気に入っていただけたので、これからもデザイナーのため、カスタマーのために続けていきたいです。それに、これは相乗効果のある素晴らしい関係だと思っています。より広い層に彼らのブランドのものを提供できるし、私たちH&Mにもインスピレーションを与えてもらっています」

161125_KENZO_H&M_04.jpg

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーのヒップホップ・アーティスト、チャンス・ザ・ラッパー。

——年々期待値が上がっていくコラボコレクションですが、それゆえに大変なことはありますか?

A:「12年の間にたくさんのコラボレーションをしてきたので、その経験を生かして一方では簡単になってきています。例えば、ブランドやデザイナーへアプローチすることとか。
しかし、一方では私たちの顧客にもある程度知られているようなブランドである必要もあるので、その点は考えることもありますね。でも、いまのところはウィッシュリストにたくさんのブランドやデザイナーの名前が上げられていますよ!」

アンバサダーたちのインタビュー動画も公開中。こちらは女優のクロエ・セヴィニー。

---page---

キャロル・リム&ウンベルト・レオン
(ケンゾー クリエイティブ・ディレクター)
「スペシャルなアイテムを、実際にストリートで着てほしい」

——今回のコラボレーションで伝えたいことは? また、高田賢三氏への想いとは?

ウンベルト・レオン(以下U):「このコラボレーションは高田賢三氏の功績や、50年間に及ぶブランドのストーリーというものを伝えることができる貴重な機会だと思いました。高田氏が好きなジャン=ポール・グードにキャンペーンやショーの演出を手掛けてもらったことについても、彼もとても喜んでくれています。これまでケンゾーのアーカイブをじっくりと掘り下げることはなかったのですが、ざまざまな発見がありました。単身パリへ渡り、素晴らしい結果を残した彼を心から尊敬しています。クリエイティブ・ディレクターに就任した時も、彼へ手紙を送ったんです。アジア系アメリカ人として、日本人である彼が残した功績は本当に素晴らしいものだと思っています」

ジャン=ポール・グードによる撮影風景とインタビューもチェック!

161125_KENZO_H&M_05.jpg

キャロル・リム(左)とウンベルト・レオン(右)

——「H&M」との取り組みについて聞かせて下さい。

U:「H&Mとのコラボレーションについては、とにかく新しくてユニーク、そしていままでにないものにしたかった。特に高田氏と僕らの三次元の会話になるようなものにしたいと思いました。ドレスのシルエットについては100%アーカイブを使っていて、そのなかに現在のケンゾープリントを融合させてまったく新しいものにしました。ほとんどが1970年代のアーカイブを現代風に再現したデザインになります。1972年に発表されたタイガーロゴを採用したり、アーカイブからメゾンの歴史的な背景を見せることができたと思っています。

僕らは新たなプラットフォームの開拓が好きです。ひとつひとつのスペシャルなアイテムをショーでもお見せすることができたので、次のステップとしてカスタマーのワードローブに加えて頂き、実際ストリートで着てもらいたい。そのスタイルがパーソナライズされることがとっても楽しいです」

キャロル・リム(以下C):「15年間ウンベルトと一緒に仕事をしているので、お互いのことはよく知っています。彼のビジョンもよく分かりますし。私たちはクリエイティブディレクターとして服のデザインもしますが、広告などマーケティングについて今回もふたりで話し合って進めました。また、LVMHグループとしてH&Mとの初の取り組みだったので、とてもエキサイティングだと感じました。

161125_KENZO_H&M_06.jpg

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーの活動家・アース・ガーディアンズのリーダーであるシューテズカトル・マルティネス。

——日本人のファッションについてどう思いますか? インスピレーションを受けているものはありますか?

U:「ファッションランキングは、ナンバーワンだと思いますよ(笑)!自己表現ができる素晴らしいスタイルを持っていると思います。高田氏の育った国ですし、もちろん日本のカルチャーはチェックしていますよ」

C:「日本人はクラフツマンシップや個性溢れるスタイルを持っているので、食事や映画など日本文化すべてからインスピレーションを受けています。とても細やかなところは、世界のどの国にも見られないと思います」

アンバサダーであるミュージシャン・作曲家の坂本龍一のインタビュー動画。

texte : YUKO AOKI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories