わざわざ行く理由がある、東京シークレットストア4軒。 グリーンの概念を変える店、中目黒の「コンデュイット」。

Interiors 2016.12.21

日々の欲しいものや必要なものは、家にいながらインターネット経由で簡単に手に入る。だからこそ、モノとの出合い、ヒトとの出会いの価値を見直したい。都内に点在する厳選4軒の、わざわざ行きたくなる理由とは? 2軒めは、中目黒にあるグリーンの専門店「コンデュイット」。

古着屋さんに行くため目黒銀座商店街をぶらぶらと歩いているときに、ふと脇道に入ったところで発見したのがここ、グリーンの専門店「コンデュイット」だった。

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新しいグリーンの概念と、
その向こう側に見える暮らし。

中目黒の花屋「farver」のオーナー渡辺礼人さんが手がける2店舗めだった。1店舗めの「farver」は切り花がメイン。花を目当てに訪れる女性に連れ添って男性が入店することもあったが、男性が先に見つけて女性を連れていく店があってもいいのではないか、という考えがこの店を開くきっかけになり、2014年9月にオープンした。

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窓際で自然光をたっぷりと浴びるグリーン。それぞれシルエットが個性豊かで、ついお気に入りを探したくなる。

鉢植えの観葉植物は多肉やサボテンなど、豊富な種類が取り揃うが、どれも佇まいが端正だったり可愛らしさがあったり、個性の強いグリーンが多い。それでいて、それぞれが絶妙にマッチする鉢に収まっているので、ついついセットで手に入れたくなってしまう。

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無造作に吊るされたドライフラワーや流木も販売している。和箪笥の引き出しにちょこんと整列している小さな多肉植物にも注目を。

この店を見渡すと、グリーンの数に負けないくらい、グリーン周りの雑貨が多いことに気がつく。花器、流木、霧吹き、じょうろ、剪定鋏まで、オーナーの審美眼にかなったグリーンにまつわるこだわりの品々が並ぶ。

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大きなシェルフには、さまざまな形のガラスの花器が整然と並ぶ。「ラスフルリー」の花器¥3,348~

ベルギーの「ドマーニ」や「ヘンリーディーン」、パリの「ラスフルリー」や「ツェツェアソシエ」などのヨーロッパのものから、ガラスとメタルフレームで作られる水耕栽培用のガラス容器を提案する日本ブランドの「1012|TERRA」など、花器の買い付けは国内外問わず幅広い。

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立派なサボテンが収まる「1012|TERRA」のガラス容器の上には、オーナーが中目黒の「POETIC SCAPE」で購入したロシア人フォトグラファーの写真が飾られている。リアルなグリーンだけでなく、写真からもグリーンの気配を感じて。

“MADE IN JAPAN”を意識した、海外の人から見てもかっこいい店を作りたいという気持ちはオープン当初から今も変わっていない。切り花を扱う「farver」と、グリーンを扱う「CONDUIT」。2店舗経営になって以来、お互いの店が刺激し合って、それぞれに進化を遂げてきた。次に目指すのは、新たな拠点にしたいと考えている京都への出店だ。

訪れると必ず感じるものがある京都の街にも拠点を置き、オーナー自身もインプットができる店を持ちたいというのが目的だが、個人的な野望だけでなく、花やグリーンの生産者とも密にコミュニケーションをとり、需要と供給の橋渡しとなっているオーナーの植物業界全体を活性化したいという想いは強い。

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21本の試験管が繋がった「ツェツェアソシエ」の定番「四月の花器」¥27,000。カラフルでぽってりとしたガラスの風合いが魅力の花器も個性豊かに揃う。「ヘンリーディーン」の花器¥3,672~。什器である明治初期の和箪笥もかっこいい。全体にやすりをかけて、グリーンにマッチする風合いを出している。

そんなオーナーの想いが色濃く表現されたこのお店を訪れるたびに思い描くのは、グリーンとその周辺の雑貨だけでなく、その先にある暮らしの風景だ。最初は自分の住まいにフィットする鉢植えや花器を探すが、通っているうち、欲しい花器を置くことができる部屋を夢見るようになる。

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最近ブルックリンからポートランドへと拠点を移した「コリン・エイドリアン」の羽根のガラスプレート¥7,560~。壁に吊るされた巨大なヤシの葉も販売している。¥10,800~

言わば、“グリーンの向こう側”を見せてくれる「コンデュイット」。ライフスタイルブームやグリーンブームのほっこりとした流れに逆流する鮭のごとく、研ぎ澄まされた感覚でいままでの植物の概念を変える新しい提案をし続けてきた。ライフスタイルに寄り添うグリーンではなく、グリーンが作り出すライフスタイル。そんな新感覚を体感できるこの店で、日々の暮らしを彩るグリーンを探したい。

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CONDUIT/コンデュイット

東京都目黒区上目黒2-16-9 1F
tel. 03-5708-5811
営業時間:13時~20時(月~水、金) 13時~19時(土日)
定休日:木、そのほか不定休
www.conduit-nakameguro.jp

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photos: YUTO KUDO

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