和の道具をめぐる旅で見つけた、可愛いおみやげ。
Travel 2016.12.29
【山形県鶴岡市】
優しいはき心地の手作りおえ草履。
おえ草履¥1,620/森茂八商
創業300年を誇る鶴岡市内の老舗荒物屋、森茂八商店で見つけたのは、「おえ(カヤツリグサ科フトイの別名)」を編んで作った手作りの草履。おえの栽培、刈り取り、天日干し、乾燥、編みこみまでを、市内に暮らす90代の女性がたったひとりで手がけています。もともとは板の間を移動するための草履で、かかとでブレーキをかけて使うため小さめのサイズで作られていたとか。滑らかかつ快適なはき心地で、ひとつひとつ異なる鼻緒も愛らしいのです。(エディターRK)
森茂八商 Tel. 0235-22-2388
>>長野県伊那市の亀もなかと手製ノート
---page---
【長野県伊那市】
素朴な味わいの亀もなかと、民藝モチーフの手製ノート。
亀もなか¥160/亀まん
その昔、高遠藩の城下町として栄えた高遠町(長野県上伊那郡)。桜の名所として知られる高遠城址が有名です。この街で城主の御用菓子として天正年間から愛されてきたのが高遠まんじゅう。小豆と小麦粉で作ったおやきが起源だとか。高遠まんじゅうの老舗のひとつ、明治8年創業の亀まんでは、亀を模した可愛いらしいもなかが並んでいます。香ばしい皮に包まれた、甘さ控えめの餡がなんとも上品。定番の亀まんと合わせてどうぞ。
上製ノート¥2,700/美篶堂伊那製本所
東京・江戸川で創業した、手製本の美篶堂。断裁以外ほとんどすべての工程をレトロな工具と人間の手だけで行っている、手作り製本で知られています。その製作の拠点が伊那市美篶にあるこちらの製本所。一角にある販売コーナーで、テキスタイルデザイナー、アリタマサフミさんの布で仕立てた上製ノートを発見! 以前コラボした『世界を旅する装丁展』以来、作り続けられているものだとか。なお、こちらは製本所につき、立ち寄り前にお問い合わせを。(エディターRK)
>>新潟県新潟市のしな布の草履
---page---
【新潟県新潟市】
山間部に古くから伝わる、自然素材の工芸品。
しな布の草履¥28,000/古道具 丸村
新潟県北部から山形県の庄内でつくられるしな布。山間部に生育するシナノキの樹皮から取れる繊維で糸を作り、布状に織り上げたもので、ざっくりとした風合いが特徴です。本誌でご紹介した古道具店の丸村では、「日本三大古代布」のひとつに数えられる伝統の手仕事を次世代に引き継ごうと、現代のデザインに落とし込んだアイテムを企画・販売しています。使い込むほどに味わい深くなる自然素材は和装小物にもぴったり。(エディターRK)
>>栃木県益子町の壺もなかと鳥の箸置き
---page---
【栃木県益子町】
旅の思い出に、地元で愛される素朴な品を。
壺もなか(左:つぶ餡、右:柚子餡)各¥100/ともに赤羽まんぢう本舗
益子の銘菓といえば、素朴な益子焼の壺をかたどった可愛らしい最中。濱田庄司ら、益子焼きの大家も愛したという赤羽まんぢう本舗は大正13年創業の老舗和菓子店。吟味した地元産の大豆を丁寧に練り上げて作る自慢の餡に定評があります。定番の壺もなかはつぶ餡と柚子餡の2種類があり、どちらも甘さ控えめ、素朴な味わい。
鳥の箸置き(塗り箸つき)¥1,296/つかもと
150年の歴史を誇る益子最大の窯元、つかもとで見つけたのは、現代のライフスタイルに馴染むシンプルなデザインの数々。鳥をかたどった可憐な箸置きは益子の伝統釉で仕上げられています。こちらの糠白釉以外に飴釉、黒釉、青磁釉もラインナップ。(エディターRK)
>>兵庫県篠山市の木綿と黒豆しぼり豆
---page---
【兵庫県篠山市】
木綿と黒豆しぼり豆、ふんわりやさしい丹波みやげ。
丹波木綿(上40×36.5cm、下37.5×3.7.5cm)各¥2,500/ともにあめや
丹波地方を代表する手仕事のひとつが、素朴な風合いと温もりに満ちた縞や格子柄の丹波木綿。300年以上も前から、農作業の合間に女性たちが地元の材料を使って一家の衣料として織り、暮らしの中で愛され続けてきたもの。最近では機械紡ぎの糸が使われることもあるけれど、こちらはすべて手紡ぎの糸で織られているため、なんともいえないやさしい手触りが魅力。テーブルセンターやランチョンマットに使おうか、コースターに仕立てかえてもいいな、とその用途をウキウキ考えてしまいます。
「黒豆しぼり豆」100g ¥432、オリジナルの黒豆デザイン箸置き(上から、丸八窯の清水義久作、忠作窯の市野雅利作)各¥308/以上小田垣商店
丹波木綿を見つけた民芸店「あめや」から歩いて5分のところにある、小田垣商店は、丹波黒大豆を扱う創業1734年の老舗。こちらのイチオシ「黒豆しぼり豆」は、ふんわりもっちりした食感と、濃厚な黒豆の風味、やさしい甘みで、手が止まらなくなるほど。丹波焼の若手陶芸家とコラボレートした愛らしい箸置きとともに、旅の思い出におすすめです。(エディターNK)
「フィガロジャポン」2017年2月号は「和っていいな。」と題して、あらためて和のよさをさまざまな角度から紹介しています。モダンな和のうつわや、大人が恋する和菓子、野草と和の花、お茶や日本酒、料理など、いつも何げなく接している和の魅力を、ぜひ見つめ直してみて。
photos : MIDORI YAMASHITA, SHIN EBISU, texte : RYOKO KURAISHI, NATSUKO KONAGAYA