新ショップ「call」について、
皆川 明さんインタビュー(前編)

デザイン・ジャーナル

ミナ ペルホネン(minä perhonen)による新しい店が、青山のSPIRAL(スパイラル)5階にオープンしました。

名前は「call(コール)」。「日本からも海外からも、新しいものも古いものも、手づくりのものも工業製品も、生活にあると心地よいと思うさまざまなものを呼び寄せて紹介したい」との考えが込められています。さらには「creation-all」(クリエイションのすべて)の意も。皆川 明さんが出会った多くのプロフェッショナルな仲間たちとものをつくり、紹介していく場です。

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スパイラル5階にオープンしたcall。ホテルのレセプションのようなレジを中央に、カフェ、ショップ、グローサリー。1階のスパイラルガーデンでは昨年のミナ ペルホネンの20周年を記念する「ミナカケル」展をはじめミナ ペルホネンの展覧会が何度か開催されています。ブランドにとって縁のある場所です。Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

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エントランスにはスウェーデン、ストックホルム在住の絵本作家、デザイナーのヘニング・トロールベックが描いた絵が。壁はミナ ペルホネンのスタンダード柄、tambourineのタイル。カーペットはsoda water。空間で用いられているテキスタイルもすべてミナ ペルホネンのオリジナル。Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

フロアは大きく3つの構成になっています。古今東西のものを扱うショップ、カフェ「家と庭」、野菜や食材のセレクトショップとなるグローサリー。オープン前に、皆川さん自ら案内くださりながらの説明をうかがい、callに込められた想いにすっかり感動してしまっていた私です。

そしてオープン後、「デザイン・ジャーナル」読者のためにと、改めて考えを聞かせていただく時間をつくってくださいました。まずは「call」の経緯から。皆川さんやミナ ペルホネンにとっては初めてとなる、カフェの誕生について語ってくれました。

「スパイラルから話をうかがい、5階を見せていただくと、厨房があり、自分たちが将来に関わるであろう『食』をここで考えるべきではないかと感じました。将来の予想図はあったものの具体的な計画があったわけではないのですが、カフェという場が急に身近になったんです。ファッションからインテリアまでこれまで僕たちが広げてきたこと、生活全般を自分たちの活動のなかでしつらえてきた状況に、自ずと食の世界がつながる景色を思い描きました」

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カフェ「家と庭」。Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

ミナ ペルホネンのテキスタイルでつくられたカフェ天井のドームをはじめ、イルマリ・タピオヴァーラがデザインしたアルテックのドムス チェア、ミナ ペルホネンのうつわやカップ、イタリアの巨匠ジオ・ポンティのデザインによるカトラリーなど、時間をかけて準備された様子が伝わってきます。それに小さな定食屋やカフェテリアのような雰囲気(マリメッコ本社のカフェを訪れたときの心地良さを思いだしました!)。『家と庭』という名もすてきです。

「『と』をとると『家庭』になります。家庭で食べる料理のように、栄養があって安心できる食材での料理を皆さんに楽しんでいただくというコンセプトで、ランチタイムには各地から届く野菜で毎日スープをつくっています。赤いスープ、茶のスープ、白いスープというように3種類のスープを用意しています。自由にとっていただけるオマケのお惣菜もあります」

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ランチメニューの3種のスープ。時おり、おにぎりの日も登場するそうです。Photo: Noriko Kawakami

 

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5階にはスパイラルビルの設計を手がけた建築家の槇文彦さんによる開放的な庭も。夕刻、カフェの飲み物をいただくことができます。Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

カフェと同様、ショップもわくわくさせられるものばかり。ミナ ペルホネンの定番ファブリックの計り売りという嬉しい一角のほか、ミナ ペルホネンの服だけでなく世界各地から集められてきたものに出会うことができます。ル・コルビュジエの建築にも用いられた1880年代後半のガラスブリック、さまざまな国の文房具、大きなものではなんとカヌーまで! 陶作家の安藤雅信さん、ガラス作家の辻 和美さん、木工作家の三谷龍二さんはじめ工芸作家の作品でも、他ではなかなか見つからない貴重なものが。生活とアートの関係の楽しさがフロア全体に満ちています。

「クラフト、道具をつくる方々に、いつもつくられているものの他に、日常的に使えるアートピースをお願いしました。僕自身、時おり訪ねるギャラリーなどで使いやすい作品を購入していますが、期間限定の個展のような場では一般的に、材料に限りがある作品や大きなサイズの作品などが発表される機会は実は限られてしまっているのではとも感じていました。作家の世界の極みともいえる作品を、ゆっくり、出会いを待つように、紹介したいと思ったのです」

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定番ファブリックの計り売りも。ショップに立っているのは皆川さんの希望で80代の方まで幅広い年齢のかたがた。これもすてきです。Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

沖縄の大嶺實清さんのうつわをはじめ、「callで出会えて本当に嬉しい!」と私自身感じたものばかり……。

「callに関わるスタッフの皆が共感でき、敬意をもつことのできるすばらしいと思うものを扱っていきたいと思うのですが、はじまりとしては、僕自身が責任をもってなぜよいのかを説明できるものから紹介したいと思いました。ファンのひとりとして使って実感があるもの、肌で感じているものです」

「たとえば林 拓児さんのうつわは、その貫入にひかれます。大嶺さんは、作品の背景を皆さんにお伝えしたい作家です。刷毛でなく束ねた藁で絵を描かれていて、毎朝3時から200枚は描いているそうです。誰でも描けそうと思われるかもしれない大らかな絵付けは、83歳になってなお、そうした毎日を送る腕から生まれている。また、彼だけの土をもっていて、「この土で僕はあと50年は制作できるんだ、わははっ(笑)」と……! ここではこうした背景を、きちんと語っていきたいと思いました」

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Photo: Masahiro Sanbe, Courtesy of minä perhonen

 

「今後は扱う品々を広げていきたいですし、工業製品もクラフトと同じ目線で紹介していきたい。機械を用いたから人が存在しないというのではなく、工業製品もまた人の思考がしっかり入ったうえで機械による制作がされているわけですから、インダストリアルとハンドクラフトを同一線上に見ていいはずだと思っています」

丁寧に語ってくださる皆川さんの話をうかがいながら、これまで以上にわくわくしてしまった私です。
callについて、引き続き、次回もご紹介しましょう。   

<次回に続く>

 

call
東京都港区南青山 5-6-23、SPIRAL5階
TEL 03-6825-3733
11:00-20:00(カフェのラストオーダーは19:30)
無休
http://www.mp-call.jp
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