パリで一番素敵なアパルトマン!!
お邪魔します、ラデュレのサフィア宅。

PARIS DECO

Safia Thomass Bendali
サフィア・トマス・ベンダリ
Ladurée ブランド・ジェネラル・マネージャー

美味しく、そして美しい。ラデュレが提案する優美でロマンティックな世界には、誰もが憧れる。そのラデュレのブランド・ジェネラル・マネージャーを務めるサフィアの自宅も、ラデュレの世界と同じようにとてもハイセンス。お呼ばれしたくなる、そんな素敵なパリのアパルトマンを訪ねてみよう。向かいの美術館の庭を借景し、まるで郊外の一軒家に暮らしているように緑を愛でられる幸運な場所にある。でも、ここを見つけるまではとても長い道のりだったという。引っ越し先探しを担当し、多くのアパルトマンを見に行ってはがっかりし、を繰り返していたご主人が、ある時、こう言ったそうだ。「今度の物件は、ぜったいにサフィアの気に入るはず」と。彼が“あ、ここだ!”と確信したのは18世紀に建てられ、エントランスホールに楕円形のメダイヨンの装飾があるとてもエレガントな建築物で、確かにここにはサファイアも大満足。そうして、2年前に夫妻は愛する3匹の猫たちとここに引っ越してきたのだ。

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左:サフィア。首を撫でられご満悦のヴォーグと一緒に。右:ご主人様のお留守中、アパルトマンを占領する(護る?)ヴォーグとハーパーズ。もう一匹グラムールは、さて、どこに隠れたのやら……。

 

かつてのアパルトマンの内装は18世紀末のギュスタヴィアン調でどちらかというと白い世界だったが、ここでは色も多数使い、19世紀から30~40年代をミックスすることに決めた。パリのアパルトマンのほとんどには地下に物置があり、不要な家具などはそこにしまっておける。気軽にインテリアを変えるパリジェンヌに話を聞くと、物置を活用しているケースがほとんど。サフィアの場合もしかりである。さて、160平米のアパルトマン。まずは、その広々としたダイニング・ルームから紹介してもらおう。「ランプ2脚はマドレーヌ・カスタンのものだから20世紀だけど、この部屋のインテリアのエスプリはどちらかというと19世紀ね。ターコイズ・ブルーでまとめたの。その出発点となったのはソファ。この色の布で張り替えてもらったのだけど、もともと私はブルーのウエッジウッドのコレクションをしているので……。白いウエッジウッドのコレクションは田舎に置いてあって、ダイニングに並べて飾っているのはウエッジウッドの初期のもので、ブルーの色がとても深いタイプなの。少しずつ買い足していって、これだけの数になったのよ。これらは絶対に手放さないわ。食器棚の中はすでに満杯! でも、毎月何かしら陶器を買ってしまう……これって私には悪夢だわ。どこに収納するのかしら、って……」

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ブルーでまとめたダイニンングルーム。ソファの両サイドに配したマドレーヌ・カスタンの2脚のランプは、シェードを替えるつもりだ。Casa Lopezに特注したカーペットはモチーフがウエッジウッドのよう。リバーシブルで、ショッキングピンク側を愛用している。
photos:Mariko OMURA

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このダイニングルームと通りに面して横並びがリビングルームで、こちらも同じくらいの広さだろうか。ここは彼女によるとハリウッド・リージェンシー・スタイルだという。ハリウッドの黄金期に流行った折衷様式で、とてもグラマラス。ひまわりの装飾をみつけたことがきっかけとなった。「奥の壁に貼った風景を描いた壁紙は、オークションで入手した古いものよ。一続きで使うのだけど、我が家にはそれほど広い壁がないので二つに分けて貼ったの。これが好きなのは、モノクロームだから。こうした壁紙って普通はカラフルだから、これってとても珍しい。おそらく製造過程の途中の未完成品だったのじゃないかしらって……。壁紙にはさまれた暖炉の上に並べたのは、マリコルヌの白いコレクション。たくさん手放したけれど、まだまだ倉庫にたくさん持っているわ。部屋の隅のデスクはドルオーの競売で見つけたものだけど、これは仮に置いてるだけ。本当に気に入るのを1年くらい前から探してるのだけど……。理想は30~40年代ので、白くて小さなすごくフェミニンなデスクがいいと思うの。あるいは黒でもいいわね。ダイニングルームとの境においてある長椅子はインディア・マーダヴィのデザイン。中央に置いた大きなソファは昔のものをパンサー・プリントのシルクで貼り直したものよ。この部屋のインテリアをハリウッド・リージェンシー・スタイルにしたのは、私、40~50年代のハリウッド映画の世界が大好きだから。当時の映画のインテリアを集めた本も持っているくらい! 白い漆喰がたくさん使われていて、豪華そのもの。デコレーターでは、マドレーヌ・カスタンと同じくらい、このハリウッド・リージェンシー系のドロシー・ドラッパーも好きだわ」

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ブルーと白の風景の壁紙、パンサー模様、パイナップルのランプ……ハリウッド・リージェンシー・スタイルのリビングルーム。ハーパーズは写真好きらしく、ポーズも慣れたもの。

