パリジェンヌファイル#3 イリナ・オプティ=コニャール/DJ、アートディレクター
パリの女性DJが大切にする想い出とは?
パリジェンヌファイル
連載「パリジェンヌファイル」の3人目は、女性DJの第一人者として、さまざまなファッションイベントや話題のクラブで活躍するイリナ・オプティ=コニャール。今回は、彼女の宝物をご紹介。
おしゃれが大好きだから、クローゼットには収まりきらないほどの服やバッグ、靴を持ち、仕事柄、レコードやCDなども増え続け、たくさんの大好きなモノに囲まれて暮らしているイリナ。
だけど、"宝物"として彼女が選ぶのは、家族にまつわる品や、4年前に結婚した最愛の夫との記念のオブジェなど、とてもシンプルなものばかり。
「わたしにとってなによりも大切なのは、歴史の中で刻まれていく"共有の想い出”。眺めたり、触れたりすると、その時の情景や匂い、そして笑顔が自然に浮かんでくるようなオブジェよ」。時間の痕跡を感じる、かけがえのない思い出が、彼女の宝物だ。
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YSLのスモーキング・ジャケット
1966年にイヴ・サンローランが初めて発表したスモーキング・ジャケット。 祖母が購入したスモーキング・ジャケットを譲り受けて、 愛用している。「モード好きでおしゃれな祖母は、わたしの憧れの女性なの」。フレンチ・シックなスタイルに欠かせない大切にしているアイテム。
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レコード
セルジュ・ゲンズブールをはじめ、数々のアーティストを手掛ける有名コンポジター、Jean-Claude Vannierが1972年に発表した「Histoire de Melody」は、限定発売された貴重なレコード。父がずっと大切にしていた一枚をイリナが受け継いだ。一年前に偶然、ナイトクラブのシレンシオで音楽家本人に会い、サインをもらったの。
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結婚指輪
結婚指輪を探すためにパリの宝飾店をいろいろ廻ったが、好みのものに出合えずにいたというふたり。偶然仕事で訪れたリヨンの小さなアンティークショップで見つけたのが、このリング。「通りかかったお店のウィンドーに飾られていたの。1932年のアールデコの美しいリングにひと目惚れだったわ」。 この世にたったひとつだけのオリジナルデザインに、とても満足している。
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ポートレートのデッサン
モンマルトルの一軒家に250人のゲストを迎え、盛大な結婚パーティを行ったというイリナ。フランスの人気イラストレーター、LUZが、ふたりのポートレートをデッサンして当日のインビテーションカードをつくってくれた。今年の結婚4周年記念のお祝いとして、オリジナルの原画を額層してプレゼントしてくれた、大切な宝物。
伝説のナイトクラブ「レ・バン・ドゥーシュ」で12年前にDJデビュー。 以来、ガールズDJの先駆者としてパリの音楽シーンで活躍している。 現在は、本業に加えて、南仏を舞台にしたTVドラマ「Plus belle la vie」 のアートディレクターに就任し、パリとマルセイユを行き来する多忙な毎日。
photos:MANA KIKUTA, realisation:HIROKO SUZUKI