無類のシャツ好きな清水奈緒美さんの場合。
【SHIRTS】引き算と見せかけたレイヤードで、ロングドレスを日常着に。
スタイリストのスタイル塾
フィガロおなじみのスタイリストが、スタイリングの極意を教える人気連載「スタイリストのスタイル講座」。第3回はシャツ好きの清水奈緒美さんが、私物の愛用シャツを+1テクで最旬スタイルにアップデート。プレッピーに続き、次はレイヤードの最新コーディネートを提案。
シャルベのロングシャツ、シャーロット オリンピアのパンプス/ともにスタイリスト私物、レースのロングドレス¥532,440/ランバン(ランバン ジャパン) シャツの中に着たタートルネックニット¥38,880/ドゥロワー(ドゥロワー 青山店)
“非日常感を調節してくれる、誰もが持ってる2大定番アイテム。”
実は普段、あんまりレースは着ないんです。でもこのランバンのロング丈ドレスは、後ろから見た時のシルエットがあまりに美しくて溜め息もので......。でもこれをそのままドレッシーに着るには勇気が必要。そういうときは、ドラマティックさを引き算するために、あえてアイテムを足すことで解消できるんです。
合わせたのはシャルベのロング丈のシャツ。主張し過ぎないスタンドカラーがポイントです。そこへさらに、白のタートルネックのニットを投入。首元に色やアイテムを挟むと印象がガラリと変わるので、タートルネックのニット以外にはスカーフなどをよく使います。この誰もが持っているふたつの定番アイテムをレイヤードするだけで、非日常なドレスの雰囲気をかなり抑えることができます。
今季はランウェイでも色んな要素をひとつのコーディネートに取り入れたマキシマムなスタイルが多く見られましたが、こういうハイパーレイヤードスタイルもそのひとつだと思います。ひとつのアイテムをさらりと着る、というよりは、ふたつ以上のアイテムをレイヤードするなど、盛って着る方が今季っぽい気がします。
“その日その日の気分で、自由なスタイリングを楽しみたい。”
仕事でモデルに服を着せるときと、日々の自分の着こなしを考えるときの感覚の差はほとんど無いんです。ただ、仕事のときはファンタジーあふれるものや、デザインが凝っている服をたくさん扱うし、最終的には一枚の静止画に収まるので、どう着せるとその服が一番魅力的に見えるかを考えて着せ方を考えます。でも、普段の日常着は気に入ったものを洗って乾かして、何度も着ます。なので、その日の気分を大切にして、着方に変化をつけることがポイントだと思うんです。
今回はあえてスタンドカラーを選んで、白のタートルネックのニットをインしました。たとえば明日はシャツのボタンをもっと開けてもいいし、全て閉めてもいいかもしれない。そういう些細なことなのですが、それだけで服の表情や印象が変わります。気に入ったアイテムを長く着るためにも、その日の気分や感覚を大切にする。そうやって日々新しいスタイリングを発見していくことが、よりファッションを楽しくすると思います。
<<Recommended Items>>
“シャツとニットとレースの、秋色カラーレイヤード。”
今年の春夏シーズンから、Tシャツにキャミソールをレイヤードするスタイルは街角トレンドのひとつですが、そのレイヤードスタイルは秋冬も変わらず続きそうな予感。
着用したランバンのレースドレスはブラックでしたが、今季は美しい秋色に彩られたレースアイテムが豊作。ニナ リッチのボルドーのキャミソールや、ロシャスのパープルのロングドレスはパリブランドならではの繊細な美しさが魅力です。レイヤードするタートルニットは、ボルドーやパープルにマッチするグレーをセレクト。レイヤードする3つのアイテムのカラーバランスも楽しめます。
さまざまなスタイリングが楽しめる万能の1枚。ロングシャツ¥82,080/シャルベ(ドゥロワー 青山店)
定番だからこそ、長く愛せる上質な1枚を手に入れて。タートルネックニット¥38,880/ドゥロワー(ドゥロワー 青山店)
極細ストラップと繊細なレースが女らしさを演出。レースキャミソール¥104,760/ニナ リッチ(コロネット)
アシンメトリーなフリル使いに注目。ランジェリードレス¥264,600/ロシャス(オンワードグローバルファッション)
シルバーのハンドルがクールな印象。バッグ¥289,440/ペラン(ザ シークレットクローゼット)
艶やかなサテンに輝くリボンモチーフで足元を華やかに彩って。サンダル¥112,320/ロシャス(ユナイテッドアローズ 原宿本店 ウィメンズ館)
オンワードグローバルファッション Tel. 03-5778-2396
コロネット Tel. 03-5216-6517
ザ シークレットクローゼット Tel. 03-5414-2996
ドゥロワー 青山店 Tel. 03-5464-0226
ユナイテッドアローズ 原宿本店 ウィメンズ館 Tel. 03-3479-8176
【PROFILE】
清水奈緒美/NAOMI SHIMIZU
東京都出身。ファッション誌のエディターを経てスタイリストに。本誌「フィガロジャポン」などの雑誌を始め、広告やCM、アパレルブランドのキャンペーンなどのさまざまなスタイリングを手がける。品を感じさせるシックなコーディネートに、キラリと光るモードのさじ加減が絶妙。
photo:SEISHI SHIRAKAWA(MANNEQUIN), JOHN CHAN(OBJETS), sylisme:NAOMI SHIMIZU