間取りの良くないワンルームを、実用的で魅力あふれる1LDKへと生まれ変わらせる方法。

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25㎡のワンルームで、壁を押し広げて面積を増やすことは不可能……。しかし、建築ユニットOuvrage(ウヴラージュ)を率いていたChloé MartinotとMayssa El Fakirは、この限られた空間を快適な1LDKへと変貌させることに成功した。とりわけ、ガラスの間仕切りを導入することによって成し得た力業である。

ダイニングスペースを備えた本格的なキッチン、リビング、日中の光がガラスの間仕切りを通して差し込む寝室、そしてシャワースペース……25㎡のワンルームを2部屋構成へと生まれ変わらせたこの住まいには、暮らしをより快適で豊かにするための工夫が随所に施されている。photography: Lou Toinon

まさに“魔法使い”のような建築家ユニットだ。2019年にパリとボルドーを拠点に事務所Ouvrageを設立し、現在は主にパリで活動する二人の信条は、「よく考え抜かれ、持続可能で、美しい住空間をつくること」。その好例が、ボルドーの高級エリアに位置するワンルームのリノベーションである。全面的に再構築されたこの住まいは、単なる改装にとどまらず、魅力を増した1LDKへと生まれ変わった。プロジェクトの詳細を語るマルティノによれば、「たとえ空間を一新する場合でも、その場所に“魂”を与えることが不可欠です。そのためには、美しい素材を選び抜くこと、そしてリユースや古い家具を取り入れることが重要になります」と強調する。


寝室

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暗く、あまり居心地のよくない一角。photography: Ouvrage

After

オーダーメイドのガラス間仕切りによって、リビングの窓からの光が通る新たに設けた寝室へ。photography: Lou Toinon

「ワンルームの難点は、毎日ベッドを出したり片付けたりしなければならないこと。これは本当に面倒な作業です。そこでクライアントから最初に求められたのが、独立した寝室をつくることでした。クライアントは、シュヴェリュス通りにある19世紀末に建てられた建物の一室、このステュディオに一目惚れしました。ゆとりある空間構成や木製建具、そして天井に施された美しいロゼット装飾に魅了されたのです。そのため、こうした歴史的要素は残しつつ、プライバシーや快適性、機能性を高めたいという要望がありました。これに応えるため、建築チームは本格的な寝室空間を生み出す手段として、オーダーメイドの大型木製ガラス間仕切りを採用。繊細なフレームで構成され、高さはあえて天井のロゼットを圧迫しないよう、1メートル手前で止めています。この軽やかな仕切りによって、リビングからの光(ここには通り抜ける光が入らない)を寝室へと取り込むことができ、また明るい色調を選ぶことで、空間全体に広がりをもたらしています。床には、美しいオーク材のフローリングがアパルトマン全体にわたってそのまま活かされています」

キッチン/ダイニング

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可能性を活かしきれていなかった空間。photography: Ouvrage

After

機能性と設備、そして美しさを兼ね備えたキッチンへ。photography: Lou Toinon

「キッチンのアイランドはすべて作り直しました。もともとは幅が広すぎて使い勝手が悪かったため、寸法をセンチ単位で見直し、その結果、収納スペースも増やすことができました。全体は緻密に設計されており、既存のモールディングとの視覚的な連続性を保つために、装飾の補修も行っています。ワークトップにはIkeaの無垢材を使用し、それを延長することでダイニングテーブルとしても機能させ、そこにAM-PM のハイチェアを2脚配置し、下部には収納スペースも確保しています。さらに、冷蔵庫の横にはワインセラーまで組み込まれています。ここはボルドーですからね! キッチンの扉材はPlumのものを採用。カラーには、バックスプラッシュにも用いられているシダのようなグリーンを選び、空間をさりげなくゾーニングしています。このようなコンパクトな空間を設計する際の課題は、徹底した計算と精度の高さです。素材選びもまた重要で、質の高さはもちろんのこと、その厚みやボリュームも決定的な要素となります。数センチの違いが動線に大きく影響するからです。こうして綿密に考えられたキッチン兼ダイニングのおかげで、リビングスペースもきちんと確保することができたのです。」


収納とライブラリースペース

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大きな可能性を秘めた収納スペース。photography: Ouvrage

After

改修によって洗練され、見せたくないものをすっきりと隠せる収納へ。photography: Lou Toinon

「この住まいにおけるもう一つの大きな課題は、言うまでもなく収納面積を最大限に確保することでした。最終的には、既存の収納の約80%をそのまま活かしています。ステュディオに入ると、すでに棚や当時の美しい木装飾を備えた古い本棚がありましたので、それらはすべてシンプルに塗装し直しました。クローゼットの扉の一つには、あえてステンドグラス風のフィルムを残しています。それが色彩の面でアクセントとなっています。この本棚と向かい合うキッチン側では、使われていなかった古い暖炉を収納スペースとして再活用しています。その上部には、もともとあった壁面ミラーをそのまま残しており、空間を広く見せると同時に光を反射してくれます。今回のリノベーションでは、1㎡あたり1200ユーロという予算内に収める必要がありましたが、素材の質に妥協はしたくありませんでした。そのため、再利用を積極的に取り入れています。たとえば、キッチンのワークトップを加工した際に出た端材を使って、キッチンの棚を製作しました。」

シャワースペース

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メインの部屋に面した、暗く使い勝手の悪いバスルーム。photography: Ouvrage

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寝室に隣接する、快適なシャワースペースへ。photography: Lou Toinon

「以前のレイアウトでは、すべての動線が当然ながらひとつの空間に集約されていました。現在は、寝室を経由してアクセスする形に変更しており、いわばスイートルームのような構成になっています。ここでも再利用を重視し、既存の家具を活かして新しい洗面台のキャビネットを製作しました。これほど小さな空間であること、そして予算という大きな制約がある中でも、非常に満足のいく仕上がりを実現できたと思います」

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  • text: Zahra Muyal(madameFIGARO.fr)