文・写真/神 咲子(在ストックホルムコーディネイター)
スウェーデンの二大スーパーマーケットは「ICA(イーカ)」と「COOP(コープ)」だ。全国津々浦々どこの田舎に行っても、規模の大きさは違えど必ずどちらかがある。しかもスウェーデンで唯一と言っていいぐらいほぼ無休で営業しているので、国民にとっての愛着度は並々ならぬものだ。
どちらも自社商品に力を入れていて、特にエコ製品はパッケージのデザインなどがさすが北欧と思わせる可愛いものが多々ある。しかもエコロジー(品によってはオーガニック)とくれば、少々高くとも手に取らないわけにはいかない。
「イーカ」の自社エコ製品「I Love Eco」より。エルダーフラワーやラズベリーなどのフレーバーがある、「サフト」と呼ばれる希釈ジュース。
スウェーデンで食品を買うようになって気付いたのが、チューブ入りの品が多いこと。そして、乳製品系の脂肪分率のクラス分けが細かくなされていること。チューブ入り食品は、日本人にも多分おなじみの(?)たらこクリームを始め、ハーブ入りチーズ、はたまたイワシミックスなどがチューブに入っており、パンの上に塗って食べたりする。
チューブ食品の数々。パテ系など、いわゆる塗り物(スプレッド)がほとんど。
大好きでいつも朝食で食べているのが、たらこクリーム in チューブ。白い方はコープのエングラマルク製品。基本は目玉焼きや茹で卵など卵と合わせます。その下のクネッケ(クリスピーブレッド)もスウェーデンの朝食ならでは!
乳製品では牛乳からヨーグルト、生クリームなど必ずと言っていいほど、ライト、ミディアム、ヘビー(低脂肪、中脂肪、高脂肪)に分けられている。ちたみに何事にも中立的な立場を好むスウェーデン人に人気なのは、やはり「Mellan(〜の中間のという意味)」という中脂肪の製品だ(笑)。
「コープ」オリジナルのエコライン「Änglamark(エングラマルク)」。牛乳は左から、高脂肪(普通)、中脂肪、低脂肪に分かれている。
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こんな紹介の仕方をすると、スウェーデンの人々はみな、雑誌のお手本にでもなりそうなヘルシーでスマートな北欧食生活を実行しているように聞こえるかもしれない。だがもちろんそんなことはなく、ジャンクなフードだって大人気だ。
最たるものが「Godis(ゴーディス)」と呼ばれるお菓子類。主体はグミ菓子だ。「Lördagsgodis(ルーダグスゴーディス)」は土曜日のお菓子と呼ばれ、子どもたちは毎週土曜日にこれらのお菓子を買って食べることが許されている。他の日に駄々をこねてもたいてい、「今日は土曜日じゃないわよ」とか「土曜日まで待ちなさい」と一喝されておしまいだ。またおもしろいことに、子どもだけではなく大人までもがゴーディス大好きで、家族総出の1週間に一度の楽しみなのだ。もちろんこのゴーディスコーナーはスーパーには必須の一角。基本は量り売りなので、気になったものを好きなだけお試しあれ!
スウェーデンの日常に欠かせない「ゴーディス」。フルーツグミが多く、日本人は絶対好きじゃないリコリス味(黒)がスウェーデン人は大好き!
目玉焼きやスイカは可愛いが、「歯形」はかなりシュールで引いてしまう。
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texte et photos : SAKIKO JIN