ツェツェの名作「4月の花器」が生まれてから25年!
PARIS DECO
シゴレーヌ・プレボワとカトリーヌ・レヴィのふたりがツェツェ・アソシエを設立したのは、今から25年前。試験管21本を連ねた「4月の花器」は、彼女たちのデビュー作だ。フォルムが簡単に変えられ、一輪の花から自由に生けられる花器という提案はとても衝撃的だった。ちょうどその頃、パリで最も注目を浴びていたフラワー・アーティストのクリスチャン・トルチュがこの「4月の花器」を讃えたことも追い風となって、デビュー作ながら世界的に大ヒット。1997年には、ポンピドゥー・センターのパーマネント・コレクション入りを果たすことになる。
左: Vase Avril(4月の花器)のクラシックバージョン。
右:ツェツェ・アソシエによる25周年記念バージョンのMerciでの展示。
「4月の花器」の25周年を祝って、5月初旬にMerciでは彼女たちの約30名の仲間によるクリエーションが展示された。作家、デザイナー、イラストレーター、音楽家などさまざまな業界の人々が、この画期的な花器にオマージュを捧げるというもの。大人から子どもまでが楽しめる楽しいクリエーションの数々だった。
Merciでの展示は6日間だけと、ちょっと残念。マニッシュ・アローラ、セバスチャン・ゴダール、インディア・マーダヴィ、エリザベット・ガルースト、フィリップ・デクーフレなど30名近くの人々が、ツェツェ・アソシエによる花器の永遠の名作にオマージュを捧げた。
基本はそのまま鏡をプラスするだけでまったく別の作品に、あるいは試験管をたてがみにみなした一角獣、とアイデアさまざま。
アスティエ・ド・ヴィラット版の「4月の花器」の展示。
この機会に「4月の花器」の2つの限定バージョンをツェツェ・アソシエは発表し、現在 Merciで限定販売中である。25周年記念の花器は、試験管をつなぐメタルが玉虫色のタイプで、これはクラシックサイズ(252ユーロ)。そしてもうひとつはインテリア雑誌Marie Claire Maisonの創刊50周年記念のコラボレーション品で、試験管のガラスを赤褐色にうっすらと色付けした小タイプ(207ユーロ)。今年25歳を迎える誰かに、素敵な贈り物では!?
左:Edition tsécialeは25周年記念の限定品。
右:Petit Vase Rouxはマリー・クレール・メゾン誌創刊50周年記念のコラボレーション限定品。
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。