過去最高気温を更新している日本列島。地球の反対側で大活躍しているオリンピック選手たちが、日本の夏をさらに熱くしていますね! 花業界のもっぱらの話題は、リオオリンピックではなんと表彰台でメダルと共に選手を称えるヴィクトリーブーケがない......という衝撃。4年後の東京オリンピックでは、日本が世界に誇る美しい花々で勝利を掴んだ選手たちを祝福できたらと思います。
遠くから聞こえてくるヒグラシの鳴き声に鈴虫の澄んだ音色が重なる頃、花屋さんには真夏を謳歌するヒマワリや南国の花々に混ざって、リンドウやケイトウなど秋の気配が漂う花たちが並びはじめます。
とはいえまだまだ暑い只中、少ない花材でもお部屋に映える夏ならではのインテリアフラワーはいかがでしょうか。チョイスした花材は夏らしい南国の葉物「フィロデンドロン」と「アンスリウム」。植物の形そのものがグラフィカルで印象的ですので、その個性を生かしたあしらい+葉物使いの超簡単テクニックをご紹介しましょう。
まずは、葉そのものの形状や色艶を活かしたアレンジから。
フィロデンドロンと一言でいっても「セローム」はじめたくさんの種類がありますが、昨今おしゃれなインテリアグリーンとして人気の高いサトイモ科の植物です。艶めく緑色が波打つ様が雄々しい葉物ですが、ひんやり氷のような質感の白いガラスの器にさらりとあしらい、純白のアンスリウムと黄緑色のデンファレをあわせれば、何ともエレガントに。たった4本の花と葉で優雅でリッチな海辺のリゾートホテル気分が味わえます(笑)。
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個性的な葉物とアンスリウムの投げ入れアレンジ
【材料】
- フィロデンドロン「フーチャン」 1枚
- アンスリウム・白 2本
- デンファレ・黄緑 1本
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花器 1点(画像は直径20㎝、高さ12cmのボウル状のガラス花器)
※ いつも使用する切花栄養材はアンスリウムには不向きなので今回はナシ
【作り方】
- ボウル状の花器の7分目ほどまで水(水道水)を入れます。
- フィロデンドロンの茎を器の高さと同じくらいにカットします。葉の「面」が正面からも見える角度になるように、花器のフチに葉を沿わせ、また器の口元を隠すようにあしらいます。(これだけでも絵になります!)
- 葉の流れと反対のサイドの口元にアンスリウムを2本活けます。この際に、2輪が横並びにならないよう前後に立体的になるように活けましょう。
- 最後に、フィロデンドロンの葉のラインに沿わせるように、デンファレをあしらえば出来上がり!!
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アンスリウムは、フィロデンドロンと同じサトイモ科の植物ですので相性抜群。同じくサトイモ科の葉「モンステラ」や「シンゴニウム」などでも良く合います。葉も大きな"面"であり、アンスリウムの花も"面"であることから、バランス良く活けるのはちょっと難しいかもしれませんが、南国らしくおおらかな気持ちで植物の魅力と向き合ってみてください♪
さてそのアンスリウムについて少し。熱帯植物ならではの鮮やかな色とエナメルのような質感、個性的な花形が特徴ですが、花に見える美しい色の部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞で、中心に突起した棒状の部分に咲く極小の花々を守っている"ハート"。そんな花姿からかアンスリウムの花言葉は「情熱」、ハワイではバレンタインデーに贈る花として人気があります。代表的な赤色だけでなく、グリーン、白、ピンクなどのカラーバリエの他、オバケアンスのような大輪系など約600種ほどの品種があるとされ、光沢のある葉も美しいことから、鉢物としてだけでなく切花の葉物としても出回ります。
そして次なる葉物使いは、ガラスの器の中に入れてガラス越しに葉の美しさを楽しむアレンジ。
シックな赤茶色のアンスリウムにあわせて、赤銅色のニューサイランをチョイス。円柱のガラス花器にカットしたニューサイランを垂直にランダムに入れ縦縞模様を作り、その合間に花を挿していきます。大人トロピカルな落ち着いた雰囲気で、どんなインテリアにも馴染みそうですね。
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ニューサイランのストライプベースとアンスリウムのアレンジ
【材料】
- ニューサイラン・赤 3~4枚
- アンスリウム・赤茶 2本
- ラン「オンシジウム・ワイルドキャット」 1本
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ガラス花器 (画像は直径10㎝、高さ30㎝の円柱型)
※ 背景にある根付きのグリーンはラン「バンダ」、アレンジ手前の果物はミニスイカ
【作り方】
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ニューサイランを花器の内側の高さにカットし、垂直に並べ、花器の3分目ほどまで水(水道水)を入れます。
※ あまりたくさん水を入れるとニューサイランの葉が浮いてきてしまいます。葉を花器の中全部にぎっちり入れれば浮きませんが、そのためには葉が倍量必要です。 - 花器の片側に寄るように、高さを違えたアンスリウムを2本活けます。
- 反対側のサイドに、オンシジウム・ワイルドキャットを飛ばすように活ければ出来上がり!!
●ニューサイランのベースの作り方
ニューサイランは長さが1m以上ある葉で、緑色に斑が入っているものと、渋い銅のような赤色のものが出回ります。日持ちが良いことに加え、切ったり、割いたり、結んだり、編んだりと加工もしやすく、様々なデザインに活躍します。今回はシンプルに切った葉を花留めにする方法をご紹介、葉の繊維が固いので、良く切れるハサミでスパッとカットしましょう。グリーンのニューサイランはストライプ柄を活かし、赤のニューサイランは葉の表裏の色違いで縞模様を作ります。
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日本のフラワーデザインのトレンドはパリスタイルの影響が大きく、昨今は野に咲く花をそのまま束ねたようなナチュラルな「シャンペトル(田舎風)」が主流ですが、パリではアレンジメントの基本形のひとつとして、「コンポジション・グラフィック」「グラフィックブーケ」といわれるタニワタリやハランなどの葉物をたっぷりと大胆に使い、ループ状に巻いたり結んだりしながら葉の彫刻とも例えられる、造形的でインパクトのあるデザインになります。
今回ご紹介している花あしらいは、複雑なテクニックは必要ありませんが、「グラフィック・コンポジション」のエッセンスを取り入れたもの。美しくまとめるコツは、花材の種類と色をぐっと絞り、グラフィカルな葉物や花それぞれの個性を生かすことです。下の画像のように、形や模様がユニークなグリーンをガラス花器に沈めるだけでも、涼し気でモダンなオブジェになりますよ♪
日本にいながらにしてリゾート気分を最も手軽に楽しめるアイテムは「花」ですので(笑)、夏の間にぜひお試しくださいね♪
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。
《おまけ》
一昨年の秋に旅したタイ・バンコクのホテルロビーの装飾。水に沈めたアンスリウムの葉も美しいアレンジメント、素敵でした!
<INFORMATION>
花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!
家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。
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