 

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左:白いマリコルヌのコレクションを並べた暖炉。右:オークションで入手したイタリア人作家によるバーカウンターは、ご主人のお気に入りだ。

 

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左:アーチストのイリナ・ヴォルコンスキーによる動物のオブジェを並べた鏡張りのテーブル。後方の壁にはアザミのランプは、蚤の市の掘り出し品だ。中:ワイヤーのプードルのテーブルがチャーミング。右:鏡張りの箪笥の上も、植木ポット、燭台など鏡張りでまとめて。
photos:Mariko OMURA

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リビングルームの奥は、夫妻の寝室だ。彼らの留守中、サフィアが飼う3匹の猫の長老ヴォーグが我が物顔にベッドを占領する。「ここはまだ内装が終わっていないの。大きな衣装ダンスは昔南仏で花嫁が持って嫁いだ家具なのだけど、寝室にこの収納は不要。40年代スタイルの鏡張りか黒い漆の小さな整理ダンスを代わりに置きたいと思ってるわ。寝室のインテリアの出発点は、黒地にカラフルなサークルが描かれたTout le monde Bauchardのカーペットから。これに似合うベッドカバーが必要だわ! って、半年がかりで探し、見つけたのが、今使っているソニア・ドローネーのデッサンのファブリック。 ベッドのヘッドボードは、シャンタル・トマスのよ。大きなリボンの模様とか、いくつかインテリアコレクションを彼女は出していて……私はちょっと木炭画みたいなこれが好き。天井のパイナップル型の照明はリビングルームと同じで、ハリウッド・リージェンシー・スタイルそのものでしょ。蚤の市でペアで購入したの。この寝室とリビングルームというのは、私にはホテルのスイートルームのようなイメージなのね。ベッドからリビングルームが眺められ、その向こうに景色が広がる……そう、オテル・ムーリスの部屋からチュイルリー公園を眺めてる感じね。特に夜は素晴らしいわ。ベッドサイドの小さなライトで読書をしてから眠るのだけど、カーテンを開けたままの窓の向かいには景色しか見えず……素晴らしいわ」

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夫妻の寝室。サークル模様の黒いカーペットからスタートしたインテリアだ。

 

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寝室にもジュエリーやガラスなどさまざまなコレクションが飾られている。

 

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これがサフィアの寝室からの眺め!!
photos:Mariko OMURA

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サフィアのハイセンスでまとめられた魅力あふれるアパルトマン。彼女はどの部屋が一番のお気に入りかと聞いたところ、エントランス・ホール! という答えが戻ってきた。「こここそが、まさにマドレーヌ・カスタンの世界よ。アニマル柄のカーペットだけでなく、植物のこうしたモチーフの壁紙も彼女はよく使っていたし。彼女は藤や竹といった素材の品がとっても好きで、自分のブティックにもたくさん置いていたのよ。以前住んでいたアパルトマンはキッチンが広かったけれど、ここのキッチンは小さくって食事がとれないの。だから入り口のスペースとはいえ、食事もとれるひとつの部屋のようであって欲しいと願って作り上げたインテリアなの。仕事から戻ったときに、私を出迎えてくれる部屋ね。天井いっぱいに広がるランプも藤で、これはPETITE FRITUREというブランドの今の品よ。すごく気に入ってるわ」

エントランス・ホールは鏡、それからカーペットが先に決まり、それに合わせて40~50年代に流行ったモチーフのイギリス製の壁紙を選んだ。彼女の部屋作りは、何か1~2点からスタートしてゆく。インテリア関連の品は、オークションで買うことが多いそうだ。サザビーズ、クリスティーズ、ドルオーといった競売場。そして蚤の市、あるいは市内のアンティーク店で。 サフィアの話にしばしば登場するマドレーヌ・カスタンというのは、30年代以降パリの文壇や社交界で圧倒的人気を誇った骨董商でありデコレーターである。過去の様々な様式を彼女風に折衷したネオ・クラシックなスタイルは、当時ではとにかく斬新そのもの。コクトーやピカソたちに囲まれ、ディーヴァのような存在だった伝説の女性である。現在サンジェルマンのラデュレがあるのは、彼女が骨董ギャラリーを1947年から構えていた場所。それゆえラデュレ・ボナパルト店の2階にあるブルーにまとめられた部屋は、マドレーヌ・カスタンと呼ばれているという。サフィアとラデュレとマドレーヌの、なんだか素敵な巡り合わせでは!?

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籐でまとめたエントランス・ホール。

 

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7区のRue de Luyneにあるお気に入りの骨董商のところでみつけた巨大なチェーンが囲む鏡。これを出発点にパンサー柄のカーペットを合わせ……。家具も鏡も籐!

 

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ビーズの装飾は19世紀に娼館か高級娼婦の家のようなところで呼び鈴のひもとして使われていた品らしい。
photos:Mariko OMURA

大村真理子 Mariko Omura
madame FIGARO japon パリ支局長

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏する。フリーエディターとして活動し、2006年より現職。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。

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